俺が鮨の話ばかりするからか何なのか、親友が俺を江戸前鮨に招待してくれた。
江戸前鮨というくらいであるからもちろん出てくるのは一貫ずつ。
醤油も自分で付ける必要は一切なく、職人が刷毛で塗って出してくれるような店だ。
そのまんま「早川光の旨い寿司」の世界である。
けれども、値段は激安。
何と10貫のコースで一人前3,500円である。
にわかには信じがたい金額だろう。
もちろんこれには事情があって、福島にあるその江戸前鮨屋「千陽」は寿司職人養成学校付属の店というわけ。
ネタも良ければ雰囲気もいいのだが、握る職人の腕前がちょっと...そんな店である。
しかし実際に出てくる鮨は全く問題ないどころか、むしろやる気と情熱がみなぎっている分だけ俺的には歓迎したい。
何より憧れの江戸前握りに小鉢まで付いて10貫3,500円である。
一体技術不足に何の文句があろうか。
ちゃんとこはだ、トロ、赤貝、煮はまぐりもコースにあるしな。
ドリンク類が高いのがいささかマイナスポイントだが、総じて大満足な店だ。
俺は今まで寿司といえば専ら市場寿司かスシローばかりだったが、以後、本命はこっちに変わるかもしれない。
とはいえ、超人気店のようで予約なしではとても入れない。
その点、市場寿司は昼間から通しで営業しているので、気が向いたらいつでもふらっと食べられるのが良い。
要は使い分けだな。
大好物の寿司屋に選択肢ができたのはありがたい。
食通の親友に感謝。