最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。

無断で付けたGPSによる捜査は違法

2017-06-16 20:08:32 | 日記
平成28(あ)442  窃盗,建造物侵入,傷害被告事件
平成29年3月15日  最高裁判所大法廷  判決  棄却  大阪高等裁判所


日経新聞によると次の報道がなされていました。

裁判所の令状を取らず捜査対象者の車両に全地球測位システム(GPS)端末を取り付ける捜査について、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は15日、窃盗事件の上告審判決で、違法とする初判断を示した。「プライバシーを侵害し、令状が必要な強制捜査にあたる」と認定。現行の刑事訴訟法の令状で行うことには疑義があるとして「新たな立法措置が望ましい」と指摘した。
 最高裁が事件捜査をめぐり、具体的な法整備を迫るのは極めて異例。立法措置が整うまで事実上、GPS捜査を認めない内容となった。
 大法廷は、GPS捜査について「公道だけでなく、プライバシーが強く保護されるべき場所や空間も含め、個人の行動を継続的、網羅的に把握することができる」と指摘。「肉眼やカメラで確認する手法とは異なる」として、裁判所の令状が必要な強制捜査にあたるとの判断を示した。
 続いてGPS捜査にどういう令状が適当かを検討。現行の刑訴法が定める令状では、警察が対象者の事件とは関係ない行動の把握を抑えることができない恐れがあり、令状の事前提示ができない場合に手続きの公正さを担保する仕組みもないと指摘した。
 その上で、GPS捜査を今後も広く用いられる有力な捜査手法とする場合は「GPS捜査の特質に着目して立法措置を講じることが望ましい」と述べた。検察側は仮に強制捜査であったとしても、令状の一つの「検証許可状」を取り、捜査後に対象者に示せば問題はないと主張していた。
 判決は裁判官15人の全員一致。岡部喜代子裁判官ら3人の補足意見は、新たな立法措置が整うまでの間「ごく限られた極めて重大な犯罪」に限り、現行の令状で認められる余地があるとした。
 大法廷が審理したのは、関西を中心とする連続窃盗事件で起訴された男(45)の上告審。捜査員が男や共犯者らの車やバイク計19台に、令状を取らずにGPS端末を取り付け、位置情報を断続的に取得した。
 一審・大阪地裁は「プライバシーを大きく侵害する強制捜査にあたる」と判断し、GPSによる証拠を排除して残る証拠から実刑とした。二審・大阪高裁は令状の必要性に言及せず「重大な違法はない」と判断した。大法廷は窃盗罪などについては被告側の上告を棄却。実刑が確定する。
 GPS捜査は警察の捜査現場で広く行われている。昨年6月、名古屋高裁判決は一審に続いて令状のないGPS捜査を「違法」と指摘し、新たな立法措置の必要性に言及した。一方で、昨年7月の広島高裁判決は任意捜査の範囲内と認めるなど、各地で司法判断が分かれていた。


以下、裁判所の事実認定です。
平成25年5月23日頃から同年12月4日頃までの約6か月半の 間,被告人,共犯者のほか,被告人の知人女性も使用する蓋然性があった自動車等 合計19台に,同人らの承諾なく,かつ,令状を取得することなく,GPS端末を 取り付けた上,その所在を検索して移動状況を把握するという方法によりGPS捜査が実施された。
そして、

(1) GPS捜査は,対象車両の時々刻々の位置情報を検索し,把握すべく行わ れるものであるが,その性質上,・・・・公権力による私的領域への侵入を伴 うものというべきである。
(2) 憲法35条は,「住居,書類及び所持品について,侵入,捜索及び押収を 受けることのない権利」を規定しているところ,この規定の保障対象には,「住 居,書類及び所持品」に限らずこれらに準ずる私的領域に「侵入」されることのな い権利が含まれるものと解するのが相当である。そうすると,前記のとおり,個人 のプライバシーの侵害を可能とする機器をその所持品に秘かに装着することによっ て,合理的に推認される個人の意思に反してその私的領域に侵入する捜査手法であ るGPS捜査は,個人の意思を制圧して憲法の保障する重要な法的利益を侵害する ものとして,刑訴法上,特別の根拠規定がなければ許容されない強制の処分に当た る(最高裁昭和50年(あ)第146号同51年3月16日第三小法廷決定・刑集 30巻2号187頁参照)とともに,一般的には,現行犯人逮捕等の令状を要しな いものとされている処分と同視すべき事情があると認めるのも困難であるから,令状がなければ行うことのできない処分と解すべきである。


車は私的領域と解すべきということになりますね。
そうすると、おかしいことになりませんか?麻薬の捜査や銃刀法の捜査でなどでは、任意で車の中を見ることが日常茶飯事化している現状を無視するのでしょうか。一貫性が無くなります。

(3)GPS 捜査は,被疑者らに知られず秘かに行うのでなければ意味がなく,事前の令状呈示 を行うことは想定できない。刑訴法上の各種強制の処分については,手続の公正の 担保の趣旨から原則として事前の令状呈示が求められており(同法222条1項, 110条),他の手段で同趣旨が図られ得るのであれば事前の令状呈示が絶対的な 要請であるとは解されないとしても,これに代わる公正の担保の手段が仕組みとし て確保されていないのでは,適正手続の保障という観点から問題が残る。GPS捜査について,刑訴法197条1項ただし書の「この法律 に特別の定のある場合」に当たるとして同法が規定する令状を発付することには疑 義がある。GPS捜査が今後も広く用いられ得る有力な捜査手法であるとすれば, その特質に着目して憲法,刑訴法の諸原則に適合する立法的な措置が講じられるこ とが望ましい。

やはり、現行法に問題があるので早く立法してほしいと言っています。まあそうでしょうね。結局、GPSによる証拠は違法性があるので証拠採用にはならない。ただ、他の証拠からすると有罪という結果になりました。
とはいっても、法律が技術に追いついていかない現状について、裁判官岡部喜代子,同大谷剛彦,同池上政幸の補足意見がでました。

法制化されるまでには一定の時間を要する こともあると推察されるところ,それまでの間,裁判官の審査を受けてGPS捜査 を実施することが全く否定されるべきものではないと考える。 もとより,これを認めるとしても,本来的に求められるべきところとは異なった 令状によるものとなる以上,刑訴法1条の精神を踏まえたすぐれて高度の司法判断 として是認できるような場合に限定されよう。したがって,ごく限られた極めて重 大な犯罪の捜査のため,対象車両の使用者の行動の継続的,網羅的な把握が不可欠 であるとの意味で,高度の必要性が要求される。さらに,この場合においても,令 状の請求及び発付は,法廷意見に判示された各点について十分配慮した上で行われ なければならないことはいうまでもない。このように,上記のような令状の発付が 認められる余地があるとしても,そのためには,ごく限られた特別の事情の下での 極めて慎重な判断が求められるといえよう。

私はこの判断に釈然としません。任意捜査とと言いつつも強制的に車から引きずり降ろされて、車内を捜査する事はありうる話です。私は体験したことも、直接見たこともないですけど。そうなると、無断で付けたGPSだから違法というのはどうなんでしょうか。しかも車内に装着したのではなく車体の外側につけたとなると、違法性はかなり低いのではないかと思います。
多分、裁判官岡部喜代子,同大谷剛彦,同池上政幸の見解は私に近いのかなという印象です。

大法廷
裁判長裁判官 寺田逸郎 今ひとつ
裁判官 岡部喜代子
裁判官 大谷剛彦
裁判官 大橋正春 今ひとつ
裁判官 小貫芳信 今ひとつ
裁判官 鬼丸かおる 今ひとつ
裁判官 木内道祥 今ひとつ
裁判官 山本庸幸 今ひとつ
裁判官 山崎敏充 今ひとつ
裁判官 池上政幸
裁判官 大谷直人 今ひとつ
裁判官 小池 裕 今ひとつ
裁判官 木澤克之 今ひとつ
裁判官 菅野博之 今ひとつ
裁判官 山口 厚 今ひとつ
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きいて!きいて!
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