磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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原発と権力-戦後から辿る支配者の系譜-

2011年12月01日 | 読書日記など
『原発と権力-戦後から辿る支配者の系譜-』
   山岡淳一郎・著/筑摩書房2011年

原子力ムラ「自己目的化こそが核心」!!! 下「」引用。

「「原子力村」の安全神話の使徒たちが警鐘を鳴らす人を背徳者のように敵視し、排除してきた結果である。原発推進の核心は、おためごかしの理屈のなかにはない。
「原発のための原発」がつくらてきたのだ。自己目的化こそが核心であろう。その原動力は、政界、官界、財界の「鉄のトライアングル」に学界、メディアを加えた五角形の「ペンタゴン」体制、それ自身だった。組織は組織の存続と成長を自らの目的とする。そのために右肩上がりで一直線の「原子力利用五カ年計画」を立て続け、目標に向かって突き進んだ。国家による計画経済の図式がある。合理性や経済性の追及は、ペンタゴンの装飾に使われたにすぎない。
 現代の科学技術は、真理の探求というナイーブな段階を終え、巨大な産業と結びついて自己増殖していく。科学技術も資本主義の枠内で生き長らえる。政・官・財・学・報のペンタゴンは、そこに同調して利権を膨らませたともいえるだろう。」



着手したのは、冷戦下……。下「」引用。

「原子力は権力によって動かされる。日本政府が原子力発電に着手したのは、冷戦下、東西両陣営が核武装に狂奔している最中だった。」

平和のためのなんて、ちゃんちゃらおかしいですよね。

平和憲法下の日本の議会で、改進党の小山倉之助は語る。 下「」引用。

「「-略-」
 原子炉築造予算の趣旨説明で、軍事状況を説き、原子兵器を使うために上程すると言い放っているのだ。原子力を欲する権力の、どす黒い顔が、ここに現われている。
 中曽根がこしらえた予算で原子力利用の道筋がつけられた。しかし、これを事業化し、原子力発電を稼働させるには、もう一人の役者に登場してもらわねばならない。読売新聞社主にして、CIAから「ポダム」の暗号名で呼ばれていた正力松太郎である。」

「ポダム」老いらくの権力欲で原子力。 下「」引用。

「正力は老いらくの権力欲に燃えた。政界に強固な基盤はもたかなったものの、原子力を武器に財界のバックアップをとりつければ話は違ってくる。原子力で総理の椅子を狙おうと決めた。機は熟した。いつ、それを口にするのか、だった。」

「二○○○万を渡し保守大合同の道へ」 下「」引用。

「正力は、原発キャンペーンを展開する裏で、もうひとつの公約「保守大合同」の根回しに動く。五月十七日、正力は芝伊皿子の料亭「志保原」で自由党総務会長の大野伴睦美と民主党総務会長の三木武吉を引き合わせた。それまでにも正力は鳩山と吉田の仲を取り持とうと幾度も汗を流していた。テレビ放送の免許ほしさで吉田にすり寄ったにしても、労を惜しまなかった。その延長上で大野-三木の歴史的会談を仲介した正力は、総理の座への先行投資として二○○○万円の大金を三木に渡す。現在の価値に直せば、三~四億円になろうか。-略-」

「河野一郎(河野太郎の祖父)の横やり」正力と同じ鳩山派だったが、鳩山は引退。下「」引用。

「河野も正力も「岸の次」を狙っている。河野は九電力の合理化を狙っていたといわれる。資金が潤沢な東電、関電が君臨し、東北、北陸、四国などの経済基盤の弱い電力会社が従う形を嫌い、四つ程度に統合しよう、と……。河野の民間批判の趣旨はこうだ。
「将来の産業開発に重要な地位を占める原子力を、大電力会社だとか、三菱、日立などの財閥グループに独占させたらどうなるか。まだ不確定な要素の多い、危険や災害をともなう買物をして国民生活に悪影響をおよぼしてはいけない。赤字の連続で、かえって電気料金の値上げになったら一体どうするつもりだ。自分の考えはしばらく様子をみたうえで、政府が責任をとる特殊会社、たとえば電発(電源開発)や日本航空みたいな組織をつくるべきだ」(『サンデー毎日』一九五七年八月二十五日号)」

「電力を制する者は国を制する」 下「」引用。

「河野と正力は、岸内閣の不統一と印象を世間に与えるのも顧みず、角突き合わせた。「電力を制する者は国を制する」といわれる。マスコミは両巨頭の権力闘争と書き立てた。困った原子力産業会議は、岸の腹心で自民党幹事長の川島正次郎に調停を頼んだ。川島が動くと、意外にもあっさり決着がついた。九月三日、閣議で「日本原子力発電株式会社」を新設する決定がなされた。日本原電への出資比率は、政府系の電源開発二十%、九電力などの民間が八十%で妥協が図られた。民間が大勢を制したとはいえ、官もしっかり食い込んだ。電力・通産複合体として日本原子力発電は生み落とされた。」

河野への献金で……。下「」引用。

「「それで決まった」わけではない。この話には裏がある。河野への「献金」で妥協が成ったといわれる。毎日新聞記者の河合の著者『不思議な国の原子力』には電力界の消息筋の談話が記されている。-略-」

そして、河野に干される正力。

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岸首相にお払い箱にされた正力は読売に復帰。

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財閥系復活。財閥の思惑。下「」引用。

「日本初の原子力発電所は東海村に建設することに決まる。産業界は、原子力を中心に財閥を復活させた。「三菱原子力政策会議」、日立、昭和電工系の「東京原子力産業懇談会」、三井系の「日本原子力事業会」、「住友原子力委員会」、古河・富士・川崎系の「第一原子力産業グループ」と五グループに財閥系企業が結集している。
 まだ海のものとも山のものとも判断がつかない原子力に財閥が総力をあげたのはなぜだろう。原子力が軍事と結ばれ、巨大産業に発展すると見越したからではないだろうか。-略-」

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道路は「く」の字【六ヶ所村】 下「」引用。

「なかには、集落ぐるみ移転するなかで「おらは絶対騙されねぇ」と土地を売らなかった農家もある。そこを避けるために核燃料施設への道路はくの字に曲がった。」

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中曽根康弘と理屈……。下「」引用。

「中曾根は大所高所に立った政治判断で下北を核のメッカにしたと説明している。だが政界には「理屈はあとで貨車でついてくる」という言葉がある。」

日本社会のアキレス腱【私的財産権】 下「」引用。

「日本の私的財産権は、世界一強固だといわれる。誰でも不動産を取得してしまえば、煮て食おうが焼いて食おうが好き放題という「建築自由の原則」が貫かれる。
 話はやや飛躍するが、近年、外国資本が北海道や九州などの水源地の森林原野を買い占めているのも、私的財産権の絶対性に守られているからだ。誰でも札束さえ積めば、大切な水源地をも手に入れられる。人びとの生存や安全に関わる公共問題が「カネの問題」に転嫁されるところに日本社会のアキレス腱がある。」

中曽根と鳩山【短現第六期】 下「」引用。

「戦後、短現は政財界に散らばって、世間に気取られにくい海軍経理学校人脈をつくった。中曾根の妻、蔦子は、中曾根が台湾の海軍施設で隣に机を並べていた小林義治(短現第九期)の妹だ。小林は、日本工業新聞社長、産経新聞専務を務めている。中曾根と同じ短現第六期で、最も優秀だったのは鳩山威一郎だといわれる。-略-」

ナベツネの紹介で中曽根の秘書となった与謝野馨。下「」引用。

「中曾根譲りの風見鶏ぶりに変節漢の批判を浴びた。が、ただひとつ変えていない信念がある。原発推進だ。福島第一原発の事故発生後、与謝野は「(事故は)神様の仕業としか説明できない」「(東電の津波対策は)人間としての最高の知恵を働かせたと思う」と東電を擁護している。」

高坂と中曽根と松下政経塾高坂正堯の「平和問題研究会」」 下「」引用。

「瀬島が関係した諮問会議では「平和問題研究会」が原子力推進を国防と絡めて打ち出している。研究会の座長は、京都大学法学部教授で国際政治学者の高坂正堯(こうさかまさたか)だった。高坂は、中曾根がかわいがった学者である。高坂がかかわった諮問会議も山のようにある。
 高坂は松下幸之助が創設した松下政経塾とも近しく、ゼミの教え子の前原誠司が進路の相談にきたとき、「外交官は京大出では偉くなれないし、きみは母子家庭なので(単身で海外赴任するは)どうか。学者は天才じゃないといかんが、それほど頭もよくない。大学院に行くつもりで松下政経塾に行ってこい」と送り出した逸話は有名だ。前原は高坂譲りのタカ派で、原発についても推進の旗を掲げ、国交相在任中はベトナムへの「原発輸出」に奔走している。」

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本当に自殺?【「もんじゅ」をめぐる不穏な事件】 下「」引用。

「社内調査責任者で、記者会見にも出席した総務部次長の西村成生がホテルの敷地内で亡くなっているのが発見された。西村の死を境にメディアの動燃への集中砲火はピタリとやんだ。警察は死因を「自殺」と発表した。
 だが……、西村の死はあまりにも不自然だった。三十メートルの高さから飛び降りたという割には、死体がほとんど損傷していなかった。警察は死亡時間を十三日午前五時ごろと公表したが、遺体が収容された聖路加病院の医師は深部体温の低さからして、死亡推定時刻は十二日午後十時から十三日午前一時と推定。警察発表と大きく食い違った。-略-動燃は動燃で西村の遺書の内容を歪めてメディアに伝えた。
 夫の死因に不審を抱いた妻のトシ子は、真相追及の訴訟を起こす。しかし裁判所は西村側の主張をことごとく否定し、動燃と西村の間に因果関係はない、と結論づける。まるで動燃の生贄のように西村は死んでいった。その真相は、まだ解明されていない。」

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「核燃料サイクル堅持の根には、権力の欲望が横たわっている」 下「」引用。

「中曾根は、「十九兆円の請求書」が社会に波紋を投げかけたころ、ノンフィクション作家の上坂冬子と『Voice』(二○○四年九月号)で対談している。上坂が「(核燃料サイクルで)日本が戦略兵器用にプルトニウムを転用するのではないか、という意見がアメリカのハーバード大学やマサチューセッツ工科大学の学者から出た」と指摘すると、「まあ、われわれは『ゴーイング・マイウェイ』でいけばよい。気にする必要はありません」と応じた。マイウェイトは、核武装する能力の維持であろう。核燃料サイクルという魔の轍からの脱却は、核武装を棄てることになる。核燃料サイクルの堅持の根には、権力の欲望が横たわっている。」

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Voice』はPHPが出している雑誌。

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核武装論を口にした麻生太郎外相。安倍晋三総理はそれを黙認。

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