地方弁理士の備忘録

仕事上の感想、意見、細部の覚え書を綴ります。

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UMAMI

2017-03-30 09:31:14 | 商標
異議2015-900261 

具体的証拠によりUMAMIの識別力がないと判断され、登録が取り消された件。被請求人自身の使用態様も引用されている。

第1 本件商標
本件登録第5761616号の2商標(以下「本件商標」という。)は,「UMAMI」の欧文字を標準文字で表してなり,平成25年10月11日に登録出願,同27年5月1日に設定登録された登録第5761616号商標の商標権の分割に係るものであって,第35類「ビール・洋酒・果実酒・酎ハイの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として,同年6月2日受付でその商標権の分割移転がなされ,現に有効に存続しているものである。

第2 登録異議の申立て理由(要旨)
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標は取り消されるべきであるとし,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第36号証を提出している。
本件商標は,標準文字をもって欧文字「UMAMI」を書してなるものであるところ,かかる欧文字は,甘味,酸味,塩味,苦味とともに,基本味の一つである「うま味」を表すものであり,「UMAMI」は,今や世界共通語になっている。
したがって,本件商標は,指定役務である「ビール・洋酒・果実酒・酎ハイの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」については,特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに,一般的に使用される標章であって,自他商品役務の識別力を欠くために,商標としての機能を果たし得ないものである。
したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第6号の規定に該当し,商標登録を受けることができないものであるから,本件商標の登録は,商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである。

第3 本件商標に対する取消理由
当審において,商標権者に対して,平成28年6月29日付けで通知した本件商標の取消理由(要旨)は,次のとおりである。
1 申立人の提出に係る証拠(各項の括弧内に掲載)及び職権による調査によれば,以下の事実が認められる。
(1)「UMAMI」の文字について
ア 「オックスフォード食品・栄養学辞典」(朝倉書店)には,「旨味 umami」の項において,「グルタミン酸-ナトリウム,タンパク質,いくつかのアミノ酸,そしてリボヌクレオチド(イノシン酸やグアニル酸)などの特別な味に与えられた名称。セイボリー風味に対する日本名で,現在,味覚の五原味の一つであると考えられている。」の記載がある(甲10)。
イ 「英辞郎on the WEB:アルク」のウェブサイトにおいて,「umami」の文字の検索結果として,「『umami』うまみ◆日本の科学者が発見した甘味,酸味,塩味,苦味に次ぐ第5の味覚(the fifth taste sensation)のこと。」の記載がある。
(http://eow.alc.co.jp/search?q=umami)
ウ 「ウィキペディアフリー百科事典」のウェブサイトにおいて,「うま味」の見出しの下,「うま味は,主にアミノ酸であるグルタミン酸,アスパラギン酸や,核酸構成物質のヌクレオチドであるイノシン酸,グアニル酸,キサンチル酸など,その他の有機酸であるコハク酸やその塩類などによって生じる味の名前。5基本味の1つ。」の記載があり,また,「日本国外,特にその存在の認知が遅れた欧米諸国の言語では,従来この『うま味』に相当する表現が存在しなかったため,現在のところ日本語を借用した『umami』を便宜上代用している場合が多い。」の記載がある。
(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%86%E3%81%BE%E5%91%B3)
エ 「紀ノ国屋 オンラインストア 食べる百科事典」のウェブサイトにおいて,「umami」の項において,「おいしさの核心は,タンパク質が分解されてできるアミノ酸です。昆布からグルタミン酸が抽出された話は有名ですが,このグルタミン酸が,アミノ酸の一種です。ほかにも,煮干しからイノシン酸,干し椎茸からグアニル酸などが,『うま味』の主成分として発見されています。こうした『うま味』の存在に早くから気がついていたのは日本人です。欧米の学者は否定的だったのですが,最近になって,舌の味蕾(みらい)にグルタミン酸受容体があることが発見され,『味』のひとつとして科学的に認知されるようになりました。そのため,国際的にもumamiという名前で呼ばれています。」の記載がある。
(https://www.super-kinokuniya.jp/%E9%A3%9F%E3%81%B9%E3%82%8B%E7%99%BE%E7%A7%91%E4%BA%8B%E5%85%B8/umami/)
(2)「UMAMI」の文字の使用例について
ア 「Umami/うま味の秘密」(日本うま味調味料協会 編)には,巻頭の「目次」のあるページ中の上部に,「昆布の『だし』の味はグルタミン酸によることを発見し,その味を「うま味」と名付けたのは,日本の池田菊苗博士です。その直後に作り出されたうま味調味料は,国内はもとより世界でも製造され,広く使われるようになりました。『うま味』も『UMAMI』という国際語になり,世界各地のシェフたちにも,和食のエッセンスである『だし』や『うま味』が注目されています。」の記載があり,また,19ページには,「国際語『UMAMI』の誕生」の見出しの下,「・・・最初の発見者である池田博士が1909年(明治42年)に東京化学会誌に発表した論文を尊重して『うま味』と呼ぶこと,また,英語の名称は『Umami』とすることが合意されました。1985年,うま味研究会主催で開催された『第一回うま味国際シンポジウム』をきっかけに,『Umami』という用語が公式に用いられるようになりました。・・・」の記載がある(甲2)。
イ 「うま味研究会」のウェブサイトにおいて,「うま味研究会とは」の見出しの下,「・・・2002年には,ヒトのうま味受容体としてT1R1/T1R3が発見されたことで,『うま味(Umami)』は基本味の1つとして認知され,今や国際語となっています。」の記載がある(甲7)。
ウ 「だし=うま味の事典」(株式会社東京堂出版)には,11ページの「01 和食の基本はだしとうま味」の項において,「和食の基本は,だしとうま味です。最近は,海外でも『UMAMI』と表記されるようになった『うま味』は,もともと日本で発見されたものです。」の記載があり,62ページには,「ニューヨークタイムズ紙は,『従来,味は四基本味だけとみなされてきたが,UMAMIは第5番目の新しい基本味である』ことを大きく取り上げました。うま味に相当する英語がないので,UMAMIを国際語とすることが研究者の間ではすでに同意されていたので,UMAMIの活字が大きく新聞紙上に載ったのです。」の記載がある(甲8)。
エ 農林水産省の平成21年度食料・農業・農村白書(平成22年6月11日公表)の181ページには,「国際語となっている日本食・食材」の見出しのコラムにおいて,「海外では日本食がヘルシーな料理として認知され,日本食レストランが多く存在し,一部の日本食・食材は多くの方が知っている国際語として広く使われています。外国の辞典(オンラインのものも含む)に複数記載されているものを調べると,下記の表にあるように,sake(酒),sashimi(刺身),sushi(寿司),tempura(天ぷら),tofu(豆腐),umami(うま味)等があげられます。」の記載があり,該表中の「用語」欄に「umami(うま味)」の記載がある(甲11)。
オ 「NHK クローズアップ現代」のウェブサイトにおいて,「“UMAMI”が世界を制す!?発見 驚きのパワー」の見出しの下,「この秋,『世界遺産』登録をめざす『和食』。その味の基本をなす『うま味』が,デンマークにある世界一のレストランを筆頭に,世界のトップシェフたちをとりこにしている。」の記載がある(甲17)。
カ 「日本食・食文化の海外普及について 食料産業局食品小売サービス課外食産業室 平成25年6月 農林水産省」には,「○ 日本食・食文化の普及の事例(従来にない日本食・食文化の普及手法)」の見出しの下,「2 発見した現場の宝」の項に,「2 イノベーションによる効果」として「各国の食文化になかった,『新鮮,ヘルシー,UMAMI』をもつ日本食文化が紹介され,驚きと関心をもって迎えられた。」の記載がある(甲21)。
キ 「JRO 日本食レストラン海外普及推進機構」のウェブサイトにおいて「『シカゴのNRA SHOW 2014に JAPAN Pavilion Umami』を出展」の見出しの下,「『UMAMI(うまみ)』パビリオンは日本食文化人気も加わり大盛況」の項において,「・・・日本からはNPO法人日本食レストラン海外普及推進機構(JRO)関係企業16社が積極的に参加し,『UMAMI(うまみ)』という名前の日本パビリオンで日本食文化をアピールした。」の記載がある(甲23)。
ク 「JRO 日本食レストラン海外普及推進機構」のウェブサイトにおいて,「恒例の2015年全米レストラン協会(NRA)ショーに出展」の見出しの下,「『UMAMI(うまみ)』パビリオンで日本食文化をアピール」の項において,「・・・日本からはNPO法人日本食レストラン海外普及推進機構(JRO)関係企業2社が参加し,『UMAMI(うまみ)』パビリオンでメニュー提案を行い,日本食文化をアピールした。」の記載がある(甲24)。
ケ 「和食のすべてがわかる本 4 和食からWASHOKUへ 世界にひろがる和食」(ミネルヴァ書房)には,「和食の海外普及」の見出しの下,「NRA・SHOWというのは,アメリカ最大規模の食関連見本市のこと。ジャパン・パビリオンの全体テーマは,和食の最大の特徴でもある「うま味」。いまや世界共通語となっている『UMAMI』をアピール。」の記載がある(甲25)。
2 商標法第3条第1項第6号該当性について
本件商標は,前記第1のとおり,「UMAMI」の文字からなるところ,該語は「うまい味。また,その程度。(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)」等の意味を有する語の「うま味」の文字を欧文字で表したものであり,近年においては,前記1のとおり,該「UMAMI」の文字は,多数の書籍等にも掲載される語となっており,甘味,酸味,塩味,苦味に次ぐ第5の味覚を表すものとして,国際的にも認知された語である。
そして,和食や食品の基本味としての「うま味」に通じる「UMAMI」の文字は,一般的に多数の人々によって使用される語として,日本国内はもとより,海外にも広く認識されているものというのが相当である。
そうすれば,本件商標をその指定役務「ビール・洋酒・果実酒・酎ハイの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について使用しても,その役務における提供の用に供する飲料を含む食品に関しての品質を表示する食品の基本味の1つとして国際語としても認められた「UMAMI」として認識するにとどまり,自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものであるから,本件商標は,需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものである。
以上によれば,本件商標は,商標法第3条第1項第6号に該当する。

第4 商標権者の意見の要旨
商標権者は,前記第3の取消理由に対して,平成28年8月10日付けの意見書を提出し,以下の意見を述べている。
1 「UMAMI」の識別力
取消理由には,「うま味」に通じる「UMAMI」の文字は,一般的に多数の人々によって使用される語として,日本国内はもとより,海外にも広く認識されているものというのが相当である。」と指摘されている。「うま味」「旨味」が第5の味覚として日本のみならず世界において認識されつつある点は否定しない。
しかしながら,外国でならばともかく,日本では「うま味」「旨味」と表記するのが自然であり,わざわざ欧文字で「UMAMI」と表記することは一般的なものではない。語句中に漢字が使用されていれば,その漢字が有する意味合いから,言葉の意味合いを直感的に認識できるが,文字自身が固有の意味を持たないアルファベットで「UMAMI」と表記されてしまうと,かえってその意味を理解し難いからである。また,英語などに比べ,日本語では同音異義語が多数存在するという問題もある。すなわち,二字熟語を漢字ではなくひらがな・カタカナ,あるいは本件商標のように欧文字で表記するとその言葉がどのような意味合いで使用されているのか全く分からなくなってしまうからである。本件商標の場合も,「UMAMI」からは取消理由通知で指摘された味覚の一つの「うま味」の他に,「うまい味,また,その程度」,「巧みなこと。おもしろみ。」,「商売などで,普通以上にたやすく生ずる利益」といった意味合いも想起させるものであり(『広辞苑第六版』(第1号証)),さらには,地名としてのあるいは人名としての「馬見」も現に存在している。このような複数の意味合いを連想させる「UMAMI」に接した需要者,取引者が,当該表記から一義的に直ちに味覚としての「旨味」を連想することは甚だ困難である。
2 小売商標について
本件商標は,商品商標ではなく,小売等役務に関する商標である。特許庁が平成19年7月に発行した「<説明会テキスト>平成19年度\小売等役務商標制度説明会」には,小売等役務についての商標の使用に関し以下のような記載がある(第2号証)。
「(1)『役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(譲渡し,又は貸し渡す物を含む。以下同じ。)に標章を付する行為』(商標法第2条第3項第3号)
小売等役務についての『役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物』としては,例えば,次のような物品が考えられます。したがって,それらの物に標章を付する行為が該当することになります。ただし,取扱商品等については,個別の商品の出所のみを示すような表示態様(商品に直接,刻印や印刷して表示する態様等)で標章を付す場合を除きます(20頁,第2部5.を参照)。
ア 店舗内の販売場所の案内板(各階の売り場の案内板)
イ 店内で提供されるショッピングカート・買い物かご
ウ 陳列棚
エ ショーケース
オ 接客する店員の制服・制帽・名札
カ 試着室
キ その取扱商品や包装紙,買い物袋 」
と記載されている。小売等役務商標は,平たく言えば「小売等店舗の名称」であって,商品との密接な関係を有するものではなく,商品自体の出所を表示するものではない。「UMAMI」が商品商標として商品に付されているのであれば,「うま味」を一義的に認識させる,すなわち品質表示と理解される可能性はあるかもしれない。しかしながら,本件商標はあくまでも小売等役務商標であり,「UMAMI」という名称の「小売等店舗」を表示したものなのである。上の使用例でいえば,商標「UMAMI」が,店舗内の販売場所の案内板として使用され,店内のショッピングカート・買い物かごに付され,陳列棚・ショーケースに付され,店員の制服等に付され,そして,商品の包装紙・買い物袋等に付されるのである。そもそも本件商標は「旨味」でもなく「うま味」でもなく「UMAMI」なのである。上記のような小売等役務での使用態様において「UMAMI」に接した取引者・需要者が,この語句を店舗において販売されている飲料に関しての品質(具体的には食品の基本味)として認識するよりも,店舗の名称等として認識すると考えるのが自然である。
もちろん,「商標自体は小売等役務そのものの品質等を表示するものではなかったとしても,商品の説明等において普通に使用されるものであるから,このような商標は小売等役務について使用しても自他役務の識別力を発揮するものでない」として商標法第3条第1項第6号に該当するという考え方もありうる。実際,商標審査基準にはそのような記載がある。しかしながら,繰り返しになるが,本件商標は「うま味」「旨味」ではなく,ローマ字による「UMAMI」なのである。商品の品質を説明する際に「うま味」「旨味」ではなく,意味合いを直感しにくい「UMAMI」をわざわざ使用することは,簡易・迅速を尊ぶ商標取引において決して一般的ではない。そもそも,商標中に取扱う商品の品質を表す文字があったとしても,その商標が商標権者の店舗名,商号,屋号等の商標として使用されることが明らかな場合には,当該文字等の部分だけを殊更に着目して,取扱う商品の品質のみが想起される訳ではない。
3 まとめ
以上のとおり,本件商標を小売等役務に使用したとしても,これに接する取引者,需要者は,その役務において提供の用に供する飲料を含む食品に関しての品質を表示するものとしてではなく,出願人が行う小売等役務における店舗名,商号,屋号等のとして充分認識し理解し得るというべきであって,本願商標は自他商品(審決注:「自他役務」の誤り。)の識別標識としての機能を充分に果たし得るものと考える。

第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項第6号該当性について
本件商標について,前記第3の取消理由は,妥当なものであって,本件商標は,商標法第3条第1項第6号に該当するものである。
2 本件商標権者の意見について
(1)「UMAMI」の識別力について
商標権者は,「本件商標は,取消理由通知で指摘された味覚の一つの『うま味』の他に,『うまい味,また,その程度』,『巧みなこと。おもしろみ。』,『商売などで,普通以上にたやすく生ずる利益』といった意味合いも想起させるものであり,さらには,地名としてのあるいは人名としての『馬見』も現に存在している。このような複数の意味合いを連想させる『UMAMI』に接した需要者,取引者が,当該表記から一義的に直ちに味覚としての『旨味』を連想することは甚だ困難である。」旨を述べている。
しかしながら,前記第1のとおり,本件商標は,「UMAMI」の文字からなるところ,該語は「うまい味。また,その程度。」等の意味を有する語の「うま味」の文字を欧文字で表したものであり,近年においては,該「UMAMI」の文字は,多数の書籍等にも掲載される語となっており,甘味,酸味,塩味,苦味に次ぐ第5の味覚を表すものとして,国際的にも認知された語である。
そして,和食や食品の基本味としての「うま味」に通じる「UMAMI」の文字は,一般的に多数の人々によって使用される語として,日本国内はもとより,海外にも広く認識されているものというのが相当である。
そうすれば,本件商標をその指定役務「ビール・洋酒・果実酒・酎ハイの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について使用しても,これらの役務における提供の用に供する食品に関しての品質を表示する食品の基本味の1つとして国際語としても認められた「UMAMI」として認識するにとどまり,自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものであるから,本件商標は,需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものである。
よって,商標権者の上記主張は,失当である。
(2)小売等役務商標について
商標権者は,「本件商標は,小売等役務に使用するものであるから,商標権者の店舗名,商号,屋号等の商標として使用されることが明らかな場合には,当該文字等の部分だけを着目して,取り扱う商品の品質のみが想起される訳ではなく,本件商標は,自他識別標識としての機能を充分に果たし得る。」旨を述べている。
しかしながら,食品小売店やスーパーなどの食品売り場等で,店の看板や販売コーナーに「UMAMI」の文字を掲げれば,需要者は,そこで売られている商品が食品であれば,第5の味覚(基本味)に通じる「うま味」を想起するものであり,「うま味」つまり食品との関係では「うまい味」がする食品を取り扱っているものと連想するのが自然である。
また,陳列棚やショーケースに,本件商標が使用された場合でも,需要者は,うまい味がする食品を陳列棚やショーケースに並べて取り扱っているものと想起するものである。
さらに,本件商標を食品に関する広告に使用する場合があるとしても,この広告に触れた需要者は,うまい味がする,つまり,おいしい食品を取り扱っているものと想起するだけで,商標として認識しないものというのが相当である。
すなわち,本件商標の指定役務を含め,食品に関する小売等役務に一般的によく知られ親しまれている「うま味」を意味する「UMAMI」の文字を使用した場合には,需要者をして,そこで取り扱う食品が「うま味」があるものであることを強調した宣伝文句の類と認識するにとどまり,これを自他役務の識別標識としては認識し得ないとみるのが相当である。
加えて,本件商標は,その指定役務における提供の用に供する食品に関する品質を表示する食品の基本味の1つとして何人も使用する必要があり,かつ,何人もその使用を欲するものであって,また,現実に使用され,あるいは,将来一般的に使用されるものというべきであるから,本件商標を一私人に独占することを認めるのは妥当ではない。
なお,被請求人は,甲第36号証の同人のホームページにおいて,「生ビール」に「UMAMI」の文字を表示して使用している事実が認められ,「生ビール」は,本件商標の指定役務で取り扱う商品と認められるものであり,小売等役務に使用しているものとはいえないばかりか,同号証には「そのビールに,UMAMIはあるか。」,「UMAMI!実感!」など,「うま味」を意味するものとして「UMAMI」の文字を使用しているものである。
よって,商標権者の上記主張は,失当である。
(3)小活
以上よりすれば,本件商標は,これを指定役務「ビール・洋酒・果実酒・酎ハイの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に使用するときには,上記指定役務における提供の用に供する食品に関しての品質を表示する食品の基本味の1つとして国際語として認められた「UMAMI」として認識するにとどまり,自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものであるから,本件商標は,需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものである。
したがって,商標法第3条第1項第6号に該当するものである。
3 まとめ
以上のとおり,本件商標は,商標法第3条第1項第6号に違反して登録されたものであるから,同法第43条の3第2項により,その登録を取り消すべきものである。
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