磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

鱧男の小説などをUP。環境問題に戦争・原発を!環境問題解決に民主主義は不可欠!

武谷三男著作集1 弁証法の諸問題

2008年05月26日 | 読書日記など
『武谷三男著作集1 弁証法の諸問題』
   武谷三男・著/勁草書房1968年、1974年10刷

かなり個性の強い物理学者です。あまり知られていないのではないでしょうか?



■目次・大タイトルのみ■
弁証法の諸問題  1
続 弁証法の諸問題  183

「はしがき」に書かれてあります。下「」引用。

「私が京都帝大に入るとまもなく日本の満州への帝国主義的侵略が始まり、自由を求めてほうはいと起った我杭瀬運動もちく次弾圧され、学内では軍教や満蒙研究会、その他どう見ても高く評価されない御用学者たちが次第に勢力を得て来ました。貧窮と孤独と、このような憂うつな情勢のために私はひたすら内心の自由を求める事になりました。私はロランの自由なる魂やベートーヴェンの空中の王国や、偉大なるゲーテに酔い、カントの理性、そして何よりも美しい数学的な自然科学の壮大なる調和、これらは私をしてすべての困難や悲哀や憤激を忘れしめるのに十分でした。」

ロマン・ロランを好きな著者。下「」引用。

「私は私の愛するロマン・ロランを離れる事にある淋しさをいだいたのでした。そして若い者は過去をふみこえて進まねばならないと考えたのでした。しかし後で私は、この七十をすぎた老人がわれわれ若いものをはるかにひき離して前進している事を知って自らを恥じたのでした。」

物理学の歴史も書かれてありました。

京大で滝川事件があり逮捕されたという。

10 嵐 吹きすさぶとも

この事件のことを、対談で語られている……。下「」引用。

「星野 国内的には京大事件で、国際的には、やはりフランスの人民戦線ということになりますね。
武谷 そういうことですね。たとえば、ぼくなんかジョリオ=キュリーの紹介をしたりするということになるのですね。」


月報の記事がおもしろかったです。
「労働組合運動と科学技術者」太田 薫・著が掲載されいます。下「」引用。

「私はだいたい武谷先生の本を、理論物理学の先生というよりは、平和運動・技術者運動という立場から関心をもって読んでいました。直接お会いするようになったのは、三池の爆発のかなで、一酸化炭素の中毒患者がたくさんでた時に、事故直後に総評で「三池災害視察団」として、武谷先生を団長とする幾人かの技術者・医師に大牟田に行っていただせた時からです。-略-」

原潜のことについても、われわれのことを考えてくれたという。下「」引用。

「武谷先生はすでに、原子力潜水艦による放射能汚染にしても、もっとこちら側の学者がしっかりしていたら、あんな問題にならなかったに違いありません。武谷先生はすでに、原子力潜水艦の寄港を拒否するかしないかの問題が起きたとき、アメリカの安全委員会では軍港以外には入れないということを、はっきり学者グループが言っているのに、拒否していないと述べています。こういうこと一つみても、少なくともそれを拒否した場合は、日本では、政府の研究費はもちろん出ないだろうし、官立のというか国立の大学に居れば、普通に考えられる出世とかそういうものは全然度外視されるだけでなく、自分が研究する一つの研究室、研究費すら、やはり奪われる状態にあるんだと思います。
 そのなかで、国民というか人民の立場に立って科学を研究し、それをアッピールし、大衆運動のなかに持ち込むというのは、大変な犠牲がいります。」

水俣病のことも書かれてあります。下「」引用。

「日本窒素の水俣病のことが出ているのですが、あれも企業組合であり、いまは第一組合と第二組合に別れてましたけど、はじめは第一組合の幹部ですら、漁民に対して会社側についた形をとっていました。しかし、そうしていながら、いよいよ賃上げするときになると、今度は第二組合を作られてたたかれたのです。資本というものは、利潤のために、労働者に対して、公害問題を含めて、労働者の一切の犠牲を強いて居るのだという考え方が、やはり企業組合の場合にはわかっていなかったのです。そこをわからせないといけないのではないかと思います。」

ナチス・ドイツのマルチン・ニーメラーの言葉を思い出しました。


index









index

index






エンタメ@BlogRanking


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。