7月20日(水)さいたま赤十字病院にてチェストカンファレンス(胸部画像カンファレンス)を開催いたしました。院内および院外の先生方にたくさん集まっていただき、ありがとうございます。そのときに勉強させていただいた肺胞出血のCT所見について少しお話ししたいと思います。
肺胞出血の胸部CT所見は多彩な陰影であることはみなさん、ご存知のことと思います。典型的には両側びまん性に浸潤影、すりガラス陰影が混在し、小葉間隔壁肥厚、粒状影、斑状影が混在するとされていますが、病状の進行具合によってさまざまな画像所見を呈するとされ、びまん性陰影を見たら肺胞出血は鑑別には挙げておこうというスタンスが必要かと思います。では、そのようなびまん性陰影を見たとき、重症肺炎なのか?肺水腫なのか?急性間質性肺炎なのか?ARDSなのか?肺胞出血なのか?鑑別出来たら臨床上有用ではないでしょうか?
本カンファレンスの常連である済生会栗橋病院放射線科の大久保先生(当カンファレンスの特別講師の佐藤雅史先生の次に尊敬する放射線科の先生です)が肺胞出血の抽出法についてご教示してくれました。
次の症例は顕微鏡的多発血管炎の症例で、気管支肺胞洗浄にて肺胞出血と証明出来ている症例です。
右肺優位の浸潤影、すりガラス陰影です。このCT所見のみでは肺胞出血と決めつけるには診療上難しいかと思います。
このCTの条件を変えてみましょう。ウインドウレベル(WL)を60に、ウインドウ幅(WW)を40に設定すると出血がhigh densityに映るようなのです。この症例、条件を変えてみると
右上葉の陰影がhigh densityに映りますよね。これぞ肺胞出血のCT所見なのです。
上記所見が肺胞出血にとって感度、特異度がどうかはまだわかりませんが、日常臨床においては相当の武器になるのではないでしょうか?今までの肺胞出血の症例をもう一度見直してみませんか?今後の診療の参考にしていただけたら幸いです。(大久保先生、ありがとうございました)