ラヂオアクティヴィティ[Ra.] 第二部・国境なき恐怖 156太陽電池 ホテルの会議室で。 「ソーラーカー・レースの『風車』の大滝です」 「グループ名ですか、その『風車』というのは……」 「そうですよ。風のように自然な力で走る自動車ということで、そういう名前をつけたけど、本当のエネルギーは太陽エネルギーだよ」 「いいなあー。夢があるよね。それなら、大気汚染をおこさないから、きっと花粉アレルギーの人も減るだろうし、花粉アレルギーの人の症状もマシになると思うよ」 「これから、この太陽電池をつかって、いろんな物をつくろうよ」 「太陽電池で動くのか、何か楽しい感じがするね」 「でも、電池は電池だよ。ただ、太陽の光を利用しているにしかすぎないけどね」 発光ダイオード、クリップ類、太陽電池いろいろ、工作キット類、リード線、作業用マット、工具を準備する。 みんなでそれをしながら、この前の京都の老舗とかのお店とはひどく違うなあー。 がたがたしていて、とても儀式には思えない。 でも、工作は楽しめる。いつも、見てばかりいてはつまらない。 やはり、自分ですることも楽しい。 ああ、女子がここにいないって、女の子たちは踊りを習いに行ったのさ。 本当は僕もそれについて行きたいと思ったけど、マイクが誘うからなあ、仕方がないのさ。 「太陽電池で動く玩具か、日本もたいしたものだ。未来を考えているというわけだなあー。同盟国としてうれしいよ」 「石油ガブ飲み大国、唯一の超大国のアメリカが、二酸化炭素の削減の協力をしてくれないと京都議定書も成功しないと思うよ」 「するさ、アメリカもバカじゃないさ。アメリカが本気になって、こういう太陽電池に取り組んだらあっという間に実用レベルになるというものだ」 「すごい国というわけだね。でも、現状はガブ飲み大国ということを忘れないでくださいよね」 「わかっているさ。だから、国へ帰ったら多くの人に訴えるし、そのうちアメリカの大統領として来日しようと思うよ。その時には、日本の庶民の勇気とも会ってあげるよ。君も感激して会ってくれよ。世界一の人物になっているわけだからなあー」 「マイクのボケって、すごいなあー」 「何、ボケって……」 「ユーモアのセンスってことさ」 「それほどでもないさ。アメリカは世界一の民主主義国家でもあるし、日本もアメリカなくしては民主主義国家にもなりえなかったのさ」 「マイクは、恐竜の模型なの」 「そうさ、格好いいだろう。ゴジラだ。ゴジラは原爆の放射能によって生まれた。元気になれたってことさ。巨大で力強い、まるでアメリカだ~」 「本当にそう思うのか」 「冗談さ、わかれよ」 「つまらない、冗談だよ」 「また、どこかでバーバラが見ているかもしれないよ」 「それは困る。そんなことがあっては、また愚かな奴と思われそうだ。勇気は何をつくっているか教えてくれよ」 「自動車」 「な~んだ、ソーラーカーじゃ、つまらないじゃないか。運転もできないのに」 「模型だから、そりゃできないさ」そして、勇気はマイクをにらんだ。「いいよねえー、マイクは。マイクが恐竜の模型をとっておいて、よく言うよ」 「すまないね。ゴジラが動くようになったら、勇気にも遊ばせてあげるさ」 太陽電池は日光に当たらなければ、発電しないから、電池を日光のあたるように自動車などを作成しないといけない。そこが、他のプラモデルと違うところであった。
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