八ヶ岳山麓の暮らし

標高およそ1,200mの八ヶ岳山麓で、見たり聞いたり経験したことを気ままに書いています。

仏像展によせて(滝田 栄さんのメッセージ)

2017-07-14 04:17:06 | 日記
 2017年7月1日から9月15日まで、蓼科にある京都造形美術大学付属「康耀堂美術館」で、滝田 栄さんの仏像展が開かれている。家から車で20分ほどと近いので、7月8日、妻と行ってきた。以下に、滝田 栄さんの挨拶文を紹介する。

 心の内などというものは、とても人様になど見せられるものではないと、思うのだが、こうして自分が彫った稚拙な仏像を並べて見ると、自分の意識や思想や感性や人生のテーマの変化が見えてくる。下手くそなりに、自分の心境の変化が見えてくる。

 アメリカのブッシュ大統領がイラク攻撃を始めた時、こんな理不尽な戦争(理由なき殺人、虐殺)を始めたら、地球レベルで憎しみと憎悪が止まらなくなってしまうと、怒りが込み上げてきた。そんなことは誰でも分かることだと感じても、政治は嫌いだし、表現のしようが無かった時、仏像に祈ろうと思った。どうか、ブッシュのおバカが治りますように!アメリカに代表される人間のエゴ(自分さえよければという心)が治りますように!

 人間の無智を叱る姿をとった不動明王に、人間の無智を叱り、治してください、という思いで、200キロ以上もある大きな材木を持ち込んで、大きなノミを打ち込み始めた。気づけば、3年も彫っていた。角ばった大きなノミは、すっかり角が取れて丸ノミのように変形していた。よし、これでよしと、完成宣言をして、正対してみると、それはまさにブッシュのおバカではなく、私のおバカとエゴをにらみ、あきれかえりながら、私を叱ってくれているようだ。

 日本の政治家や外交官は、この戦争に加担することは、国益にかなうと言った。僕は、国益にかなっても、人間益を損ねる!いや、こんな大儀もない戦争(虐殺)などに加担したら、歴史をかけて育んできた、日本人の人間性が壊れてしまうと、感じていた。案の定、この戦争で生まれた消し難い憎悪がIS(イスラミックステート)という悪魔の集団を産んでしまった。昔、不動明王は呪いの呪詛などに使われたという。しかし、僕は人を呪ったことなどない。人間の無智、人類のエゴが治りますようにと、叱ってくれる仏不動明王に祈ったのだ。

 仏像製作は時間がかかる作業だ。本当なら、もっと沢山彫って、人にあげたりしたいのだが、気づくと、手元には、大きくて動かせないような物だけが残っている。でも、いちばん最初に彫った、下手くそな観音菩薩像は、大事にとってある。これは、母が亡くなった時に、僕を産み、育ててくれた母への感謝と万感の思いを込めて、観音菩薩様、どうか、素晴らしかった母が、あの世で、幸せいっぱいでいることが出来ますように、どうか、いつまでも安らかな世界で、幸せでいられますように、面倒を見てあげてくださいと、祈って彫ったものです。大阪で、レ・ミゼラブルの公演中、宿にしていたホテルで彫ったものです。下手くそですが、僕にとって大切な観音様です。

 白磁の花入れと香炉は、母の供養のために、僕がデザインしてロクロの神様と言われた中村清六先生の作業場で、作らせていただき、先生が、合作にしましょうと、香炉の脚を作ってくれたものです。世界に二つとない宝物になりました。
                            2017年7月1日



ジャンル:
ウェブログ
コメント (2)   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« わが町パノラマ景観地にある... | トップ | 昆虫の甘露煮 »
最近の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
見えない心 (ろこ)
2017-07-15 01:02:31
こんにちは。
 滝田さんが、インドに修行に行き、日本で木彫を始めたことなど、こちらのブログで教えていただきました。
 力強い不動明王のひと睨みに精魂がこもっているようです。
 仏像を彫るというのは、己の心を刻むこと。
 一朝一夕ではできない修行ですね。
 「言葉」を弄する自分が恥ずかしくなりました。
 不道明さまに、にらんでいただきたいです。
コメントありがとうございます (カラマツ)
2017-07-15 07:10:39
 思いを形に あらわす ことの実践。
その思いが個人的な範囲に留まらず、世界や人類全体に及んでいることに尊敬の念を覚えます。

 政治や企業の指導者たちにそうなって欲しいと思いますが、
先ずは自分自身の思いを糺さなければいけませんね。
それを形や行動に顕すことができる人は、本当に素晴らしいことだと思っています。

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL