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歓送迎会後職場に戻る途中の事故は労災か?

2016-08-29 15:10:47 | 日記
平成26年(行ヒ)第494号 遺族補償給付等不支給処分取消請求事件
平成28年7月8日 第二小法廷判決

労働者が,業務を一時中断して事業場外で行われた研修生の歓送迎会に途中参加した後,当該業務を再開するため自動車を運転して事業場に戻る際に研修生をその住居まで送る途上で発生した交通事故により死亡したことが,労働者災害補償保険法1条,12条の8第2項の業務上の事由による災害に当たるとされた事例

日経新聞の報道では以下のようになっています。
職場の歓送迎会に参加した後、残業のため帰社中に交通事故で死亡した男性(当時34)の妻が、国に労災認定を求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(小貫芳信裁判長)は8日、労災と認めなかった二審判決を破棄する判決を言い渡した。「会社が要請した行動の中で起きた災害」と認め、妻側が逆転勝訴した。
 判決によると、男性は福岡県内の会社に勤務。2010年12月、残業を中断して中国人研修生の歓送迎会に参加した。男性は社用車で研修生を自宅に送った後、会社に戻る予定だったが、途中で交通事故を起こし亡くなった。男性は飲酒していなかった。
 同小法廷は、上司の呼びかけで歓送迎会が開かれ、経費が使われたことを挙げ、「親睦のために会社が企画した行事で、事業活動に密接に関わっている」と判断した。
 男性は社長への資料の提出期限が翌日に迫っていることを理由に参加を断ったが、上司から「今日が最後だから」などと参加を求められた。判決は「資料の提出期限は延期されず、歓送迎会後に職場に戻ることを余儀なくされた」と認めた。
 労働基準監督署は労災にあたらないとして遺族補償の給付を認めず、妻が処分の取り消しを求めて提訴。一、二審判決は「有志で親睦を深める私的な会合が業務とは認められず、上司が帰社を命じたとも言えない」として妻側が敗訴した。
 福岡労働局は「判決の趣旨に沿って速やかに手続きを進めたい」とコメントした。

原審を見ていくことにします。
原審は,上記事実関係等の下において,本件歓送迎会は,中国人研修生との親睦を深めることを目的として,本件会社の従業員有志によって開催された私的な会合
としています。まずここからしておかしいですね。上司から業務の一環として参加を求められていますので、これは業務でしょう。更に、その後に仕事場に戻る途中だったので、これは通勤災害とすべきです。

最高裁では、以下のように述べています。
「今日が最後だから」などとして,本件歓送迎会に参加してほしい旨の強い意向を示される一方で,本件資料の提出期限を延期するなどの措置は執られず,むしろ本件歓送迎会の終了後には本件資料の作成業務にE部長も加わる旨を伝えられたためであったというのである。そうすると,Bは,E部長の上記意向等により本件歓送迎会に参加しないわけにはいかない状況に置かれ,その結果,本件歓送迎会の終了後に当該業務を再開するために本件工場に戻ることを余儀なくされたものというべきであり,このことは,本件会社からみると,Bに対し,職務上,上記の一連の行動をとることを要請していたものということができる。

さらに、
本件会社の社長業務を代行していたE部長の発案により,中国人研修生と従業員との親睦を図る目的で開催されてきたものであり,E部長の意向により当時の従業員7名及び本件研修生らの全員が参加し,その費用が本件会社の経費から支払われ,特に本件研修生らについては,本件アパート及び本件飲食店間の送迎が本件会社の所有に係る自動車によって行われていたというのである。
もともと本件研修生らを本件アパートまで送ることは,本件歓送迎会の開催に当たり,E部長により行われることが予定されていたものであり,本件工場と本件アパートの位置関係に照らし,本件飲食店から本件工場へ戻る経路から大きく逸脱するものではないことにも鑑みれば,BがE部長に代わってこれを行ったことは,本件会社から要請されていた一連の行動の範囲内のものであったということができる。


どう見ても業務でしょう。

結論は

本件事故によるBの死亡は,労働者災害補償保険法1条,12条の8第2項,労働基準法79条,80条所定の業務上の事由による災害に当たるというべきである。

社会保険労務士の試験であれば、即労災認定されるべきとされる事例です。

第二小法廷
裁判長裁判官 小貫芳信 常識的
裁判官 千葉勝美 常識的
裁判官 鬼丸かおる 常識的
裁判官 山本庸幸 常識的

これを労災認定しなかったのは労働基準監督署の初歩的なミスですし、地裁の判断が労働基準法を知らなかったのではないかとすら思えるような内容です。これが最高裁まで行く話じゃないと思うのですが、行政も一度裁判になれば最高裁まで行かなければならないとでも思いこんでいるのでしょうか。


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