ラヂオアクティヴィティ[Ra.] 第二部・国境なき恐怖 153エネルギー不滅の法則 「ということは、エネルギーは形を変えただけで、なくなってしまって、危機に貧しているというわけではないというわけだね」 「わかったよ。エネルギーを取りだせるかどうかなんだ。エネルギー不滅の法則だよね。アインシュタインがE=MC2というものを数式を導き出したのも、エネルギー不滅の法則からだよ。そして、それから原子力エネルギーというとが考えだされたんだよ」 「エネルギー危機を救うためには、どうにかして、人類が使用しやすいように、エネルギーを変換するかだよね。エネルギーがなくなるというわけじゃないんだよね」 「というわけで、ソーラーカーはとても未来的な乗り物というわけだね。何せ、太陽の光を電気にかえて走らせるのだからね」 「そうだとも。それを教えてもらうために、ソーラーカー・レースの『風車』の大滝さんに来てもらうよ」と、勉が話した。 夏八木が 「明日、井上流の日本舞踊を習いにいくコースもありますよ。どっちのコースに行くかは、みんな一人一人の自由意志よ」 どうも、男はソーラーカーで、女子は日本舞踊になったみたいである。 展望ルームで三時のお茶をしている。 「あの大文字が見えるわ、素敵だなあー」 「十七日までここにいるのでしょう。だったら、あの大文字の送り火も見られるということね」 「大文字の送り火って、大文字焼きともいうよね。でも正式には大文字の送り火らしいよ」 「南側から、あの鳥居の形をしているのは曼陀羅山。あの大の字をしているのが大北山。船の形をしているのが妙見山。“妙法”は松ケ崎。ここからは見えませんけど、東側にある大の字は如意岳と言います」 「それら、五つをあわせて、大文字五山と言います」 勇気が横から口を出した。 「なんで大文字の送り火がはじまったか知っているか」 勉は勇気に質問した。 「わからないよ、意地悪な質問はやめてよ」 「はい。いろんな説はあるけど、有力な説は応仁の乱で死んだ人たちの霊を癒すためでしょう」 李は答えた。 「ご名答、李さん、勇気より日本人って感じだね」 「ひどいこというなあー」と頭をかく勇気。 「ところで、応仁の乱って何」 李が説明する。 「応仁の乱は室町時代に起こりました。一四六七年から、おおよそ十年間の戦乱でした」 戦乱、このときにさえ多くの命が散ったのである。 ただ、現代の戦争のように戦争をする人以外の死は少なかった。 近代になるにつれて、民間人の巻き添えが増えてきている。 それは武力の性能の向上とも関係する。 「どんな戦乱だったの、原因は何だったの。教えてよ」 とミス・ホームズは李に質問する。 「将軍家の跡継ぎ問題がきっかけで起こりました。応仁の乱で、京都は焼け野原になりました」 「将軍家の跡継ぎ、どこの王室でも歴史があればあることよね」と、ナンシー。 このような戦争の原因になることを引き起こす人たちがいなくなることをナンシーは望んでいる。 「正義って、何だろう」 勇気は思ったことをすぐ言葉にしてしまった。 「正義なんて、そんなことを言う人は相手の立場を考えない人だよ」 博士は自信をもって話す。 「そうだよ、百パーセントの正義もなければ百パーセントの悪もない。もし、百パーセントの正義なんていう者がでてきたら、現実を把握していないとしか言えないね」
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