磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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戦争と日本人-テロリズムの子どもたちへ-

2012年02月08日 | 読書日記など
『戦争と日本人-テロリズムの子どもたちへ- 角川oneテーマ21 A-133』
   加藤陽子、佐高信・著/角川学芸出版2011年

おもしろい本でした。
まずは、テロリズムも心の内にあるものだなあーと思いました。



暗殺……。下「」引用。

「この本では直接はふれることはできなかったが、浜口雄幸(おきち)首相の暗殺(一九三○年一一月遭難)、井上準之助元蔵相の暗殺(一九三三年二月、血盟団事件)、高橋是清蔵相(一九三六年二月、二・二六事件)、戦後では、日本社会党委員長の浅沼稲次郎の暗殺(一九六○年一○月、犯人は一七歳の少年)もまた、時代の流れを大きく変えた。
 佐高さんが師匠と仰いだことで名高い哲学者・久野収(くのおさむ)は、〈状況に支配されるのではなく、状況を支配しようとこころみた政治家は、ほとんど例外なく暗殺にであっている。思想をもった政治家らしい政治家はほとんど襲撃を受けた〉と『憲政の論理』(みすず書房 一九六九年)で喝破した。至言である。」

原敬・暗殺と岩波……。下「」引用。

「加藤 佐高さんが原敬を見るとき、「暗殺」という点から光を当てようとされたのは、じつにご明察ですね。原の暗殺を軸にすることでさまざまな世相が浮かび上がってくるからです。
 先ほど、一般の人の原に対するイメージはあまり芳しいものではなかったと言いましたが、例えば、岩波書店の創業者であった岩波茂雄さんは、原敬暗殺の報に接して「刺したのは偉い」というような発言をしたと、娘婿であり岩波書店元会長の小林勇さんの回想録(『惜櫟(せきれい)荘主人 一つの岩波茂雄伝』岩波書店 一九六三年)にあります。
佐高 リベラルな出版人であった岩波茂雄がそう捉えていたというのは、ちょっとショッキングではありますね。
加藤 暗殺犯の中岡艮一(こんいち)と小林さんが、満でいえば一八歳で同い年だと知り、岩波さんは「君にはこんなえらいことはできないだろう」と暗殺を是認するような言い方をしたそうです。政友会が嫌いだったという話もありますが、原の暗殺を意外に思わない、あるいは起こりうることだったと受けとめていたということですよね。-略-」

韓国の徴兵制。下「」引用。

「韓国の徴兵は原則二年間ですが、やはり忌避する人も出てくる。大統領の息子に徴兵忌避疑惑があったり、二重国籍があると兵役に就かなくても住むから海外で子どもを産もうとする人が増えていたり、スポーツ選手が世界的な大会で功績をあげたことで免除されたりと、話題事欠きません。」

日本の徴兵見習った朴正煕

中曽根と美輪。下「」引用。

「佐高 『週刊金曜日』で美輪明宏と対談したときに、美輪さんが中曽根康弘と会った話をされたんです。開口一番、「君なんかは海軍魂など知らんだろ」と言われたという。美輪さんは、「そんなものを知りません。だけど、それがちゃんとしたものだったなら、なんで私たちは竹槍(たけやり)訓練をやらなきゃならなかったんですか。なんで原爆でやられなきゃならなかったんですか」と言い返したそうです。長崎で原爆に遭っている人ですからね。
「中曽根なんて主計でしょ。主計というのは前線に行かなくていい。同僚が死んだのに、腹も切らないでおめおめと生きていたやつに何言われるか」と怒っていましたよ。-略-」

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軍医……。下「」引用。

「東大の場合、サイパンで死んだ軍医さんもいて、本当にいろいろです。実際に戦没者が一番多かったのは医学部で、これは軍医として行くから死ぬ確率も高いのですが、その次に戦没学生の率が高いのは、法学部と経済学部なんです。我々文学部といえば、案外少ない。-略-」

成績順……。下「」引用。

「哲学者の木田元さんは、満州で育ち、終戦の年の四月から四か月半、江田島の海軍兵学校で教育を受けた。そこで「成績が命にかかわる」ことに気づいたと言っていますね。
 一年目の席順はアイウエオ順だけど、二年次、三年次は前年の成績順で、その番号順に卒業後の行き先が決まる。
〈たとえば、一番は海軍省にいきます。二番、三番は、航空母艦や戦艦に乗る。その次は巡洋艦。次が航空隊、だんだん下のほうになると潜水艦。びりっけつの方は船にも乗れない。陸戦隊。敵の戦車が上陸してくると、地雷なんか抱かされて飛び込む、どうやらそういうことをやらされたそうでした〉(『闇屋になりそこねた哲学者』ちくま文庫 二○一○年)」

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山下清の鋭い指摘。下「」引用。

「-略-山下清が、「必ず勝つとわかっているんだったら、戦争なんてしなくてもいいじゃないか」と言ったという話があります。
 つまり、みんなと同列に同じことをしていない人ほど、他の人たちには見えないものが見える。ある種、熱狂を冷ますような距離を置いた見方ができるんだと思いますよね。」

佐高の石原莞爾評は適切だと思う。下「」引用。

「私は『石原莞爾 その虚飾』(講談社文庫 二○○三年」で、最後は平和主義になったとなとか言うけれども、放火犯が消火作業を手伝ったからといって誉められるか、と書きました。-略-」

櫻井よし子はベトナム生まれ。ベトナムから中国をみているそうだ?……。

古今・新古今と万葉……。下「」引用。

「佐高 時代がすでに古今・新古今ではなくなり、万葉のますらお礼讃に、もう九割九分、行ってしまっている、という背景の中で、ということですね。」

民主党=小選挙区。
小泉と小選挙区。下「」引用。

「そこで小選挙区に反対するわけです。なぜかというとて、小選挙区制になると総裁や幹事長の独裁になるからだと、彼は言った。そして小選挙区制になって何をやったか。自分が独裁をやった。」

ポリシーなき、刹那主義にぴったりの行動だな!

小泉時代「メディアの浮かれ正義」 下「」引用。

「佐高 私は、小泉純一郎が総理時代、支持率九割の時代に小泉批判をしたら、めっぽう叩かれ、評論家として干されるような状況になりました。しかし世論が必ずしも正しいのか、大いに疑問に思います。私なんかは世論と言われると、もうそれだけで警戒心が先に立ちます。
 メディアが世論を盛り上げて、その世論に乗ってメディアがさらに過熱報道して、世論がまた叫ぶ。絶賛するか、袋叩きかのどちらかしかないんです。
 若い人たちには、「メディアの浮かれ正義にやすやすと乗るな」「世論は疑え」と強調したいですね。」

【一部のみ】









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