磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

鱧男の小説などをUP。環境問題に戦争・原発を!環境問題解決に民主主義は不可欠!

科学 2012-3

2012年04月26日 | 読書日記など
『科学 2012-3』
   田中太郎・編/岩波書店2012年

特集名 科学の〈限界〉:価値の選択と予測



「放射性物質の「除染」」小豆川勝見。
さまざまなパラメータ。下「」引用。

「福島第一原子力発電所から環境中に拡散された放射性物質は、時間の経過とともに我々の予想を超えて「移動」していることはこれまでの本コラムでも繰り返し指摘してきた。放射性物質を移動させている要因がゴミ焼却のように人為的であるにしても、あるいは雨や風、あるいは海洋生物など自然現象にあるものであるにしても、結果として放射性物質を集めてしまうことになれば濃縮がおこり、時として非常に高い放射性物質を海や大気に拡散、あるいは汚染されていないものと混ぜてしまえば、単位体積あるいは単位重量あたりの放射性物質は希釈されることになり、様々なパラメータが複雑に絡み合う状況を経て移動していることになる。」

限界的な情報。下「」引用。

「これまでに筆者らは、放射性物質が環境中でどのように挙動するかについて、現地調査と放射能の測定を繰り返してきた。その結果、(未だ解決の糸口すらつかめない問題が圧倒的多数ではあるものの、)わずかであるが、放射性物質の移動を人為的に制御するための提案が徐々にできるようになってきた。そのひとつが「除染」である。残念ながら汎用的な技術ではなく、まだまだ限定的な情報ではあるが、測定ではどのような研究が行われているのか紹介したい。-略-」

index

「軍用動物としてのイルカ」 下「」引用。

「私はプールへと道板を降りていって、1頭のイルカを見つけ、手を伸ばせば届く距離に立った。そのイルカは私が見えるような体を横に傾けた。-略-これがベル。軍用イルカだ。
「シー・ワールド」で歓声をあげている子どもたちがベルに会ったらびっくりするのではないか。とにもかくにも、ベルは訓練を受けた殺し屋かもしれないのだから。」

「[座談会]消えた論理の謎--原発事故後の言葉の融解」 下「」引用。

「影浦 論理的に理解不能な発言状況があります。たとえば、中川恵一さんは「レントゲンの撮りすぎは決していけません」と言う一方で、「100mSv以下は影響ない」と言う。またPTA向けの文書で中川さんはこうも言っています。「100mSv以下でがんが増えるかどうかは過去のデータからは何とも言えません」。ここまでは、どこまでの範囲で調査するかによるけれど、「科学の無能」(武谷三男による)を表しています。ところがすぐ次のパラグラフで、「毎時1μSvの場所でずっといたとしも身体に影響のでる100mSvに達するのは11年以上の月日が必要です」と書いている。科学の無能などなかったのように、科学的に安全が証明されているという側に暗黙のうちに倒して、影響はないとして次の言葉につないでいます。ここまであからさまなのは気持ちが悪い(中川氏の発言分析については本誌1月号の影浦氏の論文参照)。
牧野 あらゆる論理がそうなっていますね。わからないところは「わからない」でなくて、影響は「ない」と。」

index

「●逆転する挙証責任」 下「」引用。

「押川 リスクがあるという十分な証拠がないから大丈夫だという。非常にゆがんだ状況になっています。
影浦 3月11日以降は、挙証責任が逆転させられました。本来なら、100mSv以下を安全と言うなら、安全と言う側に挙証責任があるはずで、それがまっとうな議論です。とこがそれを逆転して、いろいろなデータを引いて説得しようとする人がいると、ヒステリーだとか、国際的に認められてないとか、UNSCEARは認めていないとか、英語の論文で査読を通っていないとか、延々と言われています。科学論争のあるべき形ではなく、異常な感じがします。
牧野 異常だけれど、福島の事故で新しい“現象”ではなく、チェルノブイリの事故のときとまったく同じです。つまり、オリジナリティのある行動をしているわけでなくて(笑)、当時のソ連の行動などを、そのとおりなぞっています。-略-」

「●「わからない」を貫いてつながっていく」

被ばく手帳と補償が必要。下「」引用。

「-略-福島を切り捨てて他が生き延びようとする意識が、何となく日本全体として生まれてきているのではないでしょうか。県境を越えていかないといけない。
 被ばく手帳と補償が必要だと僕たちは言っています。その予算をはっきりさせることが大切で、それをなるべく出さないとなると、被害を小さく見せることにしかなりません。」

医者の多くが援護射撃。下「」引用。

「山田 自分のやっていることは基本的には肯定したい。問題は使い方であって本質的な問題とは言いたくない、という側面もあるでしょう。自分でいい医療をやっていると思っても、医療という行為そのものが権力をもつているのだから自分も権力をふるっていることになる、といった捉え返しを日本の医者はしてこなかったと思います。社会科学の側から、医療のもつ権力性への批判は出てきているのたけれど、医者の側はそれに応答しようとしなかった。そういうことのつけがいま、回ってきているのでしょう。医者の多くが放射能は安全だと断定的に言って、結局、原発推進派の援護射撃をしているという現実が、その“つけ”だと思います。」

ベラルーシの現状。下「」引用。

「いま、ベラルーシからは本当に情報が入らなくなりつつあります。現在、ベラルーシでは政府が原発を建設したいと言い出していて、緘口令がしかれているのです。-略-」

甲状腺だけではない「ベラルーシの子どもたち」 下「」引用。

「しかし、問題は甲状腺がんに留まりません。むしろ、がん以外の広範な健康問題があるのです。事故から25年余が経っていま、汚染地の中でも相対的に低濃度の地域の状況が気がかりです。
 現地の医師は、子どもたちが感染症にかかりやすく、抵抗力が落ちているといっています。風邪をひくと長引くし、ぶりかえす。原因不明の気管支炎や肺炎が多い。来日していた3人目の医師は、ウイルス性の感染症にかかりやすいといつていました。免疫力が落ちているのです。実際、血液検査をすると、あきらかに汚染地の子どもの数値はわるいそうです。近年、貧血の子も増加しているとのことです。
 また、この10年来、未熟児や早産が増えているそうです。そうするとどうしても先天異常の数も多くなります。現地では、妊娠期間中の検診を受けるように厳しくいわれていて、もしも胎児に異常が見つかると、なかば強制的に人工妊娠中絶がおこなわれているそうです。
 こうした状況が、高度の汚染地に留まらず、比較的汚染の低い地域にも広がっているというのです。
 実際、ベラルーシの子どもたちは疲れやすくて、授業時間が短縮されています。-略-」

index

「ドイツから3.11を考える」今泉みね子。下「」引用。

ドイツでは……。下「」引用。
「ドイツでも政治家への電力大企業の圧力やロビー活動の影響が強いことは知られている。今回も大企業からの大反対や損害賠償の要求があり、「突然すぎる」「過剰反応」などの批判もあがった。それにもかかわらず、政府がこのような大決断をしたのは、究極的には報道と市民の力のおかげだと思う。」

日本のマスメディアはひどいとボクも思います。「原子力ムラ」の一員といわれても仕方がないでしょう……。

ドイツのメディアと市民。下「」引用。

「マスメディアは、3.11後は連日、地震/津波の天災を伝えただけでなく、原発事故の状況を大々的かつ批判的に報道し、時には東京電力や日本政府の発表内容を疑問視するような発言も辞さなかった。同時に、ドイツ自身の原発の安全性についての専門家のコメント、インタビューや討論会も数多く報道された。市民の反応はもっと大きかった。地震/津波の犠牲者への哀悼と連帯、そしてなにより反原発への意志を表明する大々的なデモが全国各地で展開され、数十万人もの市民が参加した。」

index

ドイツ初の緑の党の州首相が誕生。下「」引用。

「保守の温床、バーデン=ヴュルテンベルク州の州議会選挙では、原発の是非が大争点の一つとなり、選挙の結果、60年近く政権を確保していた保守党が破れ、30年以上反原発を主張してきた緑の党と社会民主党の連立政権が成立し、ドイツ初の緑の党の州首相が誕生した。」

電力大企業不要。下「」引用。

「そこから「脱原発は高くつく」などと、大衆受けする近視眼的な「風評」が流れる。緊急を要するガス発電や再生可能エネルギー発電は儲けの規模が原発より小さいので、電力大企業は消極的だ。本当は、原発脱却を決めた今こそ、再生可能エネルギーやコジェネレーションを中心とする地域分散型の供給体系、電力大企業を不要にするようなまったく新しい形のシステムを構築する絶好のチャンスなのだが、そのような大改造をする勇気やヴィジョンは大半の市民や政党にはなさそうだ。真の脱原発実現のためには、継続的でより広い層を包括する市民運動が欠かせないのである。-略-」

長期的には……。下「」引用。

「日本には太陽光も風も地熱も省エネの余地もたっぷりあるから、「資源のない日本には原発は絶対必要」という論は、長期的な視野に立てば成り立たない。原発事故や核廃棄物による健康や経済への影響を考えれば、長期的には再生可能エネルギー利用や省エネのほうが安くて安全である。」

止めるのは市民。下「」引用。

「3.11による想像を絶する災いから学び、災いを福へと転換する唯一の道は、これを機に市民が日本の原発を止めることであろう。ドイツの例でも見られるように、原発を止められるのは政治家ではなく、政治家を選ぶ市民である。」

「「脱原発という名の思想」について」綿貫礼子(サイエンス・ライター)。下「」引用。

「大きな視点で見れば、現在は、17世紀の科学転換期に比すほどの、エコロジーに根ざしたゆるやかな「科学技術革命の時代」に入っているとみなせるのではないだろうか。そしてこの時代の「希望」は、「脱原発」を決断することからしか拓けないと私は確信している。」

高木仁三郎「市民科学者の言葉」井田徹治(環境ジャーナリスト/共同通信)。下「」引用。

「私は科学記者として1995年の阪神大震災の取材に長期間、かかわった。高木さんは震災直後、日本物理学会誌での論文の中で、巨大地震の後に非常用ディーゼル発電機の起動失敗などの可能性を列挙し「メルトダウンから大量の放射能放出に至るだろう」と指摘していた。不勉強にして、この論文の存在を知ったのはずっと後になってからのことで、それを記事にすることもしなかった。」

もくじ









index

index

INDEX



エンタメ@BlogRanking




最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
放射能 胎児 で 検索中です (村石太レディ)
2012-05-02 17:47:23
原発問題 大変です。
私には 無学で 知識がないです。
広島 長崎の 原爆を 思い出します。
違うのかなぁ
放射能問題 大変な 問題ですね
政治研究会(名前検討中
うまく文章が 書けないことを お許しください。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。