国民と言う者は、そのほとんどが目先の事しか考えない。それはそうだ、大局に立ち、天下国家を論じるのは政治家に任せておけばよく、庶民の最大の関心事は、目の前のそして明日からの生活だからだ。民主党政権になってから、北朝鮮の大罪である拉致問題に対する世間の関心が薄れているような気がしてならない。人々の同情が、拉致被害者から東日本大震災の被災者に移ったと言う事情があるのかもしれないが。。。小泉訪朝で拉致被害者を連れ帰った時のあの熱狂は?と思うくらいに、歳月が経過し、この間、総理大臣の顔が5回も変わった。佐渡にも拉致被害者のご夫婦がお住まいである。筆者は、佐和田の諏訪町のラーメン屋で被害者の女性のお顔を一度見かけた事があった。ご主人である米国人は、佐渡歴史伝説館の土産売り場で働いている。佐渡の観光業者は氏の知名度を上手く利用し、「ここへ来ればジェンキンスさんに会えます。ジェンキンスさんは頑張っています」などとパンフレットに記載し、氏を人寄せパンダ役に仕立て上げ、観光客誘致に努めている。言葉は悪いかもしれないが、何だか、観光振興の名の下に、拉致被害報道で有名になった人を食い物にしているような気がしないでもない。拉致事件報道には、朱鷺の放鳥、雛誕生、佐渡高校の甲子園出場と同様、佐渡を全国区に押し上げる宣伝効果があった。だが、それらはいずれも一過性のブームにしか過ぎないのに、観光関連業者がいつまでも、「夢よもう一度」とそれらによる集客効果にすがりついているのが滑稽である。無論、朱鷺が住めるほど自然が綺麗な島をアピールするために、雛誕生による観光客増加効果を一過性のブームに終わらせてはいけないし、拉致事件を風化させてもいけない。だが、世間一般の人々の関心と言う物は実に移ろいやすく、一年も経てば急速に関心は薄れていく。
かつて拉致被害者を救う会の事務局長が参議院選挙に出馬したが惜しくも落選した。つくづく外交は票にならないと感じたものだが、北朝鮮問題に熱心な人よりも、消費税や年金問題に熱心な人の方を選ぶのが一般大衆心理なのだ。そして一般大衆と言うものは、耳障りのいい政策や公約を並べる新味のある政党に投票したがる。はっきり言って自身もそうだが、日本国民はそれほど賢くはない。だから、バラマキバラ色公約をマニフェストに掲げた民主党政権を選んだし、今度は大坂の一地域政党が、あるメデイアの世論調査で、年内にも予想される総選挙の比例代表の投票先として第一位に躍り出たそうだから、衆愚政治で日本はいつかは滅びるかもしれない。さすがに日本国民は、国政経験の無い党首や幹事長が率いる政党に国を任せるほど馬鹿ではなさそうだが、参議院廃止などと言う非現実的な公約を掲げる政党の風を頼りに立候補する面々にろくな人物はいないようである。瞬間芸、一発屋だけで国政に進出しようとする、この小賢しい政治屋集団、維新の会と言うらしいが、大衆に迎合するがあまり、日本の将来を潰すような事だけはしないでくれ。この維新の会の人気は、かつての日本新党ブームの再来であり、いずれ日本新党と同じ運命を辿るだろう。歴史は繰り返すからだ。首長と党首の兼任は土台無理な話だし、この会に群がる国会議員に大物はいない。維新の会は民主党以上に国政の運営能力が低く、こんな会に国民の関心が向いているのは気持ちの悪い話である。まあ、いずれ馬脚を現すだろうが。。。