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高木仁三郎著作集5 核燃料サイクル施設批判

2006年05月11日 | 読書日記など
『高木仁三郎著作集5 核燃料サイクル施設批判』
   高木仁三郎・著/七つ森書館2003年

このテーマは軽く見過ごしてしまうけれど、原発と化学工場の両方の危険をもっているという。

よく読めば、すごく危険なものです。




この本で一番の重要なことは、核燃料サイクルとは、
諸外国でもつなぎのもので、もう必要ないもので、
かつ諸外国も自国だけでなく、他国の処理をして、
やっと採算があったものでしかない。
それなのに、自国のみで、こんな中途半端な技術で、
大赤字を出し、一度事故が起これば、チェルノブイリ
の何倍もの被害を与えるという。

物理学だけでなく、使用済みの核燃料から、
有効な核燃料をつくりだすのは、化学処理で
作られるという。
化学工場で大事故をおこしたのを
知っておられる方は、それも起きる
可能性があるということらしい。

難しい物理学だけでなく、複雑な化学のことも、
理解していなければ、理解できないようだ。
日本には核化学の分野で、高木仁三郎という、
良心をもった学者がいた。

何度も書かねばならないだろうが、
核燃料サイクルなどというのは不要である。
時代遅れの産物でもある。
そして、インチキの論理をいくつも使っている。

アメリカは使い捨て方式をとっており、
この方が安全で安上がりであるという。


そして驚くべきことに、それも企業がすすめている
形をとっているが、実質は科学技術庁だという。下「」引用。

「科学技術庁は、八六年度から三年計画で予算をとり、各土建会社などに止水(防水)用コンクリートの開発研究を奨励しました。とくに一九八七年には、科技庁は、住友化学、熊谷組、西松建設、石川島播磨、鹿島建設、間組、大成建設、三井建設、大林組、奥村組、日本国土開発、竹中工務店の一二社に総額二億円の開発費を出しています(さらに一九八八年には鴻池組と石播に交付されています)。地下水問題が起こったから、あわてて交付金を出して止水用のコンクリート開発をさせる。それも本来、日本原燃産業の仕事なのに、政府が先陣をきる、これではほんとに科技庁は、監督官庁(レフェリー)なのか推進本部(プレーヤー)なのか--ま、彼らは平然として、「その両方をやるのだ」と言い切るでしょう。」

技術的、四つの問題点。
(1)溶解(槽)の困難
(2)白金族処理の困難
(3)レッドオイル
(4)プルトニウム取り扱いの困難

そして、大型原発に比べても、
再処理工場の放射能放出は大きい。

クリプトンの環境効果について。同。

「また、西ドイツのブレーメン大のコラートによると、クリプトンの増加は大気中にオキシダントを発生させ、森林破壊などの原因となるとされます。このように、クリプトンの環境効果に注目が集まっています。」

フィルターの健全性。同。

「住民被曝を下げてしまう次なる手品の種は、例のフィルターというものです。どんな事故想定でもほとんどが、この「高性能フィルター」が十分(ほぼ完璧)に働き、ほとんどの放射能をここでくいとめてしまうのです。この例でも、希ガス、ヨウ素以外は、九九・五パーセントはここで止まってしまいます。
 つまり、一番毒性や長期的影響が問題となるプルトニウム、ストロンチウム、セシウム、ルテニウム、セリウムなどはほとんど止まってしまって、外に出ないことになってしまうのです。
 フィルターが万能でないことはすでに多くの事例によっても知られています。とくに、事故が単一の原因によってではなく、地震、火災などにより発生した場合、フィルター系(換気系)にも機能の喪失や漏れが生じるかもしれません。また、臨界事故に伴う急激な蒸発、爆発などによって、換気系に以上が生じるかもしれない。とくに、蒸気が噴出した場合、フィルターが水分によって吸着能力を失ったり、目詰まりする可能性も考えられます。
 これまでの多くの事例をみても、事故時には、えてして小さな出来事が併発し、予想もしなかった漏れが生じたりするものです。最大限の事故を「仮想する」というのに、フィルターは、一○○パーセントの能力を発揮するものと考えるのは、事故対策の考え方として、いかにも不徹底ではないでしょうか。」


何重にも防御しているというが、
大きな事が起きるとそれが機能しなくなるのは、
スリーマイル島原発事故やチェルノブイリ事故で、
経験したことでもある。
原発よりもさらに困難な技術なのである。
複雑な化学工程も伴う。

セラフィールドのひどさが書かれてある。
こんなことで、よく英国人は怒らないものだと思う。

燃料棒も再処理工場では使用できないという。
これは東海村でもありましたね。

故障のまま17年間も放置していたという。同。

「臨界防止装置 故障のまま17年放置」(「東京新聞」一九九九年一一月二四日)
 核燃料サイクル機構 目視作業で運転
 核燃料サイクル開発機構(旧動燃)東海事業所の再処理施設で一九八○年ごろに臨界防止装置の一部が故障して以来乗七年間放置され、目視作業で運転していたことが二十四日までに分った。」

何重にもしてあっても、人間はミスするものですし、
それが重なって、大きな事故になったら、
取り返しがつかないことになるのでは、
やはり、止めてもらわないと大変なことになります。


廃棄物すべてが、リサイクルされていないのです。
また、イメージだけで全てがリサイクルされていると
受け取っていませんか? 同。

「百歩譲って、回収ウランの「リサイクル」を認めたとしても、使用済み燃料の中の最もやかっいなゴミである死の灰の本体は、放射性廃棄物として残る。それだけでなく、ウラン採掘から、廃炉処分に至る全体の流れに従って、ぼう大な量の廃棄物が排出され、その多くは処分がやっかいな放射性廃棄物である。この状況を図1に示すが、この図を見れば、「核燃料サイクル」はフルに稼働したとしても、実は放射性廃棄物を作り出す仕掛けのようなものであって、とても「サイクル」ではないことがおわかりだろう。」



六ケ所村では手抜きプールなど、
いろいろな問題もありますね。

あれほど負け戦とわかっても、
止められなかった第二次世界大戦。
看板だけをかえ、あいもかわらない
人たちが支配している日本。

これも負け戦です。
一日も早くやめないと、
それだけ、危険になり、
多くの血税が使われます。

日本のほとんどが立入禁止地区に
なる前に……。


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