5月とは思えない日差しのなか、池袋から東上線で75分・終点の小川町までぶらっと旅へ。
埼玉県秩父に隣接するこの地域は、都内より夏は+2度、冬は-2度。およそ八王子市の気候と似ているようです。
この一見パットしない小川町が、一躍有名になったのは、やはり コレでしょう。
平成26年・伝統的な手すき和紙の『細川紙』がユネスコ無形文化遺産登録
ということで、さっそく小川町へ降りてみると、昔ながらの商店街が目に入ります。歩道には、額田王や持統天皇、天武天皇などの短歌の立て札がひっそりと並んでいます。
熱田津(にきたつ)に 船乗りせむと 月待てば 潮もかなひぬ 今は漕ぎ出でな 額田王
鰻、団子屋、うどん・蕎麦など、素朴なお店が軒を連ね、食欲もMAXになったところで、今回の目的地・割烹旅館 二葉へ到着。
創業260余年のコチラの本館と庭園は、有形文化財に指定されているそうです。
この日は本館で結婚式のため貸切りであったため、上階にある客室・生絹(すずし)へ通されました。
客室からは庭園が眺められます。
ランチは
○竹籠御膳「葵」 2,500円(税別)
○春のミニ懐石 3,500円(税別)
○牛まぶし重 2,500円(税別)
○お子様膳 2,000円(税別)
その他、予約料理に
○うな重 4,000円(税別)
○会席料理(昼・夜) 5,000円/8,000円(税別)
今回は5,000円の会席ランチをいただきました。
着物姿のベテラン女性が、給仕してくれた京懐石です。胡麻豆腐が上品な味わい。
野菜たっぷりのお吸い物は、薄味でヘルシー。
煮物はほんのり甘い玉葱と豚の角煮が絶妙です。
大きな茄子はジューシーで食べ応えがありました。
1膳ごとにゆっくり会話を楽しみながら食事をしたので、1つ1つはヘルシーなのに既に腹8分程の満腹感。
ちなみに室内はテーブル&椅子席で、脇に小さな床の間に季節の花、わりにカジュアルな掛け軸がありました。
そして、今回のメインイベントである忠七(ちゅうしち)めし の登場です。お膳の中のご飯は、おかわり出来ます。
急須から秘伝のだしを注ぎ、薬味をお好みで入れます。だしがミソですね。スルスルとおかわり出来ちゃいますよ。
こちらは、日本五大名飯の1つなのです。
ちなみに日本五大名飯とは......
○忠七めし(埼玉・小川町)
○深川めし(東京・深川)
○さよりめし(岐阜・山岳地方)
○かやくめし(大阪・難波)
○うずめめし(島根・津和野)
○忠七めし(埼玉・小川町)とは
140年程前、二葉の8代目館主・八木忠七と、明治の偉人・山岡鉄舟(てっしゅう)との出会いから生まれた一品です。
鉄舟は仕事帰りに二葉へ立ち寄り、お酒をたしなまれたそうで、その際に『剣・禅・書』の三道を取り入れた日本料理を作るように館主・忠七に示唆し、苦心の上に生まれたものが現在の忠七めしだそうです。
ちなみに『剣・禅・書』の三道の食材は.......
○剣(わさび)ピリリとした刺激の中に剣の鋭さを示す
○禅(海苔)極めて淡い味の中に禅を宿す
○書(柚子)香り高い中に書の精神を観る
140年前から受け継がれた味・・・・だからこそ、価値があるのでしょうね。
最後はマンゴープリンのフルーツ添えで、口の中がさっぱりします。
時間が止まったかのようなゆったりとした空間で、ちょっと贅沢な数時間を過ごしました。
1Fロビーと鉄舟資料館(小部屋)
最後に有形文化財指定の回遊式庭園を散策しました。
左手の石、カメの形をした亀石だそうです。可愛いですね。奥には茶室があります。
昭和8年に建築された数寄屋建築で、『さび壁』と呼ばれる鉄さびを利用した壁が特長で、この壁を復元するのは難しいそうです。
満腹になったところで腹ごなしに、和紙を観に行きますか~。
小川町から和紙見学には2か所あります。いずれも、小川町からバス移動。(バスの本数はかなり少ない!)
○埼玉伝統工芸会館 am9:30-pm5:00 (月休) パークヒル行きバス5分
○東秩父村 和紙の里 am9:00-pm4:00 (月休) 白石車庫・皆谷行きバス15分
和紙の里の方が本格的に楽しめるようですが、今回は近場の工芸会館でざっと雰囲気を味わいました。
広々とした敷地には、和紙の研修所、工房(見学は有料)、和紙土産、道の駅と建物が分かれておりました。工房の外では和紙の原料である楮(こうぞ)が干してありました。これは和紙ですよね?
ちなみに、細川紙技術者協会では、体験学習の他にも後継者育成事業に力を入れているようです。
工房は有料のわりに見どころが少ないと聞いていたので、お土産屋さんを物色。ユネスコ無形文化遺産登録された細川紙を販売していますが、どれも高価すぎて買えません!!!気楽なお土産にしては値が張るし、本当に必要なものでなければ買わないかも~。
対して小川和紙は比較的リーズナブルなので、押し花つきハガギを2セット(4枚)400円ほどで購入。
ところで、昨秋に天皇、皇后両陛下がこの伝統工芸館を訪れたそうですね。
道の駅ではお米や地酒(帝松など)が。
小川町は日本昔ばなしに出てきそうな、そんな山深い素朴な町でした。
小川温泉 かわらの湯(日帰り)とセットで観光するのも良さそうですね