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窃盗冤罪事件:そもそも金があったとする証拠を証言のみでいいのか

2017-05-26 15:00:53 | 日記
平成27(あ)63  窃盗被告事件
平成29年3月10日  最高裁判所第二小法廷  判決  破棄自判  広島高等裁判所

朝日新聞の報道では、こんな感じです。窃盗罪問われた元中国放送アナに逆転無罪判決 最高裁

 広島市内の銀行内に置き忘れてあった封筒から現金約6万7千円を抜き取ったとして、窃盗罪に問われた元中国放送アナウンサー煙石博(えんせきひろし)さん(70)の上告審判決で、最高裁第二小法廷(鬼丸かおる裁判長)は10日、懲役1年執行猶予3年とした一、二審判決を破棄し、無罪を言い渡した。
 煙石さんは2012年、銀行で女性が記帳台に置き忘れた封筒から現金を盗んだとして逮捕、起訴された。煙石さんは一貫して無罪を主張。一、二審判決は、封筒に現金があったという女性の証言と、防犯カメラの映像で記帳台に近づいたのは煙石さんだけだったことから、有罪とした。
 第二小法廷は、一、二審判決について「封筒内に現金があったことを前提とし、窃盗をしていない可能性を強く示す客観的事情を軽視した」と批判。防犯カメラの映像では煙石さんが封筒を手に取った場面が確認できないことや、女性の証言の信用性が高いとは言えないことなどから、「一、二審判決は不合理で、犯罪の証明が十分ではない」と結論づけた。
 判決後に東京都内で会見した煙石さんは、笑顔を見せつつも「本当に突然降りかかってきた。私だけの問題ではない。悔しい思いがいっぱいですが、普通の生活に早く戻れれば」と話した。
 最高検は「主張が認められなかったのは遺憾だが、最高裁の判断なので真摯(しんし)に受け止めたい」との談話を出した。
 最高裁によると、07年以降で、一、二審とも有罪とした判決を最高裁が破棄し、差し戻さずに無罪としたのは煙石さんで10人目という。(千葉雄高、久保田侑暉)

煙石博さんの無罪を勝ちとる会


これは事実認定のみが争われた事件のようです。
防犯カメラにすべて写っていたのですね。なのになぜ証言が決め手となったのか。このブログの趣旨に反しますが、検察官しっかりしてよという感じです。

まず状況からいきます。
1 客の女性Aが銀行内の記帳台の上に置いていた現金6万6600円及び振込用紙2枚在中の封筒1通 を窃取した。
2 (1)本件前日の夜,手持ちの封筒の中に振込用紙2枚とともに現金6万6600円を入れたとするB(Aの母 親)の証言,及び,本件当日の朝,出掛ける前に,本件封筒の中に現金が入ってい ることを確認したとするAの証言の各信用性を肯定して,Aが本件封筒を記帳台上 に置き忘れた時点でその中に現金6万6600円が在中していたとの事実を認定。
3 (2)本件支店に設置された防犯カメラの映像によれば,Aが本件封筒を置き忘 - 2 - れてから,本件支店の行員が記帳台上に置き忘れられた本件封筒(現金の在中して いないもの)を発見するまでの間に,本件封筒から現金を抜き取ることが可能であ ったのは,Aと同じ記帳台を利用した被告人しかいない。

検察はこれで起訴したというだけで無茶苦茶です。お金が入っていると母親が言った。盗んだ現場が撮影されていない。はぁ?ですね。
裁判所の認定です。
1 毎秒1コマとはいえ顧客の動きは全て撮影されている。
2 Aは確かに置き忘れている。
3 Aは店内で知り合いと談笑している。
4 被告人の退店後,本件支店の行員が,本件記帳台上に置かれた本件封筒を 発見したが,その時点で,本件封筒内には,三つ折りにされた振込用紙2枚のみが 在中しており,現金は在中していなかった。


盗んだ現場が撮影されているわけじゃないんですよ。
裁判所は以下のように判断しました。

本件支店内の被告人の様子は,防犯カメラによってほとんど漏れなく記録されている。被告人が1回目に本件記帳台を離れる際,本件記帳台の上面から何かを 取り上げたように見えるものの,それが記入済みの払戻請求書や預金通帳ではな く,本件封筒であるとは確認できない。
本件封筒には,三つ折りの振込用紙2枚が在中していたところ,これを残し て現金(Bの証言を前提とすれば紙幣12枚と硬貨2枚)のみを抜き取るには,複 数の動作が必要であり,相応の時間を要すると考えられる。本件支店内に設置され た防犯カメラは,毎秒1コマを記録する目の粗いものであり,かつ,被告人がAT M機の前に立っている時間帯については,背後からの映像しかないものの,被告人 がそのような動作をしているように見える場面は存在しない。
本件封筒に入れたとす る現金の出所については,個人で自由に使えるお金の中から出したと述べるのみ で,それ以上に具体的な証言をしておらず,何らの裏付け立証もされていない。
結論
A及びBの各証言は高い信用性を有す るとまではいえないのであって,そのような証拠に依拠して,Aが本件記帳台上に 本件封筒を置き忘れた時点で本件封筒の中に現金6万6600円が在中していたと の事実を認定し,これを動かし難い前提として,被告人以外には現金を抜き取る機 会のあった者がいなかったことを理由に被告人を有罪と判断した第1審判決及びこ れを是認した原判決の判断は,被告人が本件封筒を窃取したとの認定を妨げる方向 に強く働く客観的事情を無視あるいは不当に軽視した点において,論理則,経験則 等に照らして不合理なものといわざるを得ない。


なぜ一審で有罪が出たのか不思議なくらいです。

検察官野口元郎 公判出席  トンデモ

今回の裁判官 第二小法廷判決
裁判長裁判官 鬼丸かおる
裁判官 小貫芳信
裁判官 山本庸幸
裁判官 菅野博之


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