相川技能伝承展示館は相川郷土博物館の隣にある。入場は無料である。無名異焼体験と裂き織り体験ができる。前者は、佐渡金山でしか採ることのできない無名異と呼ばれる鉄分の多い赤土を使い、ろくろを回したり、予め形ができあがったものに名入れをしたりして、オリジナルの作品を作る体験である。裂き織りとは、外海府地区に伝わる佐渡独特の織物で、古い木綿を裂いて横糸に使う。柄は世界に一つしかなく、丈夫で長持ちするのが特徴だ。地元の小中学生が社会体験授業の一環として訪れたり、島内に住み、そうした技能の保存体験に興味を持つ人々が時折やってくる程度で忙しい観光客が体験に訪れる事はあまりないようである。体験形の観光施設なので郷土博物館のような知的な深みはなく、「何だこれだけか」という感じを抱いてしまう。館内には文弥人形の紹介などもあった。佐渡の伝統的技能には船箪笥の作成、人形芝居の人形の作成、竹細工工法、和船の造船技術、味噌や酒の生成技術など、探せば幾らでも伝承すべき技能はある。これらを紹介するような館内構成にすべきではないだろうか?