そして時の最果てへ・・・

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自然科学の近代と現代

2008-03-20 16:55:19 | 雑感
久々に歴史のお話。と言っても、今回はいつもの戦史ではなく科学史のお話をしてみたいと思います。


自然科学や社会科学において、近代と現代を分かつものって何なんでしょうか?いろいろ考えてみた結果、ワタシは「個と衆」なんじゃないかと思います。で、たいがいの分野において、19世紀が画期となり、20世紀前半で一つの形となるパターンが多い。

数学は、1874年カントールの集合論から始まり、ヒルベルトプログラムを経て、ゲーデルの不完全性定理(1931年)によって極大点を迎えます。

物理学では、ニュートンの古典力学とは異なる発想に基づく熱力学の領域を19世紀半ばから成熟させ、クラウジウスが1865年にエントロピーの概念を創出します。そして熱力学は、黒体輻射の問題を通して量子力学の起源となり、シュレーディンガー方程式(1925年)によって基礎付けられます。

化学の領域では、1828年にヴェーラーが尿素を人工的に合成したことによって有機物も炭素や水素、酸素などの集合であることがわかり、1920年にシュタウディンガーが高分子説を唱えるに至りました。

生物学は、1859年に「種の起源」が出版され、哲学の世界にまで激震を走らせます。ダーウィンの発想は染色体説を経て遺伝学や分子生物学の母体となります。

これら自然科学の展開を強引にまとめますと、知の対象を「個」に分解せず、「衆」を「衆」のまま操作する技術が確立する過程と言えましょう。

「近代」において知とは、「分析」と「総合」の技術であり、ある対象をこれ以上は分割できない最小単位まで「分析」することが、操作の基本でした。

しかし、「現代」の発想に「近代」と異なる特徴があるとすれば、知の対象から「個」を析出せず、「衆」のまま操作する点にあります。

「個」ではなく「衆」を「衆」のまま操作する技術は、自然科学だけではなく社会科学の分野にも及びました。そのことはまた次回お話します。

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