ぼくの近代建築コレクション
東京の都心と下町を中心に、戦前に建てられた古い建物の写真を投稿していきます。
 





三菱倉庫。中央区日本橋1-19
1985(昭和60)年4月14日

『日本近代建築総覧』では「三菱倉庫K.K.(旧三菱倉庫K.K.江戸橋倉庫)、建築年=昭和5年、構造=RC6階建、設計=三菱倉庫K.K.、施工=竹中工務店、備考=一部SRC,塔屋,地下1,「竹中70年史」「建築の東京」による」。
『建築探偵術入門』(東京建築探偵団著、文春文庫、1986年、480円)では「…江戸橋のたもとに残る表現派風の倉庫建築で、かつては江戸橋倉庫と呼ばれていた。この地に初めて三菱の倉庫群が建設されたのは明治9年、仏人建築家レスカスの設計による7棟の赤煉瓦倉庫であった。当初は三菱汽船の所有だったのが、やがて東京倉庫会社が設立され、大正7年に現在の三菱倉庫株式会社と改称。震災後、新たに建設された都市倉庫が現在の建物…」と解説されている。
現在は外観を6割ほど残して高層のオフィスビル「日本橋ダイヤビルディング」に建て替わった。一般には外観を残す場合は、新しいビルの外壁に旧ビルの外壁を貼り付けるような工事になるらしいが、このビルの場合は外壁を残したまま、その内側で新ビルの工事を進めたという。




三菱倉庫
上:1990(平成2)年9月27日
左:1986(昭和61)年9月7日

『東京の空間人類学』(陣内秀信著、筑摩書房、1985年、1800円)では日本橋川に向いた面についても述べている。「そこ(江戸橋際の広場)にそびえる三菱倉庫は二つの顔をもっている。ひとつは陸の広場に面するもので、そのコーナーを局面にし、当時流行した角から入るモダンな形式をとっている。もうひとつは、水の側に面するもので、ちょうど掘割が折れ曲がる角に建つ地の利を生かして、そこにもやはり美しい曲面の外観を見せている。そして全体としては水に浮く船を思わせる形をしており、屋上にマスト状の塔屋をのせている。しかも、倉庫の機能にふさわしく、一階の水側は船を直接横付けできる一種の河岸の機能を果たしていた。まさに、江戸から続いた日本橋川の河岸の機能をここでは建物のなかに組み込むという、いかにも昭和初期の近代建築らしい巧みな解決を示している。」
4枚目の写真は石積みの護岸が改修前のものだ。おそらく三菱倉庫を建てたときのものと思われる。垂直に立ち上がっていて船がビルの真下に接岸できるようにしたものだろう。丸い穴は下水の排水口にしては数が多すぎる。接岸する船に関連した設備だろうか。





三菱倉庫。2010(平成22)年5月8日

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