これだけ立て続けに生じる昨日今日の地震に心底、心が痛みます。九州に限らず、ここ何年かで東北の津波があり、阪神大震災があり、新潟の地震がありました。改めて常に天災に苦しめられてきた日本人の風土に対する怨念を想像するというものです。
そういえば哲学者和辻哲郎はその著『風土』(昭和10年)のなかで、日本の風土に対する日本人の心情について、「しめやかな激情」と「戦闘的な恬淡」という言葉で表現しました。
地震や津波など、自然に対して忍従せざるをえなかったことが、日本人の気質形成に影響しているというのです。「豊かに流れる感情がひそかに持久しつつその持久の変化の各瞬間に突発的に激情を生み、突発的な昂揚の裏ににわかにあきらめの静けさをもつこと」と規定しました。
宗教人のような指摘です。現に地震の被害にあっている人々には些かの救いにもならないでしょう。が、それでも私たち日本人の天災に対する絶望感を鎮めるように思われてなりません。和辻の指摘の、日本人の自然に対するしたたかさを、日本の大地に生を得た私たちであればやはり肯定的に汲み取りたいと思うものです。(資料「裾野市富士山資料館」)