■2007年 日本 115分
■2007.11.3 TOHOシネマズ緑井 with y
■監督 堤幸彦
■出演
中谷美紀(森田幸江) 阿部寛(葉山イサオ)
遠藤憲一(あさひ屋マスター)
カルーセル麻紀(福本小春)
ミスターちん(難波警部) 金児憲史(船場巡査)
蛭子能収(新聞販売店主) 島田洋八(ポン引き)
松尾スズキ(中年男) 岡珠希(中学時代の幸江)
丸岡知恵(中学時代の熊本さん)
Mr.オクレ(喫茶店主) 佐田真由美(森田秋子)
アジャ・コング(熊本さん)
斉木しげる(訪問販売の男) 竜雷太(組長)
名取裕子(美和子=幸江の母)
西田敏行(幸江の父)
《story》
大阪、通天閣が見える町。パーション飛田の一室では、今日もちゃぶ台がひっくり返されていた。それでもイサオを待ち続ける幸江。彼女の人生は不幸そのもの。母親に捨てられ、父親は銀行強盗をして捕まり、学校ではいじめられ、不幸を一手に背負った人生だった。でも、幸江が裏切った熊本さんは、心の友達となってくれた。町を出るときは、餞別の弁当と五円玉。大阪では、薬とお客をとる商売。やっぱり不幸な人生だと壊れかけていたとき、やくざのヒサオが真面目な顔で「愛している」とつきまとった。自殺をはかって、薬の更正施設から退院した日、ヒサオは小指を切ってやくざの世界から足を洗い、幸江を迎えに来た。しかし、ヒサオは思うように働けず、遊び酒におぼれる毎日を過ごすようになった。幸江は、ラーメン屋で一生懸命に働き、生活費を作った。幸江に子どもができた。幸江は、迷っているうち事故で病院に担ぎ込まれた。
私はなんて不幸なんだ
いつもそう思っている。けっこうそんな人は多いのかもしれない。しかし、幸江の人生はかわいそうすぎる。新聞配達をしている健気な幸江、一本の牛乳とまんじゅうに幸せを感じられるなら、それはすばらしいことだと思うんだけど。でも、それすら認められなかった。せめて学校の中だけでも、同じ大地に立っている気持ちにさせてあげてほしかったと、たとえ偽善でもいいじゃないかと思うのだった。松本さんもいい人だけど、自分から人と離れていこうとしている感じがする。貧しくても、共有できるものはある。貧しいからと全てが違う世界に分かれるわけじゃない。
ヒサオは一度はまっとうな人間になろうとしてうまくいかずやけになった。子どもができて、再びまっとうな人間になったところでハッピーエンド。海岸の場面が永遠に続きますように。祈るばかり。ついついその後は・・・って考えてしまう。もしかしたら、ラーメン屋のおかみになる方が幸せかもしれない。あえて冒険を求めるところに不幸の始まりがあるのかも。いやいや5円玉の幸せを感じることができれば、何より幸せかも。5円玉に願いをこめて。幸せを感じることができますように。
公式サイト「自虐の詩」