Sagami タイムズ 社説・時代への半鐘

潮流の本質を見極める

国民は何を見て取ったのか!?

2010-07-12 12:40:34 | 国際・政治

 

 第二十二回参議院選挙が行なわれ連立政権を担う民主党、国民新党が惨敗した。民主党代表の菅直人首相は敗因の理由を「事前説明が不足している中で消費税の引き上げについて触れたこと」としているが、そうではない。久しぶりに大勝を果たした自民党も、マニフェストには「消費税を当面の間10%にする」と謳っているからだ。

 

 「政治と金が足かせになった」と捉える向きもあるが、これもあてはまらないような気がする。鳩山由紀夫元首相の問題は修正申告を受理されているので与謝野馨氏が言った「平成の脱税王」は妥当性に欠き、あえて呼ぶならば「平成の高額納税者」とならなければならない。小沢一朗元幹事長の疑惑も土地購入原資にゼネコンからの裏金が含まれていない限り悪質性を感じられない。しかも、政治家は「政治と金」について極力注意を払わなければならないが、むしろ国民の側は、このぐらいのことには慣れっこのはずだ。

 

 ではなぜ、ここまでの惨敗を被ってしまったのか。「わずか10カ月で評価を下すのは早すぎる」とかばう気持ちも分からなくはない。この間に「事業仕分けによる税金の無駄遣いの洗い出し」「高校授業料無償化」「公共事業の削減」「子ども手当の支給(児童手当の拡充)」など「政府としての役割」を果たしてきたという実績もある。蓮舫行政刷新担当相などは選挙区二位の竹谷とし子氏に90万票以上、実に二倍を上回る有権者の支持を得て当選したほどだ。

 

 では、なぜ有権者はこのような結果をもたらしたのだろうか。再び「ねじれ国会」にしても良いと思うほど民主党の何を見抜き嫌気したのだろうか。

 

 それは、鳩山元首相が「米軍普天間基地の移設を辺野古沿岸とする」理由に、「中国や北朝鮮を見据えた抑止力が必要」としたことや、菅首相が「消費税の増税」の理由に「(ギリシャ危機を引き合いに)800兆を越える国の借金で財政が破綻する恐れがある」としたことに答えがありそうだ。

 

 国民は、二人の首相の発言の裏側にいる何かの姿、つまり、「官僚」の影を見て取ったのではないか。二つの理由はともに官僚が常套的に使う文句だ。「後期高齢者医療制度」「障害者自立支援法」がなかなか廃止されないのもそうだろうし、「暫定税率」などは廃止されないままで今秋には「たばこ税」の増税が行なわれる。「脱官僚」と声高に叫びながらも、実は、官僚の言うがままだ。そういった、民意を汲み取ることの無い官僚支配による政府の構図に、国民は辟易したのではないか。話しは変わるが、「国会議員給与や定数の削減」などは衆・参の両院で多数を占めていた時に自分たちで決めれば済む話しではなかったのか。

 

 

 自分たちの身を削らずに、国民に負担増を強いるだけの政治では三行半をつきつけられるのは至極当然だが、「ねじれ」のもたらす国会の混迷で日本丸の進路が不透明で不安定になったことも事実だ。その「痛み」は国民が背負うことになる。


このままでは、民主党に入れられない

2010-07-04 15:53:13 | 悩み

 少子高齢化や世界同時不況に見舞われる中でも自分たちの利権だけを守ろうとする官僚や政治家の思惑で、今回、消費税の増税が打ち出されているような気がする。

 

 

 苦しいふところ事情が分かるだけに、未来永劫に成長、そして、発展を遂げて行かなくてはならない日本、もしくは、それを自覚する日本国民にとっては納得せざるを得ないという多少歯がゆい気分もあるが、その心持ちを見抜いてか、ぬけぬけとそれを言ってのけた民主党の菅直人首相には、ほどほど頭が下がる。

 

 

 グローバル世界のもと、発行する銀行券の量に国際的なルールがある中で、財源確保のために金を集めるあらたな方法を見出さなくてはならないが、政治家や官僚などの高止まりしている所得や様々な優遇制度などを維持しながら所得の低い方々にも多大な負担を強いることとなる消費税の増税は、この時期言語道断だ。400万円以下の方々にはすべてを還付するというが、確かにもっともな話であるが、しかし、逆にそんなことしたら、地方財政に過大な負担(事務作業など)を強いることになるという側面もあるのではないか。

 

 

 税収の増加が見込まれない中、格差社会を認識しながらもあえて増税に踏み切るのであるならば、消費税の増税ではなく、困っているときには、お金持ちに少し多めに払ってもらおうとする累進課税の強化がふさわしい。とりわけ政治家には、今の倍の税率を課しても良いぐらいだ。

 菅直人首相には「国民の生活が一番」の初心貫徹で、幅の広い視野のもと、日本の未来を築いていってほしいものだ。


消費税増税より累進課税の強化

2010-07-02 21:05:12 | 国際・政治

 菅直人首相が消費税の増税論議に花を咲かせているらしい。

 この増税論議の中では、年収が400万円以下の方々には全額還付というような優遇措置を考えているともいう。

 日本は、世界的に類を見ない少子高齢化が進み、労働力の減少にともなう税収の落ち込みが続いている。運が悪いことに、今は世界同時不況でもある。右肩上がりの経済成長が見込まれない中、今後は、少ない若年層からの税収や保険料収入で多くの高齢者を支えていかなくてはならない状況だ。また、最近の不況に伴う女性の社会進出のための条件も早急に整えていかなくてはならない。

 限られた財源(税収)で、これらの問題を解決していくことは至難の業。子ども手当や高校授業料無償化、高速道路無料などを実施するに当たっては多くの国債を発行せざるを得なかったのも当然だ。

 しかしながら、日本は、多くの問題を抱えながらも永続的に健全な財政運営を続けていかなくてはならない。そのため、今回、菅首相は、消費税の増税に踏み切ろうとしているわけだが、税金の使い道の多くを占める公務員の給与が民間と比べていかがなものなのか。また、行政にはびこる二重三重構造が解消されていない。さらには、政治家の人数も多すぎるし関わる歳費も莫大なものだ。

 私の計算だと、これらを改善することにより30兆円捻出することができる。これは、消費税12~13%に相当する額だ。これらの改善策のように、消費税を導入する前には数多くのやるべきことがあると諫言するが、これらの改善ができないのであれば、現在のような所得格差社会を鑑み、消費税の増税ではなく、累進課税の強化を提案する。