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オバマケアと日本の医療制度

2017-02-05 15:09:14 | メモ帳

10年前、ロサンゼルスでの事業を譲渡し引退したとき、老後をそのまま米国で過ごすか日本に永久帰国するかの決断に迫られた。いろいろと利害得失を比較検討したが、その中で最も大きな比重を占めた要素は医療保険制度だった。

米国では、医療保険は民間企業の分野である。複数の保険会社から資料を取り寄せ、説明会にも出席した。その結果、どの医療保険も適用範囲が限定されていることに気づいた。そして、各専門分野の医師を指定しているが、どの医師も自宅から一時間ほどドライブしなくてはならないのは大問題だし、どの保険も眼と歯は除外されているから、別の保険をかけなくてはならない。

もう一つ、言葉の問題がある。私は日常会話程度なら不自由しないが、病気のこととなると自信がない。容態を英語で説明するのはしんどいし、病名や治療法を英語で言われても理解できないだろう。さらに、家内は私よりも英語による医者との意思疎通は難しいはずだ。

結局、永久帰国する道を選んだ。その後、オバマ前大統領が国民皆保険を実施したので(いわゆるオバマケア)、「あの時、この制度に変わっていたら…」と残念がったものである。

それから数年、「沈みゆく大国、アメリカ」(堤末果著、集英社新書)を読んで驚いた。この著作は全編オバマケアの批判なのである。同書を引用して傘屋に例えるなら、“新たに傘を作り、配った。開かなければいい傘だが、いざさしてみると、すぐ穴がいくつも開いて、ずぶ濡れになる”という代物。

オバマケアでは、消費者には保険適用外の医薬品が高価で払えないという問題がある。医師には、保険金申請に膨大な書類を要求され、対応しきれないという問題がある。要するに、制度設計に難があるのだが、予算が少ないということでもある。おまけに、日本のような介護保険はない。

いろいろ無茶苦茶言って混乱を巻き起こしているトランプ大統領だが、オバマケア廃止は正しい決断のように思える。だが、もとに戻すだけだと非難が巻き起こるだろう。進むも地獄、引くも地獄、トランプ大統領には大難題が待ち構えている。

ずいぶん高いように思える日本の医療保険料と介護保険料だが、米国に較べればはるかにましである。日本人でよかった!!

 



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