Saitolab 「なにもせんほうがええ」

40にして迷い道くねくね、目の前が暗くなる。

あけてくれ!

2017年05月04日 23時31分41秒 | 書籍・映画・音楽
沢木耕太郎の深夜特急を6巻まで読み切ってしまってからは当ての無い乱読が続いていた。そんな折、本屋の棚で「暗渠の宿」なる背表紙に目がとまる。裏表紙解説には「貧困・屈辱・破滅」などの文字が並ぶ。作家の名は西村賢太。画像検索をかけてみるとTVで何度か見かけたことがあった。試しにと一冊買い求め早速読み進む。作品は強烈な私小説だった。あらすじを簡単に言うとアルバイトで金を稼いでは「淫買」に走り、挙句は貢いだ女にトンズラされるといった内容。こう書くとつまらないがその経緯が事細かにそして言葉を選んで綿々と綴られている。それは社会に対するやり場のない怒りとコンプレックスが作家のエネルギー源ではないかと思えるほどに。文体は読み易くサクサクと読み進められるのはいいけれど、「深夜特急」同様に後に何も残らない。それなのに一冊目の読了を待たずこの作家の本を三冊も買い込んでしまった。「二度はゆけぬ町の地図」「小銭をかぞえる」「苦役列車」タイトルを聞くだけで何かワクワクするではないか。作品を読んでいてひとつ気づきがあった。それはつげ義春との共通項。放浪と蒸発は貧困と破滅への暗示。誰しもが夜の小田急ロマンスカーに飛び乗るチャンスをうかがっているのかも知れない。
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