新興国の産業構造転換で
将来的な食糧不足を懸念
― 担い手育成、販路拡大など支援が急務
激化する低価格競争を勝ち抜いていこうと、日本や欧米諸国の企業が農業国であったBRICsなどの新興国に現地工場を増やしている。このことは、かつての日本が歩んできた道と同じくして産業構造の転換がこれらの国々で起きていることを示唆している。
日本では人口が減少する傾向にあるが、世界を見ると、まだまだその数を増やしていくことが予測される。つまり、新興国の産業構造の転換で、世界的には農産物総量の減少が見込まれるものの、それを食する人間の数は増えていくということを顕わし、このままでは将来的には食糧不足、また、何らかの異常気象による世界的な不作から、食料の奪い合いが起きないとは言えない状況にあることが懸念される。
人は食べなくては生きてはいけないものである。菅直人前内閣時に閣議決定された新成長戦略の4つ目「観光立国・地域活性化戦略」の中で農林水産分野の成長産業化を掲げ、食料自給率50%、農林水産物・食品の輸出額を2.2倍の1兆円に上振れさせることが明記されてもいる。新内閣においても、担い手育成への助成の強化などスピード感をもって取り組み、さらには、就労した際の販路開拓にも積極的に支援を行なう必要があるのではないか。儲からない仕事はなかなかやりたがらないものだから・・・。