磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

鱧男の小説などをUP。環境問題に戦争・原発を!環境問題解決に民主主義は不可欠!

100被爆者は日本人だけじゃない!

2006年06月26日 | Ra.
ラヂオアクティヴィティ[Ra.]
第一部ブロック・バスター

五、女優志願

100被爆者は日本人だけじゃない!



「あはは……」
マイクは幸せそのものだった。“泣いたカラスがまた笑った”というのはマイクにぴったりの言葉である。
博士はやはり、毛髪が抜ける時間が早すぎるのではないかと疑っていた。いや、二、三時間で抜けると書いた本もあった……と、明晰な頭脳をフル回転させていた。

博士なら、泣くまえに分析したいことが、山ほどあっただろう。博士の理性にかなったとき、博士の感情は動きだしたことだろう……。

「それにしても窓の向こうが光ったのは?」
「私は映画会社も持っている。そのSFXのメンバーが効果を上げてくれた」

「ずいぶん、おおがりですね」勉は呆れていた。

「博士、湾岸戦争はどうして終わったのかしら……」
ソフィーは訊いた。

「それは、核兵器の威力じゃない。独裁者の命が危なくなったからだよ……。核兵器でも大丈夫といわれていたシェルターの鉄板を破ったミサイルがあった。そのミサイルについては、今でも軍事機密になっている。この爆弾が落とされたとき、独裁者は戦争を終わらせた。いくら国民は苦しもうが、悲しもうが、それはどうでもいいが、自分の命は大切だ……。独裁者というものは、そういう奴さ」

「ヒトラーは違ったわよ」

「違うことはないわ。ただ、朋友のムッソリーニが、イタリアの市民たちに、虐殺されたのを知ったからだわ。終戦したって彼の命はどうせなかっただろうしね……。連合軍だけでなく、ドイツ人でさえ、彼の生命を狙っていたわ」
ソフィーはスラスラと述べた。

「じゃ、自殺しか道がなかったってわけね」
「そうよ……。あれほどのことをやったのだからね……」
「それほどのことを、やってもわかっていない人もいる?」

「誰のことだい?」
マイクは強い調子で訊いた。

「いいえ、何もないわ」
ソフィーは言葉を濁した。
原爆を未だに正義という人間が……。
ただの兵器でしかないのに。

エリックは静かに、みんなを見ていた。そして、閉じた口を開いた。
「みんな、私も実は被爆者だよ……」
思いがけないことを話しだした。

「いつ、どこで?」
ミス・ホームズの目が光った。

「それは、長崎だよ。私は、捕虜だったのだよ」
悲しそうな目をしているが微笑んでいる。
どこか、あの広島であったおばあさんに似た表情である。
悲しみや苦しみを越えた力強さがある。

「公表していないが、私は第二次世界大戦、兵隊になることを志願した。若かったので、考えもなかったのだろうね。今なら、そんなことより、どうしたら戦争を止められるか、それを考えるだろうがねぇ……」

「どうして、捕虜になったのですか?」

「日本軍は捕虜を養うなど考えられない時期だったよ……。自らも飢えていたのだから……。日本の近海には、鯨をとる船団があった……」

「鯨は殺してはいけない!野蛮だよ」

「それは、現在のことだね。今でも、学術的という名目では捕っているだろうが……。日本は島国だ。食料がなくなれば、海に求めることができる。つまり、鯨は日本人にとって、貴重なタンパク質というわけだったのだ」

波の音が聞こえる。すっかり海上でフェリーは停泊していた。








閑話休題

戦勝国というのは、
被害者のことは語りがらいものです。
勝利に酔って亡くなった人のことなど、
忘れています。

今も反米のイラク人が殺された時、
一般の多くのイラク人も、
女の人や子供も、まきぞえで
死んでいますが、アメリカは
そんなことは気にしていないかの
ようだとラジオで語る人がいました。


目 次






↓1日1回クリックお願いいたします。

ありがとうございます。






Index[Ra.]











最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。