あかねさんシリーズ002 男が女de女が男 027 「警備?」 「3日前でなくても、昨日にもどればいいのよ」 茜は腕時計のようなものを手にまいて、タイム・マシンに乗りこんだつもりだった。 時間旅行は二回もしている。一度目は記憶にはないけれどもね! 茜は自信満々でタイム・マシンに乗りこくんだ。 マイナス三日と入力して操作した。 「あれ、何の案内もないわね」 茜はしばらく、考えこんだが、機械のメイン・ボタンを押した。 シャー・シャーと深夜放送が終わったテレビのような音がした。 まわりの物も見えず、砂嵐のようになっていた。こんなはずじゃなかったわ! と、茜は思ったけれど、今からでは、どう止めていいかもわからなかった。 茜は口や目に砂が入らないように、下をむいた。耳にも砂が入ってくるような気がしたので、肩をすくめて耳を守った。 シャー・シャーという音はしなくなったし、体にあたる砂の感じもなくなった。 静かな中、茜は砂を頭から払うと、マシンのなかから出た。 「ふーっ」 茜は大きくため息をついた。 元のオカネスキーの研究室だった。 ドアを開ける音がした。 「あらー、茜お嬢様!」 それは、主任メイドの中根かと思ったら、違った。 よく見たら、警備の斉藤だった。なんと女装をしていた。 いかに、今がオカマ・ブームといっても、警備の斉藤まで、そんな気づかいをしなくってもいいのに……。 「どうなさったの、お嬢様」 「あなた、わたしがいくらオカマバーに昨日いったからって、家までオカマバーにする気はないのよ。警備の仕事はどうしたのよ」 「警備?」 長いつけまつげを、しばたたかせていた。
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