磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

鱧男の小説などをUP。環境問題に戦争・原発を!環境問題解決に民主主義は不可欠!

おばあさんの人形の部屋05

2006年03月02日 | 短編など

おばあさんの人形の部屋





05.白いお月様〔おじいさんの出発〕

 空港に行き、ミルキィーとママは二人でおじいさんの外国旅行のお見送りをしました。

 おじいさんはおばあさんの死んだことが悲しくって、おばあさんと行った外国へ再び行くことにしたのです。

 お父さんは仕事でお見送りをすることができませんでした。
 おじいさんは、せっかくの外国旅行なのに、楽しそうではありませんでした。

 それは、やっぱり、おばあさんが死んだことを悲しむための旅行、センチメンタル・ジャアニー(傷心旅行)だったからです。

「おじいさん、だいじょうぶ」
 ミルキィーはおじいさんがジャット機に乗りこんでから、ママに質問しました。

「だいじょうぶよ。おじいさんはね、おばあさんを心の中にしまっておこうと思ったのよのね。だから、思い出のある楽しかった外国へ行くことを計画されたのよ。だから、帰ってくるころには、きっと、元気になっておられるわ。ミルキィー、おじいさんに手を振って」
 ミルキィーはジェット機の丸い窓から見えるおじいさんに手をふりました。

 おじいさんも丸い窓から手を小さくふっています。

 ゴォーン。
 ジェット機は大きく波をうって飛んで行きました。

 京都についたのは、もう、夜にちかく、嵯峨野についたのは九時ごろでした。

「ママ」
 ミルキィーはママに話かけました。
「なぁに」
 ママはミルキィーの手をひいています。

 電灯が消えているミルキィーの家のかわら屋根が月の光をはねかえし、とてもきれいでした。
「ママ、お月様って、こんなに明るかったかしら」
「そうね。東京は、街のなかはネオンや家の灯でその明るさがわからないのよ」

「そうなの、ママ。お月様の光は下に見える街の灯よりも明るいのね」
「そうね」
 と、ママはほほえみました。

「今日から、ミルキィー、新しいベッドね」
 ママはミルキィーに話しかけました。

「そうね」
 ミルキィーは楽しい気持ちになりました。

「あのベッドもお布団も、おじいさんが買ってくださったものなのにね……」
 ママはおじいさんのことを思い出して話をしました。そして、ママはおばあさんが死んだことを残念、ほんとうに残念というように言いました。ミルキィーもそう思いました。

 ミルキィーはベッドにつきました。
「じゃー、おやすみなさい」
 ガチャとドアをしめて、ママは出ていきました。

 ミルキィーはなんだか寝つけませんでした。ミルキィー・ドールも大きな目を開けていました。
 そして、すこしだけ開いていた、カーテンをひきかけます。そのとき、外を見上げました。やはり、大きなお月様が笑っていました。

「お月様ってこんなに白かったかしら」
 ミルキィーは思いました。

「白いお月様って不思議なかんじ。きっと、今日、なにかがおきるのじゃないかしら……」
 ミルキィーきミルキィーを窓辺の小さなイスにすわらせました。そして、カーテンをひくのをやめました。それは、月光がほのかに輝き美しく、そのままこの光につつまれて眠りたいと思ったからです。

 カーテンに松の木の影がうつりました。風で松の木は少し動きました。その横の竹林がこそこそと葉音をさせました。








下、1日1回クリックお願いいたします。

ありがとうございます。












閑話休題

コールドマウンテンという映画をみました。
最初はだるかったのですが、
いい映画でした。

ニコール・キッドマンの出演する
映画は脚本がすぐれていることがあります。

亡くなられた人を思うこと。
それは無駄なことではありませんね。

人間を唯物史観だけで見ることの、
非人間性を教えてもくれますね。









最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
あっ! (みっちゃん)
2006-03-04 22:54:03
コールドマウンテン!よかったですかぁ!

ジュードロウがでてるやつですね!?

そっかぁ~ 鱧男さんが見てヨカッタのかぁ~



最近、映画借りてないから・・・借りたいなぁ~



なかなかの好演でしたよ(^^) (鱧男)
2006-03-05 21:26:38
JUDE LAW ジュード・ロウ

http://www.fmstar.com/movie/j/j0160.html



「スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー」

の時はつまらんかったです。

あまりにも軽薄な脚本でした。

軽薄なら滑稽にはしったら、

それなりに面白いのですが、

中途半端な本でしたね。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。