ぼくの近代建築コレクション
東京の都心と下町を中心に、戦前に建てられた古い建物の写真を投稿していきます。
 




日本工業倶楽部会館。千代田区丸の内1-4。1983(昭和58)年11月

1920(大正9)年に、横河工務所の設計で建てられたRC5階建てのビル。1918(大正7)年4月着工、1920年11月竣工である。施工は『日本近代建築総覧』や『近代建築ガイドブック』では「直営」となっているが、事実上は清水組らしい(『 清水建設200年史』)。
工業界の社交クラブとしての用途を中心に造られ、豪華な1階ホール、2階大広間、大食堂、3階談話室などを納めているという。それにしては外見は、色合いのせいかもしれないがかなり地味だ。ビルの外観デザインは横河工務所の松井貴太郎で、ゼツェッシオンという大正期に台頭してきた新様式を採用した。それでも玄関の前は古典様式のオーダーで飾っている。こういう重厚なところがないと承知しない偉い人がいたのかもしれない。日本建築学会が関係機関に出した『 保存に関する要望書』(1998年7月)には、「(松井は)正面玄関のオーダーのゼツェッシオン化を試みている」とあるから、ただとってつけただけではないようだ。また、「柱と梁の軸組構造を露出させるというアメリカの高層建築の形式も同時に取り入れており、まさにわが国のオフィス建築がアメリカから強い影響を受けていく過程を知り得る貴重な作品」ともいっている。



正面。左:1986(昭和61)年6月1日、右:1983(昭和58)年11月

正面屋上には石炭と紡績を象徴した坑夫と織女の像が置かれている。『 収蔵庫・壱號館>日本工業倶楽部会館(2010.01.29)』に、この小倉右一郎の彫刻の意義などが考察されている。



東面。1986(昭和61)年9月23日

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コメント
 
 
 
圧倒される内部様式 (ひで爺ィ)
2014-06-05 12:49:59
現役時代(20年ほど前)、仕事の関係で集まりに参加しましたが、大理石張りの大講堂(?)で冷えすぎる空調に閉口した記憶があります。
どこもかしこも大理石。重厚な内部に圧倒されていました。
トイレの巨大な大理石の小便器にはビックリしたものです。
工業所有権に関するセミナーなど頻繁に開かれていました。

 
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