ラヂオアクティヴィティ[Ra.] 第一部ブロック・バスター 098核兵器が何を意味するか? 「こら!愛しているのは、俺だ……」 「僕は人類愛を唱えているのに、殴ることないじゃないか……、まったく痛いなあー。本当にもうー! バーバラさん、怒ってよ」 勇気は呑気である。 「勇気、おまえ、騙されたのだぞ!」 マイクは怒っていた。 「でも、バーバラさんが生きていてよかったね」 「マイク! 私、女優志願だって話したでしょう……。夢が叶ったのよ!」 目をキラキラさせているバーバラ。 「なんてことだ! 僕は完全に騙されて涙を流したってことかい。全世界に放送されたってわけかい」 「いいえ、まだ、放送はこれからよ。編集してからよ。受けると想うわよ!」 バーバラは嬉しそうだ。もしかしたら、ハリウッドから誘いがあるかもしれないと思ったほど、名演技だったと確信している。 「まったく、君は才能があるよ……。オスカーだって、取れるかもしれないけど……。僕の気持ちはいったいどうなる?」 「マイク! これに応募したとき、私の書類もつけて出したのよ。あなたがいなければ、私、この役はできなかったわ!」 「役? 役だって……」 目をギョロギョロさせるマイク。 「エリック、これは放送しないでくれよ! 僕は肖像権の侵害と告訴するよ!」 マイクはエリックに指をさして半分脅していた。 だが、カメラの角度でエリックから見れば、横を向いていた。 「そうか……。それも仕方がないことだ。だが君はいい体験をしたよ……。核兵器が何を意味するか、その意味を否定して、核兵器で平和があるとだけを唱えることなんて、ナンセンスだということがわかったと思うがね……」 「それにしても、見事なメイクアップでしたね」 「そうかい?ありがとう」 エリックはうれしそうだ。 「そんなメイク、悪趣味だよ」 純情可憐なマイク。 「マイクって、かわいいでしょう!」 バーバラは笑う。 「何を言っている!」 マイクの怒りは収まらない。
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