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Jリート

2011-03-09 19:55:17 | 日記
不動産投資信託、いわゆる「Jリート」への投資家の関心が高まっている。東京証券取引所が公表しているリート指数は秋口から上昇。1月4日には1156ポイントと、直近高値をつけた。2000億円以下で低迷していた月間売買代金も昨年11月に3000億円超、その後2カ月は4000億円を超え、取引も活発化している。
回復著しいJリート
きっかけの一つは昨秋、日本銀行が決めたJリートの買い取り。金額は500億円程度、買い取り対象もダブルA格付け以上と規模や対象は限定的ながら「アナウンスメント効果は十分だった」。
何よりこの低金利下で、ほかの金融商品と比べて高い分配金利回りが着目されている。足元リート価格が上昇しているため、利回りは若干低下しているが、10年国債の金利が1・3%程度であるのに対し、Jリートの平均的な分配金利回りは4~5%と、国債比で3~4%のスプレッドをとることができる。
Jリートを組み込んだ投資信託の売れ行きも好調だ。新光投信の「新光J―REITオープン」は注文が殺到し、昨年12月に一時販売を停止。為替リスクと組み合わせた「通貨選択型」投信も人気で、東京海上アセットマネジメント投信の増田顕範ファンドマネージャーは「昨年11月の設定開始以来、想定以上の資金流入がある」と話す。
リート各社も資金調達と不動産物件の取得を活発化させている。
一部は昨年前半に増資を再開していたが、今年に入って日本ビルファンドやジャパンエクセレント(JEI)、福岡リートの各投資法人が相次ぎ増資を実施。企業の社債に当たる投資法人債も年明け以降、オリックス不動産や森ヒルズリートが発行を決めた。JEIの運用会社、ジャパンエクセレントアセットマネジメントの戸田千史社長は「リートは半歩先取りして物件取得に動く必要がある。増資でLTV(総資産負債比率)が下がり、約200億円の物件取得余力もできた」と話す。
金融機関のリートに対する融資スタンスにも変化が出てきた。リートはもともと、株式会社と違って利益の内部留保ができない仕組みで、新規物件を取得するには、増資や借入など外部から資金を調達する必要がある。また、不動産は長期保有が前提の半面、資金の借入期間は最長5年程度のため、保有し続けるには資金の借り換えが必至。こうした中、金融危機後は借り換えに苦難するリートもあったが、最近では「企業の資金需要が減退する中、各行とも血眼になって融資案件を探している」(大手銀行)という。
市場活況が続く中、上場の動きも見られる。東急電鉄と並び、東急リアル・エステートの共同スポンサーだった東急不動産は「商業施設やオフィスを投資対象とするリートを12年度にも上場させる」と公表。大和ハウス工業も上場を検討しているとみられ、07年以来途絶えていた新規上場の可能性も出ている(合併リートの再上場除く)。
財務面に不安を抱えるのは、一部下位リートのみだ。インヴィンシブル投資法人は1月、60%を超えたLTVを6カ月以内に解消できなかった可能性があるとして「期限の利益を失い、直ちに債務を弁済しなければならない」と公表。同法人の運用会社、コンソナント・インベストメント・マネジメントは「現在、金融機関と交渉中」とし、2月末の決算発表に注目が集まっている。
■Jリートは揺籃期 問われる独立性
一方、金融危機時に資金繰り難に陥った経験などを踏まえ、Jリートの再強化を図る動きも出始めた。
昨年末、馬淵澄夫・国土交通相(当時)の肝いりで始まった不動産投資市場戦略会議。報告書では自己株取得や転換社債の発行、日本版アップリートの創設など、さまざまな提言が盛り込まれた。座長を務めた牛島総合法律事務所の田村幸太郎弁護士は「Jリートはまだ揺籃期。今後はリートの独立性をどう高めていくかが課題」と問題提起する。
Jリートは現状、物件取得や人材、資金調達などの面で、資産運用会社の大株主である「スポンサー」に大きく依存している。Jリートとスポンサーは建前上、倒産隔離されているが、スポンサーの信用力を融資判断に加味する金融機関があるのが現実だ。投資家間では「スポンサー保有の悪い物件をJリートにはめ込んでいるのではないか」という利益相反に関する疑念も絶えない。
信用収縮局面に耐えうる財務体質の改善も必至だ。稼いだ利益のすべてを配当金として還元する代わりに、法人税が課されないというJリートの特性を残しつつ、一定程度の内部留保を認めるなどして、資金の再調達に伴う財務上の脆弱性を改善する取り組みが必要だろう。
日本ビルファンドなどが上場し、Jリート市場が創設されてから今年で10年を迎える。が、金融危機の影響から業界再編が進み、昨年は東京グロースリートとエルシーピーを皮切りに7組が合併。これに伴い、ピーク時には42あった上場銘柄数は35に減少した。時価総額も3兆円とピーク時の半分以下だ。国内で2300兆円とされる不動産ストックと比べると、リートという形で実現された価値は1%にも満たない。
Jリート創設の狙いの一つは、不動産と金融を結び付け、個人の金融資産を呼び込むことだったはず。しかし、個人の金融資産の大半は預貯金に滞留し、「貯蓄から投資へ」の国家スローガンは掛け声倒れとなっている。金融危機の教訓を生かし、さらなる資金を呼び込めるか。Jリートの再挑戦は始まっている。

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。



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