小春奈日和

赤ちゃんは、人間は、どのように言葉を獲得するの?
わが家の3女春奈と言葉の成長日記です。

597 八千矛の神 その2

2017年06月20日 01時08分56秒 | 大国主の誕生
大国主の誕生597 ―八千矛の神 その2―
 
 
 仁徳天皇に関する伝承の中には出雲神話に共通するものがあります。
 
 『古事記』には、応神天皇が御子たちの中から、大山守命、大雀命(仁徳天皇)、宇遅能和紀
郎子(ウジノワキイラツコ)の3名を呼び、
 「大山守命は山海の政をせよ。大雀命は食国(おすくに)の政を執れ。宇遅能和紀郎子は天皇の
位につけ」
と、言う場面があります。これは、イザナキが御子神たちの中から天照大御神、月読命、須佐之男命
(スサノオノミコト)の3神に、
に対して、
 「天照大御神は高天の原を治めよ。月読命は夜の食国を治めよ。須佐之男命は海原を治めよ」
と、言ったことと共通しています。
 一見すると、応神天皇の説話は神話から採ったように思われますが、しかし天照大御神という神の
成立が7世紀頃と考えられること、天照大御神とスサノオが姉弟とされるようになったのもこの頃だと
考えられることなどを考慮すると、むしろ応神天皇の説話の方が古い可能性もあるのです。
 
 次に、『日本書紀』には次のような話が載せられています。
 
 十六年の秋、天皇(仁徳天皇)は、女官の桑田玖賀媛(くわたのくがひめ)を舎人たちがいる中に
呼ぶと、舎人たちに、
 「朕はこの玖賀媛を后にしたいと願っていたが皇后の嫉妬がひどくてそれが叶わない。だからと
言ってこのまま歳をとらせるのも忍びない」
と、話し、
 
 水底(みなそこ)ふ 臣の少女を 誰養はむ
 
と、歌を詠んで問いかけた。
 ここに、播磨国造の祖速待(はやまち)が進み出て、
 
 みかしほ 播磨速待 岩くだす 畏(かしこ)くとも 吾養わむ
 
と、詠んだので、天皇は玖賀媛を速待に賜った。
 しかし、玖賀媛は、
 「大君のおそばにいることが叶わないのであれば、私は一生独り身でいたいと思います」
と、言って速待の妻になることを拒んだので、天皇は玖賀媛を桑田に送り返すことにした。
 ところで天皇は、速待が玖賀媛を妻にしてくれることを望んでいたから、速待を桑田まで送らせる
ことにした。
 しかし、玖賀媛は病にかかり、その道中で亡くなってしまった。
 
 ここに登場する桑田とは、丹波国桑田郡のことだと思われます。
 『古事記』の「崇神記」には、日子坐王が丹波の玖賀耳之御笠(クガミミノミカサ)を殺した、とあり
ますが、ともに玖賀の名を持つのは偶然でしょうか。
 
 ところで、これと似た話が『古事記』にもあります。
 こちらは、吉備の海部直(あまべのあたい)の娘の黒日売(くろひめ)が美人であると聞いた仁徳
天皇が宮中に召しますが、黒日売は皇后の石之日売命(イワノヒメノミコト)の嫉妬を恐れて故郷に
帰ってしまうというものです。
 
 この2つの話と共通したものが神話にもあるのです。
 いわゆる稲羽の素菟(しろうさぎ)伝承で、大国主と結婚の約束をした八上比売です。
 スサノオの試練を終え須世理比売を妻に迎えた大国主は、あらためて八上比売を妻として出雲に
つれて来ますが、八上比売は正妻である須世理比売を恐れて、自身が生んだ木俣神を置いて
因幡に帰ってしまうのです。
 
 仁徳天皇にはもうひとつ、次のような伝承が『古事記』にあります。
 
 仁徳天皇は皇后が紀州に御綱柏(みつなかしわ)を採りに行幸している間に、異母妹の八田若郎女
(ヤタノワキイラツメ)を後宮に入れてしまいます。
 皇后が天皇の難波宮に戻る途中、帰郷の途中であった、水取司に仕える吉備国の児島の仕丁が、
皇后に仕える倉人女に、こう話しかけたのでした。
 「天皇は近頃八田若郎女を後宮に迎えられ、昼も夜も問わずたまむれ遊ばされていることを皇后は
ご存じないのでは?あのようにのんびりと旅を楽しまれておられるのだから」
 倉人女がこの話を皇后に伝えると、皇后は激怒し、難波宮には帰らずに、山城国綴喜郡に住む
渡来人、奴理能美(ぬりのみ)の家に入ってしまったのでした。
 
 なお、ここに登場する児島の仕丁ですが、仕丁とはいわゆる人足のことなので、身分の低い無名の
者です。
 
 さて、仁徳天皇にまつわる3つの伝承を紹介したわけですが、これらが天皇の恋話、あるいは皇后の
嫉妬という共通点だけでとらえてよいのでしょうか。
 これらの説話には他にも共通している点があるのです。
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