あかねさんシリーズ002 男が女de女が男 066 美人局 「本当の美しさとは愛! 愛とは人を幸福にすることと、オカネお嬢様も思ってそんなことにならないように、わたしも願うでありんす。いうではごじゃりませんか? 『美人は三日もすれば、見あきるが、不美人は三日もたてば見慣れる』ってね! 美人、不美人、どっちが幸せか本当はわからないのが真実だと多くの大人はその人生のうちに悟っているのだが、若い人たちも早く気がつくべきでごじゃりますうー」 つまらない、まっくたつまらない。 差別で、いじめで、生命を落としていく少年少女がいるなんて……。 だけど、恋というのは、生命よりも大切になったりもするし、それが悪いことだとも言えない。恋を成就したいために美人や美少年でありたいのは、万民の願いだろう。 だけど、何回もいうように、美人だから幸福になるとは限らないし、不美人だからといって不幸になるとも限らないのである。 幸福とは外にあるのではなく、心の内にあるといった人がいるけど、たぶんそっちの方が本当だろうと思う。茜は長々とそんなことを話した。 「あら、茜お嬢様もそう思うの? 実はわたしも、そう思っているのでありんす。わたし、男のくせに、これだけ器量が悪いでしょう。だから、すごく悩んだことがあったのでごじゃります」 茜はオカネスキーの顔をじっくり見て納得している……。 「そうでしょうね、わかるわあー」 「あら、ひどい! 謙遜していったのでありんす!」 「あら、わたしの目も悪いのかしら……」 「あら、お嬢様、ひどいことをおっしゃるわね」 「冗談、冗談よ、わたしだって、大した顔をしているわけではないものね」 「そんなにすごい美人なんて、本当はいないわよ。美人って男性に使う言葉だけど、そっちの世界では、もしかしたら女性に使う言葉かしら?」 「そうよ、女性に使う言葉なのよ。女は鑑賞動物なのよ」 「あら、まあ、そんな世界に生まれてみたかったわあー。セクハラっていうのも、主に男性がしいてるんじゃないかしら、あらー、やだー。わー」 オカネスキーは何を考えたのやら……。と茜は思う。 オカネスキーは不美人である自分の頭の内にあるイメージをかきけしたくって、そんなことを言っているのだ! 「あら、オカネ様ったら!」 「まあまあ、私とオカネスキーの間柄じゃないの!」 「ええ、それはそうでごじゃります。こちらの世界の女性もこんな気持ちをわかっていれば、美人局(つつもたせ)にも騙されないことでしょうにね……。あら、美人局なんて、古くさくてわからないでごじゃますか? ようするに、美男子をエサにして女性をだます、悪い女性がいるのでありんす」
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