あかねさんシリーズ002 男が女de女が男 023 レポートを忘れてた! 「あら、本当のことを言われてショックを受けているのね」 「そう百合子さんをきらってはいけないわ」 と庇う茜。 時計はもう十一時をこえた。 「あの、そろそろ閉店なんですけど……」 遠慮気味にいう店員。 「それじゃ、お開きにしよう」 「ええ、茜さんって優秀なのね」 「どうして?」 「レポートがあるって話していたじゃないの……」 茜は一気に酔いがさめた。そうだ、レポートがあったんだ。 「茜、がんばってね。お嬢さまだからって、そこまではしてくれないわよ」 「がんば! チャチャチャ」 手拍子まで口でいっている。もう、すっかりでき上がっている。 「それじゃ、お先にね」 茜は走り出した。 --走り出すと、アルコールが心臓の鼓動を速める。 そうすると、余計にアルコールが体中にまわる感じがする。 でも、走るのよ、そしてレポートを書くのよ。 いくら、有閑女学生なんてあだ名をつけられていても、茜だって学生なのである。 小一郎は、そんな茜を心配そうに見ていた。 この世界には平等とか公平とやたらに口にしたがる政治家がいる。 だが、平等も公平も決して自らの利益を得ようとすることでは、決してない。 だからこそ、もし、平等や公平を少しでも大切に思うなら、『あらゆる差別に反対する』ということが、最低の条件だということに気がつくだろう。 茜だって、人間なんだ。発展途上国といわれる、今、飢饉で飢えきっている子供たちも、同じ人間なんだ。 この世界には、都合のいいように公平や平等を語る人が多すぎると思う。 だからといって、公平や平等を語ることができない社会はもっと恐ろしいと小一郎は思う。
人気blogランキングへ ありがとうございます。 |
最新の画像[もっと見る]
- いい音ってなんだろう-あるピアノ調律師、出会いと体験の人生- 12年前
- 音楽演奏の社会史-よみがえる過去の音楽- 12年前
- AERA ’12.7.16 12年前
- 週刊現代 2012-8-11 12年前
- AERA ’12.7.9 12年前
- 必ず来る!大震災を生き抜くための食事学-3・11東日本大震災あのとき、ほんとうに食べたかったもの- 12年前
- 僕のお父さんは東電の社員です-小中学生たちの白熱議論!3・11と働くことの意味- 12年前
- 日本の原爆-その開発と挫折の道程- 12年前
- エコノミスト-週刊エコノミスト- 2012-3/13 12年前
- エコノミスト-週刊エコノミスト- 2012-3/6 12年前