嶋津隆文オフィシャルブログ

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居心地の悪いモンスターペアレント

2009年01月05日 | Weblog

新春のふるさと渥美の花街道風景 (1月1日本人撮影)

今回のブログは、シリーズものとして私が連載を続けている、月刊「地方財務」(ぎょうせい)1月号の「もうひとつの団塊世代論」の原稿です。いささか新春にはふさわしくない内容ですが、ともあれお読みください。

居心地の悪いモンスターペアレント・・・戦後民主主義の光と影と

目に余る孫(まご)子の動向
昨今テレビドラマで放映されたからでもあるまいが、今日もある自治体の知人に会うと、改めてこんな親たちの言動が話題となっていると教えられた。
「会社に遅れそうなので、オムツの交換は保育所でやってほしい」
「子どもと親の私の分、保育所で朝食を用意してもらいたい」
「来週は家族で軽井沢にいくので、運動会の日程を変更してほしい」
 言わずと知れた、モンスターペアレントのなげかわしい行動である。しゃべるだに憤慨する知人の顔つきとは別に、こうした話を耳にするたびに別の痛みが当方の胸を走るといわなくてはならない。かような若い親世代を発生させたのは自分たち年配層、とりわけ戦後民主主義の申し子として個性尊重、個人尊重の風潮を金科玉条としてきた団塊世代に起因するのではと思うからなのである。
 団塊世代の子どもたちは、全国で200万人といわれる。現在、ちょうど25歳~40歳までの年齢層の大半を占める。すなわち子育ての一番の当事者である。その当事者層のなかから、何とも身勝手なモンスターペアレントが生まれたのだ。
「こんな女に誰がした♪」。戦後、流行した哀歌「星の流れに」(作詞清水みのる)の一節である。敗戦で身一つとなった子女が、身体をひさぐ悲哀を唄ったもの。あのやるせなさと同質の思いを、戦後60年経った今日の社会風景の中に感ぜずにはおれないというものだ。

指弾されていた団塊世代の子育て
 そういえば、この1、2年前に団塊論ブームが流行っていたとき、50歳代前後の後続世代から激しい指弾を浴びていたことを思い出す。
由紀草一(「団塊の世代とは何だったか」)は団塊の世代を称して「過剰意味付け、リーダーシップなし、責任を取らない、被害者意識ばかり」と難じていた。三浦展(「団塊世代の戦後史」)は「自由放任という名の放ったらかしがフリーターを生んだ」と厳しく、また金子勝(「月光仮面の経済学」)は「団塊の世代が悪い。バブルを謳歌し、90年代にポストの独占とフリーターの大量発生をもたらした」とひときわ声を大にした。あげくに林信吾(「昔、革命的だったお父さんたちへ」)は「「亡国の世代、やりにげの世代」、そう呼ばれて消えていくのか!」と追い打ちを掛けていた。
 幸か不幸か昨今、年金や医療保険が大幅に圧縮されつつあり、団塊世代は「食い逃げ世代」との批判に該らなくなってきているようだ。しかし、子育てや教育観など社会倫理観の喪失の責任については、改めて彼らの指摘にウーンと頷いてしまう。いまの時代の子育ての混乱を招来した責任の一端は、やはり戦後民主主義の申し子とされる団塊世代にあると思えるからだ。

やはりどこか誤っていた団塊世代
それにしても今も忘れはしない風景がある。昭和20年代の後半に小学校に入って、まわりが実に生き生きしていたことだ。それは、苦い敗戦の後に来た米国式民主主義への期待感、あるいは平和憲法への憧憬が充満していたからに違いない。戦前が暗黒で不自由な時代であったこと、これからの未来が無限に明るい時代になることを、私たちは全身に教えられ育ってきた。平和と平等と個人主義のきらびやかさ。やがてどっぷりとその思想に浸り、権利を主張するようになった。
 しかし何事であれ、光のあたる部分があれば、影をなす部分がある。しかしその権利至上主義となりかねない戦後民主主義の、影の部分を振り返ることなく、団塊世代は大学紛争を広げ、そして就職していったのである。その後バブル期に中堅となった団塊世代はひたすら仕事を楽しみ、果たして定年までの30有余年の間、戦後と自らの歩みを顧みることなく今日に至った。そして気がつけば、わが子たちがモンスターペアレントとなっていたのである。この皮肉な因果に戸惑っているのが今日の大半の団塊世代の心情ではないだろうか。
それだけに私たちはモンスターペアレントとなった孫(まご)子の行動に居心地の悪さを感じないわけにはいかないのだ。そんな感覚は団塊世代に特有の「思い上がり」であり、「加害妄想」だと笑う人がいるかも知れない。しかしこの戦後民主主義の光と影を整理することは、「(団塊世代は)亡国の世代」と難じられないためにも行うべき、残された作業であるように思うのだがいかがだろうか。

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