ラヂオアクティヴィティ[Ra.] 第一部ブロック・バスター 002特製の御殿 雨の中にあいつ特製の御殿はあった。 奴はいつ目覚めるのだろうかと、不安に思う者もまわりにはいなかった。 やつはただ、ぐっすりと眠っていたことだろう。 あいつらにも名前がある。いろんな名前がある。 ここで眠っているあいつはセシウム137という魔物である。 奴の御殿には、きちんと危険物のマークがつけられていた。 その男はそれが、何であるか理解できなかった。 男はそいつが何であるか、わからなかったけれど、それは高価なものと直観した。 外側の白い容器はすぐ壊せたが、中のシリンダー状カプセルは頑丈だった。 やつは特殊な容器に厳重に閉じこめられていた。 たとえれば、悪霊が、道師によって、その壺に封印されたように、 あいつもカプセルその中に静かにいた。 そして道師である専門家は、もうここにはいなかった。 廃品に化けたあいつを買った男は、その封印を解いたのだ。 そして今、彼には腕がない。あいつに食いちぎられたのだ。 やつの凶暴性を知ることは、その身をもってしかわからないものだろうか? 男は「たかが物質じゃないか……」と思ったのだろう。 あいつは吠えもしなければ、脅しもかけない。 「ただの物質じゃないか……」思い上がった人類はそう吐き捨てるものだ。 しかし、一度、やつの力を知れば、そんなことは想うまい。 あいつらは、怪物なのだ。とことん、怪物なのだ。 この世で存在するトップレベルの怪物なのだ。 触れただけで、腕を食いちぎるのだ。 それも、五感で恐怖を感じることもなく、 人類はカゴの中の鳥よりも、もろかったのだ。 猛獣に対し、鳥でさえ反抗するだろうに……。 それさえ、やつはさせないのだ……。 どんな忍者も忍びの術を駆使してもやつらほどにはなれない。 ナンシーの親友レイデ、その父は鉄屑商をしていた。 その箱は売られた。
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