どうぶつ番外物語

手垢のつかないコトバと切り口で展開する短編小説、ポエム、コラム等を中心にブログ開設19年目を疾走中。

どうぶつ・ティータイム(192) 『一冊で世界の名著100冊を読む』

2016-07-10 00:15:48 | 書評

 

     (あなたは何冊読みましたか)

 

 

     世界の名著

     (友人社刊)

 

 

 1988年7月に友人社から出版されたこの本は、世界文学の名著100冊を選び出し、それぞれ見開き2ページで作品概要を解説する実にありがたい企画であった。

 ほぼ30年前の本を持ち出して、今更なにをしようというのかと疑問に思うかもしれないが、自分がこれまでに世界の名著を何冊読んできたのか検証するのも一興かと思ったからだ。

 結論をいうと、僕の場合は約30作品しか読んでおらず、いかに情けない状況なのかを思い知らされる結果となった。

 以下、作品+著者名を列記するので、みなさまもチェックしてみたらどうだろう。

 いろいろな考え方があろうが、僕としては先人が残した優れた文学作品には、なるべく幅広く触れたほうがいいのではないかと思っている。

 

  <作品名>              <著者名>            <国名>          <年代>

 

 1 イーリアス              ホメロス             ギリシャ          紀元前8世紀

 2 オデュッセイア            ホメロス             ギリシャ          紀元前8世紀

 3 アガメムノン             アイスキュロス         ギリシャ          紀元前458年

 4 オイディプス王           ソフォクレス           ギリシャ          紀元前420年頃

 5 エレクトラ              エウリピデス           ギリシャ          紀元前420~410年代

 6 ロランの歌              作者・未詳            中世フランス       11世紀末

 7 イーゴリ遠征物語          作者・未詳                       ロシア中世        1187年

 8 ニューベルンゲンの歌      作者・不明            ゲルマン          1204年前後

 9 神曲                 ダンテ                イタリア          14世紀

10 カンタベリー物語          チョーサー             イギリス          1400年

11 ロミオとジュリエット        シェイクスピア          イギリス          1595年

12 ハムレット              シェイクスピア          イギリス          1603年

13 リア王                シェイクスピア          イギリス          1605年

14 ドン・キホーテ           セルバンテス           スペイン          1605~1615年

15 マクベス               シェイクスピア          イギリス          1606年

16 タルチュフ              モリエール            フランス          1664年

17 フェードル              ラシーヌ              フランス          1677年

18 ガリヴァー旅行記         スウィフト             イギリス          1726年

19 マノン・レスコー          プレヴォー             フランス          1731年

20 若きヴェルテルの悩み      ゲーテ               ドイツ            1774年

21 危険な関係             ラクロ               フランス           1782年

22 ヴィルヘルム・テル        シラー               ドイツ            1804年

23 ファウスト              ゲーテ               ドイツ            (第一部) 1808年   (第二部) 1832年

24 高慢と偏見             オースティン           イギリス           1813年

25 アドルフ               コンスタン             フランス           1816年

26 赤と黒                スタンダール           フランス           1830年

27 エヴァゲーニー・オネーギン   プーシキン            ロシア            1830年

28 ゴリオ爺さん            バルザック            フランス            1834~1835年

29 検察官                ゴーゴリ             ロシア             1836年

30 アッシャー家の崩壊        ポー               アメリカ            1839年

31 現代の英雄             レールモントフ          ロシア            1840年

32 死せる魂               ゴーゴリ             ロシア                         1842年

33 嵐が丘                エミリ・ブロンテ         イギリス           1847年

34 白鯨                  メルヴィル           アメリカ            1851年

35 オーレリア              ネルヴァル           フランス            1855年

36 ボヴァリー夫人           フローベール          フランス            1857年

37 大いなる遺産            ディケンズ            イギリス            1861年

38 父と子                ツルゲーネフ           ロシア            1862年

39 レ・ミゼラブル            ヴィクトル・ユゴー        フランス           1862年

40 罪と罰                 ドストエフスキー        ロシア             1866年

41 戦争と平和              トルストイ            ロシア             1869年

42 悪霊                  ドストエフスキー        ロシア             1872年

43 魅せられた旅人           レスコーフ            ロシア             1873年

44 アンナ・カレーニナ          トルストイ            ロシア             1877年

45 居酒屋                 ゾラ               フランス            1877年

46 カラマーゾフの兄弟         ドストエフスキー        ロシア             1880年

47 女の一生               モーパッサン          フランス            1883年

48 ツァラトゥストラはこう語った    ニーチェ             ドイツ             1883~1885年

49 テス                   ハーディ             イギリス            1891年

50 ドリアン・グレイの肖像       ワイルド             イギリス            1891年

51 クォ ヴァディス           ヘンリク・シェンキェヴィチ   ポーランド          1896年

52 三人姉妹               チェーホフ            ロシア             1900年

53 どん底                 ゴーリキー           ロシア             1902年

54 桜の園                 チェーホフ           ロシア             1904年

55 ジャン・クリストフ           ロマン・ロラン         フランス            1904~1912年

56 狭き門                 アンドレ・ジット        フランス             1909年

57 マルテの手記             リルケ             ドイツ              1910年

58 息子と恋人               D・H・ロレンス        イギリス             1913年

59 モーヌの大将             アラン・フルニエ       フランス             1913年

60 失われた時を求めて         プルースト                     フランス                         1913~1927年

61 変身                   カフカ             チェコ              1925年

62 デーミアン               ヘルマン・ヘッセ       ドイツ              1919年

63 阿Q正伝                魯迅              中国               1921年

64 ユリシーズ               ジョイス            イギリス             1922年

65 チボー家の人々           マルタン・デュ・ガール    フランス             1922~40年

66 肉体の悪魔              ラディゲ            フランス             1923年

67 魔の山                 トーマス・マン         ドイツ              1924年

68 われら                 ザミャーチン          ロシア              1924年

69 テレーズ・デスケールー      モーリアック          フランス                       1927年

70 三文オペラ              ブレヒト             ドイツ               1928年

71 恐るべき子供たち          コクトー            フランス              1929年

72 響きと怒り               フォークナー         アメリカ              1929年

73 武器よさらば             ヘミングウェイ        アメリカ              1929年

74 無関心な人びと           モラヴィア           イタリア              1929年

75 人間の条件              マルロー           フランス              1933年

76 嘔吐                  サルトル            フランス              1938年

77 怒りの葡萄              スタインベック         アメリカ              1939年

78 異邦人                 カミュ              フランス              1942年

79 星の王子さま             サン・テグジュペリ      フランス              1943年

80 伝奇集                 ボルヘス            アルゼンチン          1944年

81 四世同堂                老舎              中国                1945~1949年

82 灰とダイヤモンド           アンジェイェフスキ      ポーランド             1948年

83 ライ麦畑でつかまえて        サリンジャー         アメリカ              1951年

84 まっぷたつの子爵          カルヴィーノ          イタリア              1952年

85 失われた足跡             カルベンティエール     キューバ             1953年

86 悲しみよ今日は            サガン             フランス              1954年

87 蝿の王                 ゴールディング        イギリス              1954年

88 ロリータ                 ナボコフ            ロシア               1955年

89 ドクトル・ジヴァゴ           パステルナーク        ロシア               1957年

90 弟                    ノサック             ドイツ                1958年

91 ブリキの太鼓             ギュンター・グラス       ドイツ                               1959年

92 ソラリスの陽のもとに         スタニスワフ・レム       ポーランド             1961年

93 もう一つの国              ボールドウィン        アメリカ               1962年

94 石蹴り遊び               コルターサル         アルゼンチン           1963年

95 緑の家                  バルガス・リョサ               ペルー               1966年

96 脱皮                   フェンテス           メキシコ               1967年

97 百年の孤独              ガルシア・マルケス      コロンビア             1967年

98 ガン病棟                ソルジェニツィン        ロシア               1968年

99 生きよ、そして記憶せよ       ラスプーチン          ロシア               1975年

100 愛人                   デュラス            フランス              1984年

 

 以上、41人の執筆者と1人の監修者の手になる労作がこのシリーズで、内容まで紹介できないのは残念である。

 1985年以降にブッカー賞とかノーベル文学賞を受賞した作品も、いずれ名著の仲間入りをするものと思われるが、それとてなかなか読んでいないというのが実感だ。

 とりあえず、自分が何作読んでいるかチェックの参考にしていただければ幸いである。

 正直、数項目を再録するだけでも半日以上かかった。やはり、学者や編集者でもない限り作品内容まで読み込むのは大変であることがわかった。

 だから、この企画は当時評判を呼んだのではないか。

 ① これから名著を読もうとしている人の図書目録として・・・・。

 ② 忙しい人も短時間でたくさんの名著を読んだ気分に・・・・。

 ③ 入学試験、就職試験を前にした受験生のまとめとして・・・・。

 ④ すでに読んだ人には記憶を呼び起こす想い出の書として・・・・。

 味も素っ気もない図書目録だが、いろんな使い方があるようだから、僕の労力は無駄ではなかったと思いたい。

 

      (おわり)

 

 

 

 

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4 コメント

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17冊 (hide-san)
2016-07-11 16:09:29
ボクは17冊でした。
チェックしてくれて・・・・ (tadaox)
2016-07-12 00:27:02
(hide-san)ありがとうございます。
なんだか嬉しいな。

あと数冊は上乗せしたいと思っています。
おやすみなさい。
ちゃんと読んでいないことを (知恵熱おやじ)
2016-07-16 19:41:19
書く仕事をしていながらこのリストを見ていって愕然としました。

本は手元にあって読んだつもりになっていたものも、実は最後まできちんと読み通していないものがほとんどです。

しかし中身は知っているつもりになっていて・・・たぶんダイジェストされた梗概を何かで読んでわかったつもりになっていたに違いありません。

名作というものは書かれたその時代を超えて普遍性を持つのでしょうが、それはわかっているつもりでいても表現の感性がしっくりこない感じがあったりして、特に長いものは途中挫折してしまっているような気がします。

お叱りを承知の上でいうなら、文章が説明的でまどろっこしいことがその原因ではと。

それが証拠に、例えば樋口一葉の作品や中島敦の山月記など、言葉自体は新しくないけれど極限まで凝縮されていてリズム感と一緒にストレートに体に入ってきます。ごちゃごちゃ説明しなくてもすべてが体感できる。
読むたびに新しいイメージが喚起されて新鮮。

映像の世界でもいまや物語の説明シーンや段取り芝居は不要になっています。
省略しても見る側が無意識にイメージで埋めていける感性を持っているのでくどい説明はいらないのでしょう。

同じようなことが文章の世界でも起きているのではないでしょうか?

ただ名作というものが抱えている人類の根っこにつながるものは、価値が重く、ドラマや舞台やゲームなど別な表現舞台に移して新しい人類に受け継がれていきます。

名作の継承はそれで十分だと思うのですがこんな考え方はおかしいでしょうか・・・?
そういう形で継承も・・・・ (tadaox)
2016-07-18 15:10:01
(知恵熱おやじ)様、たしかに説明的で、飽きてしまって、最後まで読み通せないものもありますよね。
ぼくが読んだと思っている作品の中にも、そうしたものがいくつもある気がします。
でも、それも読んだうちに数えています。
8割がた目を通せば、時代の雰囲気や作品のテーマが掴めるので、ヨシとすることにしませんか。

一方、文学の名作と言われるものに含まれる根源的な価値観を、映像や舞台やゲームなどに移し替える試みは、必然的であり受け容れられるものだと思います。
ただ、研究者や翻訳者が提供してくれる古典文学の味わいにも、できるだけ近づいていきたい思いもあります。
名作への接し方は、人さまざまでいいのではないでしょうか。
それでも1800年代以降の作品には、できるだけ挑戦していきたいと考えています。
例えば、僕は高校時代に読んだ「赤と黒」、「ゴリオ爺さん」、「嵐が丘」、「ボヴァリー夫人」、「罪と罰」、「悪霊」、「白痴」、「カラマーゾフの兄弟」など、筋はうろ覚えでも影響を受けた実感があります。

いずれにせよ、知恵熱おやじさんの卓見には感服しております。
なかなかここまで踏み込んで考えることをしませんでしたので、たいへん刺激を受けました。
ありがとうございました。

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