五十路おやじの洋楽日記

50代のおやじ二人が綴る70年代ロックを中心とした身辺雑記。

密航 / 佐井好子

2017-07-08 11:39:19 | Album Review
少し前、古いカセットテープを整理していて出てきたのが、佐井好子の「人のいない島」という曲。

 人のいない島に行って 人のいない島に住んで
 誰にも会わず 誰とも話さず
 水面にうかぶ 白き肌の
 われとわが身に 恋をする

懐かしいなあ、約40年ぶりの邂逅。その後、彼女の作品がCD化されて販売されていることを知り、この曲が収録されたセカンドアルバムを買ってみた。

1. THEME~母さまのうた~鏡地獄
2. 春
3. 絹之道
4. 人のいない島
5. 眠りのくに
6. 天使のように
7. 漂流船
8. 密航

佐井好子は奈良出身で1975年にデビュー、本作は76年に発表された。70年代半ばは個性的な女性歌手を多く輩出した時期だったが、例えば森田童子あたりと比べても、佐井好子はそれほど重苦しくないし、アクも強くない。歌声はハイトーンヴォイスであるものの、ややくぐもっていて落ち着いた感じ。昭和のモダニズムや伝奇小説:探偵小説に影響を受けた耽美的・幻想的な歌詞が特徴。「鏡地獄」という曲名は江戸川乱歩の作品名そのものずばりだし、収録された曲の歌詞を聴いていると「孤島の鬼」「人でなしの恋」・・・といった乱歩作品のタイトルを次々と連想する。
アルバム中で唯一、明るいリズムとメロディである「天使のように」の歌詞もこんな感じ。

 赤ん坊の背中に羽つけて 窓から外へ飛ばせたら
 天使のように夕空を 高く飛んでいくのかな アハハン

アハハンじゃないだろ!あのねのねの「赤とんぼの唄」にもインスパイアされたのかも知れない、ちょっとブラックな味付け。
アルバムタイトルは「密航」、自作のイラストも中近東風、シタールの演奏が随所に聴かれる等、このアルバムのモチーフは遠いシルクロードへの旅への憧憬、といったところだろう。だが、「母さまのうた」に代表されるような日本的な歌もあり、全体を通すと少し散漫であるが、いろんな映像を想起させるキーワードを散りばめた歌詞によって、彼女の伝えたかったであろう心象風景は十分に伝わった。
彼女はその後、レコード会社を移籍して2枚のアルバムを出して79年に活動停止したものの、2001年にまた活動を再開したらしい。

今の日本の音楽シーンのことはよくわからないが、元気な人生応援ソングが多いように思う。一概に否定しないけど、そういう曲ばかりじゃつまんないな。ちょっと屈折して内省的な歌を歌う彼女のようなタイプの歌手はまだいるのだろうか。

(かみ)
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