ラヂオアクティヴィティ[Ra.] 第二部・国境なき恐怖 150変身舞妓 「京都は今も、外国の方が来られて、京都を好きになってくださって、住んでおられる方がけっこうおられますよ」 「そうですね。フランス人でシェフの方とかが、町屋を改装して、フランス料理店をつくってくれていますよ。京都はごちゃごちゃしていますけど、そこがまた生きた街として愛してくださっていますよ」 「新しい物好きの京都人ですから、そんなお店も味さえ良ければ流行ります」 「実は、本日の夕食はそのフランス料理のお店で、トレビアンです」 と勉は楽しそう。やはり予定はわかっていたほうが楽しい。 目の前には高瀬川が流れている。 「この川を題材にして、森鴎外は小説を書いたのでしょう」と、李。 「よく知っているね。ここは昔、物を運ぶための水路だった。もちろん、人がつくったものだったけどね……」 「浅い川ね」 「それで充分だったそうだよ」 フランス人のシェフが顔を見せてくれる。東京は川を埋めたり、蓋をしたりしたというのに、京都の人たちはそれをしなかった。とても素敵な景色だと思う。 「今日は、皆様」 「ソフィーさんは、フランス人だよ」 「いかがでしたか?」 「すごく、美味しかった。まるでフランスにいる気分にひたれたわ」 「でも、景色はこてこての日本ですねえ」 「フランス料理は京都にも似合います」 と、シェフ。 「ええ、似合いますよ。美味しいです。京野菜も使用されていましたね」 「京野菜は素晴らしい素材です」 「さすがフランス人、わかってらっしゃる」と、勇気。 「そうや、本日は、変身舞妓さんの予定になっていますよ」 「変身舞妓って何なの」 「舞妓さんの格好をするのですよ」 「わあー、舞妓さんになれるの、私体験してみたい。着物きてみたいわあー」 「ナンシーちゃんなら、似合うだろうなあー」 「バーバラもきっと似合うだろうなあー」 「でも、日本にはいないさ。バーバラは特殊メイクの方が似合うと思うけどなあー。さすが女優志望だよ」 「あ、いやなことを思い出させてくれるなあー」 「悪い、悪い、マイク、大笑いだったなあー」 変身舞妓とは別名・舞妓体験ともいわれ、お茶屋さんをしていた人たちや、写真屋さんがはじめたところなど、いろいろあるそうだ。 「マイクも、舞妓変身しない」と、ミス・ホームズがからかう。 「マイクには似合わないわよ。勇気の方が似合いそうよ」 「案外、行者の方が似合いそうだよ」 「そんなことはないさ」 「あのね、別に男が女装をすることは犯罪ではないし、ゲイが悪いわけでもない。そんなことでからかうのは、よくないね。低俗だよ」 「勇気に言われているようじゃ、仕方がないなあー。でも、楽しいことだろうから、騒ぐ気持ちもわかってくたれたまえよ」 「男にはサムライがあるよ」
ありがとうございます。 Index[Ra.] |
最新の画像[もっと見る]
- いい音ってなんだろう-あるピアノ調律師、出会いと体験の人生- 12年前
- 音楽演奏の社会史-よみがえる過去の音楽- 12年前
- AERA ’12.7.16 12年前
- 週刊現代 2012-8-11 12年前
- AERA ’12.7.9 12年前
- 必ず来る!大震災を生き抜くための食事学-3・11東日本大震災あのとき、ほんとうに食べたかったもの- 12年前
- 僕のお父さんは東電の社員です-小中学生たちの白熱議論!3・11と働くことの意味- 12年前
- 日本の原爆-その開発と挫折の道程- 12年前
- エコノミスト-週刊エコノミスト- 2012-3/13 12年前
- エコノミスト-週刊エコノミスト- 2012-3/6 12年前