ラヂオアクティヴィティ[Ra.] 第二部・国境なき恐怖 135わずか百年 また、都会が映る。 自動車や排気ガスがだされ、空気の色さえかわっている。 そして、工場がうつり煤煙を吐きだし、まき散らしている。 そして、それと対照的に美しい海が映された。 「二酸化炭素は海に解け、珊瑚礁や石灰岩になっていく。植物も光合成によって、二酸化炭素を取り入れてきたのです。二酸化炭素を取り入れ、生物に必要な酸素を生み出していってくれた。森と海が吸収できるのは半分だと言われている。数十億年で造られてきた地球のシステムは二十世紀のわずか百年で揺らいでいます」 わずか百年という言葉に戦慄した。 そうなのだ、こんな生活をはじめたのは、わずかしか歴史はたっていないのだ。 画面はドイツに変わる。 「ドイツは大幅な環境税をとるという政策。第一次石油ショックではじめて、二酸化炭素の消費量が減りました。そして、省エネでも減らしています」 画面はアメリカになる。 「アメリカ最大のモーターショー。環境対策カーも並べられてはいるけれど、人気は石油を大量に消費する大型車でしかなかった」 と、ナレーターは語り終えた。 「マイク、アメリカは世界一だよねえー」 と、五人の声がかさなった。 「もちろんさ、そんなのそのうち簡単に解決してみせるよ。それがアメリカだー!」 「博士に解決できることがあっても、マイクには百パーセントないわよ」 と、ミス・ホームズ。 「それは名探偵でなくても、理解できるさ。マイクって、どこまでもお目出度いヤツだよ。まったく」 「まあ、落ち込んでいても何もならないさ。前向きに前向きに考えようぜ」 「それはわかるけどさ……」 「東京電力は温室効果ガス削減のため、オーストラリアで大規模な植林プロジェクトを計画しているよ。東電は植林した分を「排出権」として獲得し、国内で削減できない分の埋め合わせをする狙いもあるらしいよ」 「まあ、そういう義務を果たすのは当然のことだと思うよ」と博士。 「博士は地球温暖化のことをどう思う?」 「それは、地球の温度がたんに上がるだけのことではないだろうなあー。 気象異常がおきるだろうなあー。雪もふりやすくなると思う」 「温暖化なのに、雪が降るのか」 「氷河期がくるのが地球温暖化の末路さ。 ただ温かくなるなんて、ものじゃないさ。 そんな単純なものではないんだよ」 「どうして、雪が降りやすくなるの?」 「自動車も機械も発電所も熱をもっている。 そして水蒸気を出している。 スモッグはいっぱいある。 そうしたら、当然雨や雪も降りやすくなることもある」 「そうだなあー。雪の降る材料が増えるってこと だもんなあー」 「反対に干し上がることもある。熱は乾燥させるだろう」 「そうだよね」 「異常気象をうむってことさ。それだけじゃない。 地球というのは、生きているんだ。地球の内部にはマントルなんてものがある。 地球の内部は岩のように固まっているのではなく、熱で解けているんだ。 その大量もあって、そのおかけで磁石の作用で方向を知ることもできるわけだよね」 「そうだよね。僕の立つ地面の下には、そんなふうになっているんだよね。」 「地表が温まれば、2℃あがるだけでも、地震が起きる確率が増すし、それだけでなく地震のエネルギーも増強されるだろうなあー。たぶん、今までになかった地震が起きたとしても、何の不思議もないだろうなあー。今までにない条件になってきているんだからね」 「それに病気だって心配よね」
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