磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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「熊取」からの提言-怒れる六人の原子力研究者たち-

2012年04月16日 | 読書日記など
『「熊取」からの提言-怒れる六人の原子力研究者たち-』
   小林圭二・編/世界書院2012年

帯に書かれてあります。下「」引用。

「炸裂! 小出裕章 今中哲二 川野眞治 小林圭二 海老沢徹 瀬尾健
「原子力ムラ」と闘い抜く「熊取六人衆」の怒り
巻末掲載 高木仁三郎氏・水戸巌氏の遺稿
寄稿 長崎浩氏「戦後科学の変貌」」



事故と“虚構の自信、思いあがり” 下「」引用。

「-略-旧ソ連のチェルノブイリ原発事故が起きたにも関わらず、日本ては、原発建設を見直す声は、主流にならなかった。「地球温暖化防止のためには、炭酸ガスを出さない原発は電力エネルギー源として最適」という世界的な“世論操作”の前に、五四基もの原子力発電所が建設された。政府、電力各社は「原発反対という意見はごく少数派」と自信満々でした。
 その“虚構の自信、思いあがり”は、三月一一日の東日本大震災の揺れと津波で、一挙にしかも、完膚なきまでに、瓦解した。高い放射線が飛び交うために、住民が強制避難させられ、無人となった福島県の原発周辺地域の“異様で見たこともない光景”が全国民に、原発事故の怖さ、底知れぬ不気味さを痛感させたのだ。」

「「原子力ムラ」の犯罪-問われるべき個人責任-」小出裕章。

社会的責任を問え! 下「」引用。

「こういう事態を招いた関係者、責任者に対して、厳格に責任を問い、厳重に処罰すべきです。「想定外」などと言って逃げようとしていますが、巨大津波の危険性を石橋克彦先生達は「原発震災」という言葉を使って、以前から指摘されていました。全電源喪失、冷却水喪失になれば、燃料棒が溶融して、原子炉が水素爆発や水蒸気爆発を起すことは、私たちはずっと指摘しました。「万が一にもそんなことは起きない」と警告を無視してきた経産省、原子力委員会、原子力安全委員会、原子力安全・保安院、東電、そして、原発の設置許可の取り消し訴訟を退け続けてきた裁判所にも責任を明確にすべきです。
 他の公害での企業責任のようにの、刑事責任まで追及すべきです。
 責任を明確にすることで、いわゆる「原子力ムラ」のような、もたれ合いで、責任をあいまいにし、回避してきた仕組みを解体する第一歩が踏み出せるでしょう。
 事故直後に、「爆発することなどない」「圧力容器、格納容器は壊れない」「外部に放射性物質が漏れる事は無い」などと言っていた“自称専門家”の学者も、大学教授を辞めるなどして自分の学者としての社会的責任を明確にすべきです。
 日本原子力学会は、七月に、「原子炉を設計した人も含め、一切の個人責任は追及しない」というアピールを出しました。国が設置した事故調査委員会の姿勢も「個人の責任は追及しない」というものです。-略-」

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社会的責任もなく権威だなんて、ブラックジョークはやめてほしい。「原子力ムラ」だけでなく……。福祉などでも、責任の所在なくして、適当なことをいっては日本の福祉を破壊している輩がいる……。

今中哲二、広島出身。下「」引用。

「私は一九五○年に広島市で生まれました。三人兄弟で、父は材木商でした。
 昭和二○年八月の米軍の広島への原爆投下では、祖母が原爆投下後、一○日ほどで亡くなりました。その模様を母は、後に「私の原爆記」という小文を綴りました。終戦の年、母は二一歳でした。
 しかし、家族の被爆体験が私を「反原発」の立場にしたわけではありません。-略-」

ノーベル平和賞受賞IPPNWの警告。下「」引用。

「一九八五年にノーベル平和賞を受賞した核戦争防止国際医師会議(IPPNW)は、今年八月二二日に当時の菅直人首相に書簡を送り、「自国の一般公衆に降りかかる放射線に関する健康上の危害をこれほどまで率先して受容した国は、残念ながらここ数十年、世界中どこにもありません」と警告しています。」

「物理学者の社会的責任」 下「」引用。

「私は、大学や企業などの研究機関に属する物理学者のコミュニティである日本物理学会で「物理学者の社会的責任」分科会にずっと関わって来ました。一九九六年の第二○回以降数年間、世話人も引き受けしました。原子力の問題も再三、取り挙げてきました。物理学者のコミュニティ以外の市民からの視点を反映させようと努力し、また、常に論議の分かれている論争的なテーマを取り挙げ、双方の立場の講師を選んできました。
 原子力推進派の研究者、学者にとっては原子力を推進することが「社会的責任」を果たすこととしているようでした。そのような視点では推進に否定的、懐疑的な事柄は無視されがちです。更に東電や関電などの電力会社は圧倒的な金力、政治力を社会的に張りめぐりしています。その原資といえば、私たちの払う電気料金なのです。これに群がる利害関係者集団を「原子力ムラ」と呼ばれています。このムラの住人はムラの枠から踏み出せません。一般の人が、原子力問題で疑問を抱くとしても、圧倒的なん「原子力ムラ」からの情報で、結果として専門家に“丸投げ”した形になります。-略-」

キャンペーンを張るでしょう。下「」引用。

「これで、「原子力ムラ」が解体するとは思えません。彼らは「風が吹き止む」のを待っているのではないでしょうか。悲観的な見方かも知れませんが、彼らとずっと対峙してきた私は、彼らの力の強大さもよく知っているつもりです。
「津波対策には、防潮堤を高くする」「非常用発電機は、津波に襲われない場所に、何系統も用意する」という個別安全対策の強化を打ち出し、それを強調して、また、「原発は安全になった」というキャンペーンを張ることでしょう。」

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普通の研究者でも、原発批判をすれば……。下「」引用。

「原発批判の声を上げる学者・研究者が少数派に止まってきたのは、いわゆる「原子力ムラ」に属さない普通の研究者でも、原発は批判すれば、文科省から研究費がもらえなくなったためです。-略-」

瀬尾健(元京都大学原子炉実験所助手)。下「」引用。

「瀬尾さんは生涯の研究生活を通して原発との闘いを貫き、一九九四年六月五日に逝去された。(享年53歳。)ここに掲載した論文は生前、瀬尾さんが原発が孕む問題の一つ一つに精緻な検証を重ね、警鐘を鳴らし続けた闘いの記録の一端です。-略-」

瀬尾さんもいい仕事をされたというのに、助手どまりか……。この国は「科学立国」ではなく、「カルト科学立国」だな。

「高速増殖炉はなさがら核兵器製造工場」

NHKスペシャル「核を求めた日本」10月3日。下「」引用。

「公開された外交文書の中に、一九六八年、省内の外交政策企画委員会で日本の核武装につき議論した記録がある(五)。その中に、高速増殖炉をただちに核武装できる手段として位置付けていた表現があった。エネルギー資源の確保や地球温暖化対策の建前の裏で進む隠れた意図を疑わせる。この委員会の前年、動力炉・核燃料開発事業団(動燃)が設立され、それまでの日本原子力研究所で比較的自由な研究者組織により行われていた高速増殖炉開発が、国家統制の行き渡る動燃に移されている。」

「増殖は幻想」 下「」引用。

「高速増殖炉は“消費した量以上の燃料(プルトニウム)を生み出す)増殖ができると喧伝されている。炉の中で増殖させることは可能だが、そのまま炉内で使えるわけではない。使える形にならなければ意味がない。例えば「もんじゅ」は一・二倍の増殖を目標としているが、増える速度は遅い。あまり遅すぎると実用にはならない。
 増える速度を表す指標が「倍増時間」である。同じ高速増殖炉をもう一基稼働させるための必要な初期投入燃料量を生産するのに何年かかるか、で定義される。この年数は、二つの条件に支配される。
 まず、炉外滞在年数だ。生み出されるプルトニウムを燃料として利用するまでには、高速増殖炉を停止して使用済燃料を取り出し、発電所内のプールで長期間冷却、再処理工場への輸送と再処理、燃料加工工場への輸送と燃料集合体までの加工、発電所への輸送から原子炉への装荷という道のりをたどる。その間長い年数が掛かるほど倍増時間は長くなる。
 二つ目の条件はロス率だ。再処理と核燃料加工の両工程でプルトニウムはロスが出る。そのロス率が大きければ倍増時間は長くなる。」

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“英雄的労働”をまったく必要としない世の中にこそ生きていたい。高木仁三郎。下「」引用。

「ソ連政府は彼らの行為を事故の拡大を防いだ“英雄的行為”と讚えている。確かに、彼らの行為がなかったら3号炉も破壊され、一層申告な事態となったことは明らかである。その意味で貴い犠牲に深く哀悼の意を表したい。しかし、はっきり言わなくてはならないことであるが、私はそんな“英雄的労働”をまったく必要としない世の中にこそ生きていたいと思う。」

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