ソムタム学級通信 ★さちえのタイ生活★

2010年6月より青年海外協力隊、養護隊員としてタイへ。バンコクより北へ450キロ東北部のコンケンで日々試行錯誤の記録。

ナーリッガー

2011年12月28日 15時56分16秒 | コンケン 第9特別教育センター
私に会うといつも、「クーサーイ ジャパイナイ?」(さちえ先生 どこいくの?)
と聞く子がいる。


タイ人は、まるであいさつのように、「どこいくの?」と「ごはん食べた?」を聞く。
すれ違いざまに聞いてくるので、「ええと、今からどこどこにいこうと思って・・・」
と、もごもごとこちらが答えようとしていると、
聞いた相手はさっさと通り過ぎてしまっている。
あれれ? と拍子抜けするときがあった。
タイ人は答えを求めてきいてるのでもなく、あいさつ感覚で
「どこいくの?」「ごはん食べた?」を言うのだ。

だから、「ジャパイナイ?」(どこいくの?)は決して珍しい言葉ではないのだが、
配属先第9特別教育センターには、様々な障害のある子たちがいる。
しかも、多くが6才未満の子どもたち。
発語がなかったり、会話をすることが困難だったりする。
そういう中で、タイ人らしく「どこいくの?」をいつも聞いてくるこの子は
ちょっと特別。
大人が聞くことはあっても、子どもたちで「どこ行くの?」と
私に声をかけるのはこの子一人だけだ。


この子が最近、私の腕時計にとても興味を持っている。
「ナーリッガー クーサーイ イーホー アライ」
(さちえ先生の腕時計のメーカーは何?)
と聞いてくる。
お母さんが「この子、メーカーが好きなんです。」と言う。

自閉症は、なにかに強くこだわりを持っていることが多い。
この子は物それぞれのメーカーが気になり、知りたい、
それがこの子のこだわり。


「CASIOだよ」
というと、それからは 会うたびに
「さちえ先生の腕時計のメーカーは何?」
「CASIOだよ。」
この会話が私たちの慣例になった。
会うたびに聞かれ、そのたびに答える。
この子にとって大事な儀式であり、「ジャパイナイ?」(どこいくの?)
に代わるあいさつでもあるのかもしれない。


今日も、食堂で会ったとき、
「さちえ先生の腕時計のメーカーは何?」
ときく。
「CASIOだよ。」

それで終わるのだが、もう一声
「CASOIOの腕時計がほしい?」と聞いてみる。
何度か質問して、数回目に「ほしい」と答えてくれる。
じゃあ、作ってあげよう。
と、持ち歩いている色紙とハサミと文房具で腕時計を作ってあげる。
まずは色を選んでちょうだい。 


この子の選んだ緑の濃い色で、時計をプレゼント。
なになに?なにつくるの?と興味津々なので、ごはんが進まない。
お母さんが「食べなさい、さあ、食べなさい」とせかすが、
私と目があって、お母さんも苦笑している。


「さあ、何ができるのかなー??」と、時計を作る私の隣で
ごはんも食べずにじっとのぞき込む。
できた♪
      


どう? CASIOの時計だよ。
真ん中にはチューリップ。
腕につけられ、しげしげと腕時計を見つめる。
つけごこちはどう?
      


けっこう嬉しそうじゃないかな?
      


腕につけてあげると、にまにましてずっと時計を光りにかざしたり、
揺らしたりして楽しんでいたけど、
お母さんから「ホラホラ!もう!食べなさい!」
と、ごはんを口に押し込まれ、もぐもぐしながらにっこり。
      

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