ソムタム学級通信 ★さちえのタイ生活★

2010年6月より青年海外協力隊、養護隊員としてタイへ。バンコクより北へ450キロ東北部のコンケンで日々試行錯誤の記録。

食べてしまった イサーン名物 昆虫食 「チンリート(こおろぎ)」

2011年01月17日 17時08分40秒 | コンケン 第9特別教育センター
このあいだ、ナムプリックの中に混じっていた
よく分からない小さな幼虫らしきものを
知らぬ間にうっかりと口に運んでしまい、結果的に
食べてしまったのだが    (→過去ブログ 「食べてしまった」


私のいるコンケンは、イサーン(東北)と呼ばれるところ。
イサーンでは、昆虫を食べる。
肥沃のない、貧しい東北地方では、かっては昆虫が貴重なタンパク源だったのだ。
その名残で、いまでも様々な昆虫を食べる。 
以前、福岡からやって来た友達が、昆虫にトライして
昆虫を売る屋台にて、虻か蜂のようなものを一つだけ食べていたが → 過去ブログ 「福岡からやって来た友達」
私はまだ 食べたことはなかった。


が、
とうとう、その洗礼を受けるときがやってきた。

ある日のこと。
授業が終わって、先生と雑談する私の目の前に
ドン と置かれたタッパー。

また、おいしい食べものかと 目をやると
そこには、ぎっしり詰まった黒い昆虫たちが。
   


思わず、 「ギャアアーーーーーッッ!」と
悲鳴を上げて立ち上がると、みんな大笑い。
もちろん、私の反応を楽しむために、わざと私の目の前に置いたのだ。


おいしいから 食べてみて
ほらほら、私も食べるから見ててごらん
ね、こうやって食べてるでしょ?
おいしいのよ、本当よ、 ほらほら ホレホレ
        


と、おいしそうに食べてみせる先生たち。

じーっと、もう一回見てみるけど、おいしそうには全然見えない。
   
ちょっと小さめだけど、
どう見ても、
これは、コオロギだ。
私の実家でもなじみ深いコオロギだ。



たべて 食べて さあ、さちえ、食べて!
とはやされ、引くに引けない状態に。
日本でだって、私たちがおいしいと自信を持っている食べものを
外国人から、グロテスクだの気持ち悪いだのいわれると、
いい気はしない。 ムッときちゃう。
だから、タイでも、
タイの人たちがすばらしいというものは、そのすばらしさを理解できるように
おいしいというものは、一緒に口にしておいしいと感じたいと
そう思って今までやってきた。

そのへん、問題なくうまくやれていて、なんでも楽しめていたのだが、
今回は、これまでのタイ生活中、一番の難所。


「手・・・手がある、足がある!」と怖がる私に、羽や手足をむしってくれるが
かわいいコオロギが痛ましい姿になってしまい、
それはそれで、また、かなりこわい。


どうせなら、タイ人と同じように、
その姿のままのコオロギを食べなくちゃ、とがんばる。


    
  こわいよう  こわいよう おそる おそる  うぎゃ! うぎゃ!
   手でつまむだけでも がまんできず悲鳴をあげてしまう


   
   「あーーーーーん」
   だけど、この先の一歩が進めない。 口の中に放り込めなーーーい!!!



   
   「むりーーーーーーーーーーッッッッ!!」
    余裕がなくなり、完全に日本語で叫ぶ。



何度も口に運んでは、放り込めず、
繰り返す私に、
「スースー!」(=がんばって!)
「ほら、1・2・3!」
と、叱咤激励しつつ、カメラを構える2人の先生。


「クルア!」(=こわい)
こわい!
こわい! こわいです!
とギャアギャアいいながら、5分後、とうとう口に入れた。
口に入れるまで、そして 噛むまでが 相当の勇気がいる!
ううううう・・・・ といや~な汗をかきながら、
噛む。

じゅわっと、香ばしい液体が出て、

・・・・・あら???

「あ・・・・・ アロォイ」(おいしい)  


「でしょう?でしょう?」
「おいしいでしょう?」  と嬉しそうな先生たち。


考えてみれば、そりゃ、みんなが美味しいっていって食べてるんだもの、
美味しいに決まってる!
本当にタンパク源がとりづらかった昔と違い、今のイサーンは食べものにあふれている。
それでも、まだこうして昆虫を食べているってことは、美味しいからだ。
美味しくなきゃ、食べるわけないでしょ!


昆虫を食べることの恐ろしさにとらわれてなかなか踏み出せなかったけど、
先入観って、人間の世界も可能性も せばめてしまうものだな。



カメラを構えていた先生が、写真を撮るとみせかけて、こっそり動画で撮ってくれてた。
はじめて昆虫を食べる瞬間。 いやあ~、いやな汗かいたけど、美味しかった。
いい経験だ。





「日本にもいるの?」
「飼ってるの?」
「日本人は食べないの? いいわねえ、じゃあ、その分たくさん食べられるじゃないの。」
「日本に戻ったら、さちえが作ってあげて、家族に食べさせてあげなさいね。」


 いやあ・・・・
 家族は・・・ 食べてくれるかな?
 いやあ・・・・・
 庭にいるコオロギを捕まえて調理するまでは、そんな自信がまだ 私にはありません。


ひとつ、つまみ出してみた こおろぎが、
まるで、「あー 食べられちゃう・・・。」
と、落ち込んでいるように見える。

   



コオロギくんへ
  ごめんねぇ。
  日本にいたら、他の生き物に食べられることはあっても、
  油で炒められて味付けされ、ネギと和えられることはなかっただろうねえ。
  小さいときは、よく君を捕まえて遊んだものだったよ。
  秋にはすごくいい声で鳴いてくれるんだよね。
  そんな君を口に入れて噛んじゃうなんて、
  無謀だった子どもの私でもやらなかったことだ。
  君を食べちゃうなんて、1年前は思いもしてなかったよ。
  
  だけど、なかなかジューシーだったコオロギくん。
  いただきました。ごちそうさま。
  「お昼ごはんのあと、みんなでコオロギを食べようね!」と誘われたので、これからまた食べにいってきます。
  好きになっちゃいそうだよ、コオロギくん。

  では。




  次回 「食べてしまった 昆虫食  カイモッデーン(蟻の卵)」へ続く







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