ぼくの近代建築コレクション
東京の都心と下町を中心に、戦前に建てられた古い建物の写真を投稿していきます。
 




華僑ビル。中央区築地2-15。1986(昭和61)年5月11日

割と最近まであったビルで、『 都市徘徊blog>華僑ビル』によると、2010年に解体されたそうだ。すでに、「ヴィアイン東銀座」というホテルが完成している。上の写真では左から、華僑ビル―1階の店舗は常陸屋商店(料理道具)、野沢ビル―野沢屋淡水魚(丸善水産の看板も出ている)、江戸屋(煎餅)と2階にキッチンつきじ、寿司岩総本店、藤井商店(厨房設備、調理道具)。やはり、魚市場関連の商店が並んでいる。
このビルは下の写真のように奥行きが大きくて、裏の通りにまで達している。『日本近代建築総覧』に出ているが「構造=RC5」としか記載がない。6階は増築したものか、としか分からないが、それは外観を見れば見当がつく。このビルを取り上げたサイトでは、建築年は「1928~29(昭和3~4)年」というのが多い。『近代建築散歩 東京・横浜編』(小学館、2007年)では「1928年頃」である。



華僑ビル東側側面。2004(平成16)年11月6日

『東京珍景録』(林望著、新潮文庫、平成11年、667円)に、6階にあった「シネバラック3000」という映画館のことが書かれている。マニヤだかオタクだかの聖域だったらしい、として「六畳ほどの小部屋に、ソファーくずれの不揃いな椅子がおよそ十人分ほど、客は、その日わずかに四人。この秘密めいた小部屋で、藤田まこと主演『大風呂敷』なんてのをやっている(これが呆れ返った愚作で……)。」とある。
ビルの1階にあった常陸屋のHPに『常陸屋と華僑ビルの話』というページがあって、そこに「ビルのオーナーが中華系ということもあり、戦後もGHQに没収されずに今に至っています。当時はビルの上層階にあるパーティールームが、力道山や兵隊の娯楽施設として重宝されていました。」と書かれている。



左:1986(昭和61)年8月31日
右:裏側、2004(平成16)年11月6日

コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )



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コメント
 
 
 
ここで映画を観ました (Hana)
2017-03-18 14:12:41
初めまして。
華僑ビルの事を検索していてたどり着きました。
もう20年ほど前になりますが、大学生の頃にこのビルの上階にあったシネバラックで、時々無声映画を観たことがあります。
小さな劇場で、椅子はたしかにソファーがありました、でも普通の椅子も置いてあってバラバラでした(笑)

一階のお店はなんとなく覚えてるのですが、その他にも飲食店などがあったのですね...。初めてこのビルの中に入ったときは電気がほぼ消えていて暗くて、ちょっと不安になったのを思い出しました(休日だったからかもしれませんが)
エレベーターもいつ故障するかわからない怖さがありましたね(笑)

そんな思い出のある場所ですが、外観もとても気になる建物だったので解体されてしまったのは残念です。
 
 
 
>Hana様 (流一)
2017-03-19 11:41:34
無声映画ですか! 活動弁士が付いたわけではないのでしょうね。シネバラックのことは、私はまったく知らなかったのですが、映画好きの人の間では知られていたのでしょうか?
『OLD FASHION>シネバラック3000を想いだした』というサイトによると、6階にあったということですが、増築階ですね。エレベーターは6階までいきましたか? トイレの奥のドアというのが、2枚目写真の非常階段の上のドアのようですね。
 
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