ラヂオアクティヴィティ[Ra.] 第一部ブロック・バスター 072誤爆 それは、本社の住所になっていた。 茶色の封筒を破ると、本は新聞紙にくるまれていた。 それを取って輝代が読む。 「核ミサイル、故障で「戦闘状態」に。ロシア予算なく老朽化米紙報道CIAが報告。【ワシントン】十二日付けの米紙ワシントン・タイムズは、ロシアの核ミサイルが老朽化のためにしばしば故障。スイッチが「戦闘状態」に入り、米国に向けて発射寸前の状態になることが米中央情報局(CIA)機密報告書からわかったと報じた」 これはいったい、どういうことなのだ。 「これは、今日の新聞じゃないな……」と勉。 勇気はそれを見て、ゾッとした。 「どうしたんだい?」 マイクは勇気の顔をのぞきこんだ。勇気は新聞記事を訳して話した。 「それは、以前のニュースだね……」 だけど、そんなに古いニュースではない。 核兵器だなんて、それもアメリカに向けられているなんて、マイクはぞっとした。 ロシアから愛を込めて……、そんなものを贈られては困る。 いや、憎しみか……。 いや憎しみでもないだろう……。 単なる管理ミスということだろう。 「核管理はできているのだろうか?」 「戦争をする理由がなくても、原爆なんて、放りこまれたら、戦争になってしまうよ」 勇気は不満顔だった。 「まさか! そんな子どもじみたことがあるものか……。国の責任者という人たちには理性があるものだ。そうでなければ、責任者にはなれないだろう」 そんな理想的なことを、博士は考えていた。 「もしものことだよ……」 マイクは眉間に皺を寄せてぶつぶつと話していた。広島のことではなく、最愛のアメリカのことである。 「もしものことね……。この新聞記事なら、起こりえるということを危惧しているのよ……」 ミス・ホームズは顎に手をおいていた。 「本当の理性があったら、核兵器だって、処理しているだろう……。それに、製造さえもしていなかっただろう」 行者は目を閉じた。 彼が国家の責任者なら、すぐにでも核兵器を処理していることだろう。 しかし、それだけでも、もう生やさしいことではなくなっているということを、ほとんどの者は知らない。
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