浜岡原子力発電所の停止をめぐる諸問題(2)
①管首相政府の未熟さが露呈
・今回の浜岡原発の運転を停止し、これを火力発電で代替すると年間2500億円程度の追加コストが生じるらしい、これは年間2000億円程度の営業利益の中部電力にとって、突然の赤字に転落しかねないインパクトを持っている。浜岡原発を止めることを目指すとしても、行政手続に則った命令を出せる形を早く作るべきだったし、他の原発との公平性を考えると、停止の判断基準が示されていないことは不備というしかない。これでは、一国の総理どころか、民間企業の社長も務まらないとの印象がある。
②電力業界全体の改善を要する点
官民の癒着を呼びやすい行政と業界の構造。強力すぎる独占で実質的に税金とたいして変わらない電力料金形成。競争の不在。原子力に傾斜しすぎたエネルギー政策、等々。こう言った電力業界全体の改善を明確にして対応していくことが重要である。
③東海大地震と浜岡原発の放射能汚染
(『放射能で首都圏消滅 誰も知らない震災対策』(三五館)著者古長谷稔氏)
・地震が起きるのは、海のプレートに引きずり込まれていた陸のプレートが元に戻ろうと跳ね上がり、ずれや破壊を起こすため。このプレート同士がくっついている部分が震源となる。震源では特に揺れが大きくなるが、浜岡原発はまさにプレートの境界面の真上にある。つまり浜岡原発は巨大地震の影響をもろに受けてしまうのだ。さらにタービン建屋などの真下には4本の断層が存在していることもわかっている。断層は地震のエネルギーが解放される場所で、揺れが大きくなるので危険性はより高い。浜岡原発は世界のなかでダントツにハイリスクな立地に建てられている.
・中部電力によると、浜岡原発は最大加速度(瞬間的な揺れの強さを表す数値)1000ガルの地震に耐えるとされているが、今回の東日本大震災では最大2933ガルに達するなど、近年では2000ガルを超える大地震が頻発中だ。原子炉そのものは断層を避けて、固い岩盤の上に建てられているため、揺れは周辺の2分の1~3分の1に軽減される。つまり最大2000~3000ガル程度の地震が起こっても1000ガル程度になるが、そんなギリギリの耐震性で安全とはいえない。過去最大は2008年の岩手・宮城内陸地震の際、岩手県一関市で観測された4022ガル。これに匹敵する揺れが起きた場合を考えると、その危険性は計り知れない。
・浜岡原発で最も老朽化した4号機の爆発を想定。原子炉圧力容器の中に炉心が約半分残っている状態で蒸気爆発が発生し、溶融した炉心部分が格納容器を突き破って東向きに飛散したとすると、被曝が原因で、将来的にがんで死亡する人は東日本全体で約191万人にのぼる。放射性物質が首都圏全域を覆うまでの時間は、気象条件にもよるが爆発からおよそ8時間だ。また、関西方面に風が吹いた場合の死者は約101万人とされる。さらに、放射性物質は、大気に乗れば数百?先まで飛んでいく。」というシミュレーション結果がある。
④各省庁一体となった災害防止対応機関が必用である。
・東海大地震とは、浜岡原発の停止のみの論議でよいのか?いつもそうだがお役人のやることは自分の管轄外のことは全く協議されない。行政の縦割り指導の完全な欠陥である。もし、大地震が起こったならば原発のことのみで済むのか。伊勢湾、相模湾への大津波対策は一体どこがやるのか?粒状化現象への対応をどうするのか?(名古屋の半分は、昔は海や湿地帯である。織田信長が今川義元を破った桶狭間の合戦に際し、信長は熱田の森(熱田神宮)に兵を集合させた。当時は、このあたりまで海辺であったと言う記録がある。海や湿地帯が多い名古屋地区は粒状化現象が起こりうる地形である。)まだまだいろいろある。国土交通省、経済産業省、等々、各省庁の横の連携統一により始めて対応が可能となる「災害防止対応機関」の設置が重要ではないのか!原発問題はその中の1つに過ぎない。如何に、そこに住む住人を守るのか。この点を第1にした論議と方針を打ちたて、直ちに実行に移すべきである。
以上 <了>
①管首相政府の未熟さが露呈
・今回の浜岡原発の運転を停止し、これを火力発電で代替すると年間2500億円程度の追加コストが生じるらしい、これは年間2000億円程度の営業利益の中部電力にとって、突然の赤字に転落しかねないインパクトを持っている。浜岡原発を止めることを目指すとしても、行政手続に則った命令を出せる形を早く作るべきだったし、他の原発との公平性を考えると、停止の判断基準が示されていないことは不備というしかない。これでは、一国の総理どころか、民間企業の社長も務まらないとの印象がある。
②電力業界全体の改善を要する点
官民の癒着を呼びやすい行政と業界の構造。強力すぎる独占で実質的に税金とたいして変わらない電力料金形成。競争の不在。原子力に傾斜しすぎたエネルギー政策、等々。こう言った電力業界全体の改善を明確にして対応していくことが重要である。
③東海大地震と浜岡原発の放射能汚染
(『放射能で首都圏消滅 誰も知らない震災対策』(三五館)著者古長谷稔氏)
・地震が起きるのは、海のプレートに引きずり込まれていた陸のプレートが元に戻ろうと跳ね上がり、ずれや破壊を起こすため。このプレート同士がくっついている部分が震源となる。震源では特に揺れが大きくなるが、浜岡原発はまさにプレートの境界面の真上にある。つまり浜岡原発は巨大地震の影響をもろに受けてしまうのだ。さらにタービン建屋などの真下には4本の断層が存在していることもわかっている。断層は地震のエネルギーが解放される場所で、揺れが大きくなるので危険性はより高い。浜岡原発は世界のなかでダントツにハイリスクな立地に建てられている.
・中部電力によると、浜岡原発は最大加速度(瞬間的な揺れの強さを表す数値)1000ガルの地震に耐えるとされているが、今回の東日本大震災では最大2933ガルに達するなど、近年では2000ガルを超える大地震が頻発中だ。原子炉そのものは断層を避けて、固い岩盤の上に建てられているため、揺れは周辺の2分の1~3分の1に軽減される。つまり最大2000~3000ガル程度の地震が起こっても1000ガル程度になるが、そんなギリギリの耐震性で安全とはいえない。過去最大は2008年の岩手・宮城内陸地震の際、岩手県一関市で観測された4022ガル。これに匹敵する揺れが起きた場合を考えると、その危険性は計り知れない。
・浜岡原発で最も老朽化した4号機の爆発を想定。原子炉圧力容器の中に炉心が約半分残っている状態で蒸気爆発が発生し、溶融した炉心部分が格納容器を突き破って東向きに飛散したとすると、被曝が原因で、将来的にがんで死亡する人は東日本全体で約191万人にのぼる。放射性物質が首都圏全域を覆うまでの時間は、気象条件にもよるが爆発からおよそ8時間だ。また、関西方面に風が吹いた場合の死者は約101万人とされる。さらに、放射性物質は、大気に乗れば数百?先まで飛んでいく。」というシミュレーション結果がある。
④各省庁一体となった災害防止対応機関が必用である。
・東海大地震とは、浜岡原発の停止のみの論議でよいのか?いつもそうだがお役人のやることは自分の管轄外のことは全く協議されない。行政の縦割り指導の完全な欠陥である。もし、大地震が起こったならば原発のことのみで済むのか。伊勢湾、相模湾への大津波対策は一体どこがやるのか?粒状化現象への対応をどうするのか?(名古屋の半分は、昔は海や湿地帯である。織田信長が今川義元を破った桶狭間の合戦に際し、信長は熱田の森(熱田神宮)に兵を集合させた。当時は、このあたりまで海辺であったと言う記録がある。海や湿地帯が多い名古屋地区は粒状化現象が起こりうる地形である。)まだまだいろいろある。国土交通省、経済産業省、等々、各省庁の横の連携統一により始めて対応が可能となる「災害防止対応機関」の設置が重要ではないのか!原発問題はその中の1つに過ぎない。如何に、そこに住む住人を守るのか。この点を第1にした論議と方針を打ちたて、直ちに実行に移すべきである。
以上 <了>