あかねさんシリーズ002 男が女de女が男 029 男らしいピンクのパンプス? 「本当、本当、本当よ……」 斉藤は横づわりして流し目で茜に話しかけた。 これが? これは女らしい服装だと思うんだけど、この人たちは、いったい何を考えているのかしら……。 「どうされたの」 やさしく声をかけてくれる斉藤……。 「どうもしていないわよ」 そっけない返事の茜。 「それに、その言葉使いも男みたいですよ」 男みたい、わたしが、わたしの容姿が! わたしの言葉づかいが! 性格は男みたいだって、小一郎に言われたことがあるけど、容姿はいいはずよ。 見かけはお金さえあれば誤魔化すことができるもの……。 「これはシャネルよ!」 「そうでしょう。それも男物の」 「男物? 何を言っているの」 「お嬢様こそ、どうなされたのですか」 「そうだわ。昨日の朝、世界格闘技戦に出場したいといっていたわよ。ところが、大学から帰ってこられたら、足をくじいて、参加できないのよなんて嘆いていたと思ったら、今度は男の真似ですか。悪趣味ですよ」 斉藤は落ち着いた口調だ。 世界格闘技戦! わたしが? そんなことがあるわけないでしょう。たしかに、わたしは足をくじいたわよ。 でも、それは飲みすぎたせいよ、これからは気をつけるわ。 「それでか……」 と、中根は納得していた。 何を納得したのかしら……。 「お嬢様たら、体を鍛えるからって、鉄下駄をはいて大学に通われるから、足をくじいてしまったんだ」 鉄下駄? わたし、ピンクのパンプスよ! それもフェラガモよ。 「あら、男らしいピンクのパンプスなんか、はかれているわよ」 「本当だね」と中根。 「お嬢様、お疲れなのよ。怪我もされているしね」 斉藤が心配そうな表情である。
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