以前の記事で、トポロジーを少し紹介しましたが、今回はその続き。
トポロジーの誕生とともに生まれた「ポアンカレ予想」と呼ばれる命題。
単連結な3次元閉多様体は3次元球面S3に同相である。
うん、わからないので分かり易い言葉で説明しますと、地球からとんでもなく長いロープを取り付けたロケットを飛ばして宇宙一周させます。で、元から手元にあったロープの始点と、帰ってきたロケットのロープの終点をひたすら手繰り寄せて、ロープが全部回収できたら宇宙の形は球形に近いと言える、というもの。もしも宇宙に五円玉みたいな「穴」が開いていたら、ロープ回収中にその穴に引っ掛かっちゃうでしょ、と。
なんだか「数学っぽくない」数学の命題ですが、微分幾何学のようなガッチガチの数学ではなく、「やわらかい数学」と呼ばれる「トポロジーっぽい」ところですね。
それにしてもガキのトンチみたいな簡単そうな問題なんですが、20世紀の間中トポロジストはこの問題に悩み続けました。このポアンカレ予想は3次元限定ですが、多次元に拡張した
n次元ホモトピー球面はn次元球面に同相である
という問題もありまして、n≧5の場合やn=4の場合を解決したトポロジスト(それぞれスティーブン・スメイルとマイケル・フリードマン)はフィールズ賞を受賞しています。でもn=3、つまりオリジナルのポアンカレ予想だけが未解決のまま残りました。
しかし1982年にはポアンカレ予想を解決する道筋が提案されました。ウィリアム・サーストンによって提出された「幾何化予想」
コンパクト3次元多様体は、幾何構造を持つ8つの部分多様体に分解される
です。もちろん理解できませんので、こいつもわかりやすく説明しますと、万華鏡の複雑な形も、実は数種類のビーズの位置で記述できます。それと同じように、3次元のものの形は、分解していけば8種類のピースに集約されるだろう、というものです。
こうして3次元のものの形を分解していく方法ができあがったわけですが、じゃあ実際に8種類のピースを組み上げていけばどんな形でも作れるか?というと、どうも上手くいかないんです。理論が間違っているわけではなく、組み上げる手法がヘタクソという意味です。
組み上げる手法さえキチンと整備されれば、ポアンカレ予想も解決できる!
こうしてトポロジストたちは組み上げの手法を研究し始めました。そして世紀も変わった2003年、ついに解決した数学者が登場しました。しかし意外なことに、その数学者はトポロジストではなかったのです。
トポロジーの誕生とともに生まれた「ポアンカレ予想」と呼ばれる命題。
単連結な3次元閉多様体は3次元球面S3に同相である。
うん、わからないので分かり易い言葉で説明しますと、地球からとんでもなく長いロープを取り付けたロケットを飛ばして宇宙一周させます。で、元から手元にあったロープの始点と、帰ってきたロケットのロープの終点をひたすら手繰り寄せて、ロープが全部回収できたら宇宙の形は球形に近いと言える、というもの。もしも宇宙に五円玉みたいな「穴」が開いていたら、ロープ回収中にその穴に引っ掛かっちゃうでしょ、と。
なんだか「数学っぽくない」数学の命題ですが、微分幾何学のようなガッチガチの数学ではなく、「やわらかい数学」と呼ばれる「トポロジーっぽい」ところですね。
それにしてもガキのトンチみたいな簡単そうな問題なんですが、20世紀の間中トポロジストはこの問題に悩み続けました。このポアンカレ予想は3次元限定ですが、多次元に拡張した
n次元ホモトピー球面はn次元球面に同相である
という問題もありまして、n≧5の場合やn=4の場合を解決したトポロジスト(それぞれスティーブン・スメイルとマイケル・フリードマン)はフィールズ賞を受賞しています。でもn=3、つまりオリジナルのポアンカレ予想だけが未解決のまま残りました。
しかし1982年にはポアンカレ予想を解決する道筋が提案されました。ウィリアム・サーストンによって提出された「幾何化予想」
コンパクト3次元多様体は、幾何構造を持つ8つの部分多様体に分解される
です。もちろん理解できませんので、こいつもわかりやすく説明しますと、万華鏡の複雑な形も、実は数種類のビーズの位置で記述できます。それと同じように、3次元のものの形は、分解していけば8種類のピースに集約されるだろう、というものです。
こうして3次元のものの形を分解していく方法ができあがったわけですが、じゃあ実際に8種類のピースを組み上げていけばどんな形でも作れるか?というと、どうも上手くいかないんです。理論が間違っているわけではなく、組み上げる手法がヘタクソという意味です。
組み上げる手法さえキチンと整備されれば、ポアンカレ予想も解決できる!
こうしてトポロジストたちは組み上げの手法を研究し始めました。そして世紀も変わった2003年、ついに解決した数学者が登場しました。しかし意外なことに、その数学者はトポロジストではなかったのです。