嶋津隆文オフィシャルブログ

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宇都宮「餃子のまち」づくり風聞記

2008年10月27日 | Weblog

先週末に神戸で日本都市学会があり、会員の一人としておっとり刀で参加してきました。初日は神戸市の計らいで神戸の街を海から視察し、震災復旧を果たしたばかりか、神戸空港の整備や神戸アイランドでの大学群の進出など、新しいポテンシャルの広がりに驚かされました。

加えて2日めの研究発表に楽しい話しがありました。「宇都宮市における餃子によるまちおこしの展開」というテーマ発表です。B級グルメである餃子を軸にしつつ、それをブランド化して全国的に知られることになったまちおこしの成功事例の考察です。ご紹介しておきましょう。

息子夫婦が宇都宮に住んでいるからではありません。そのまちおこしの展開が明らかに爽快であることで、この発表には大いに楽しませてもらいました。1990年に宇都宮市の職員によるまちおこしの研究が始まり、それを実践に移すべく地元餃子会が連携発足したのが1993年のこと。その後すぐに全国区となり、今日までのわずかここ15年で38店舗の店は70店舗ちかくに増え、しかも全市の観光消費額の10%を占めるほどに至ったというのです。

その成功要因は、餃子会という協同組合の活動にあると指摘されました。テレビ東京などマスコミによるプロモーション、「餃子マップ」「餃子ソング」という広報活動、「餃子モニュメント」など矢継ぎ早の設営、あるいは「宇都宮餃子祭り」といったイベントの運営などが展開されたのです。とくにポイントは、組合直営の集合型店舗「来らっせ」の運営管理という試みでした。これで利用者の利便性が向上しファンが拡大したのです。

しかし夜になって発表者に対し酒を酌み交わしながら改めて聞いてみると、この組合の活動は、二人の個性ある人物によるものということを知らされました。ひとりは一番大手餃子店のアグレッシブな社長。もう一人は大手企業に勤め宇都宮にUターンで帰ってきた餃子会の事務局長。

よく観光によるまちおこしには、「三者」すなわち「若者」「よそ者」「バカ者」がいるといわれます。この宇都宮の場合も例外ではなかったようです。この10数年、必死で取り組んできた人物=「バカ者」がいたのです。しかしこの50代半ばを過ぎた事務局長が、この夏、体調を壊しその職を辞したと聞くと、「三者」論の重さを痛感させれらるというものです。

果たしてその夜は、餃子ならず明石焼きをつまみつつ、遅くまで議論を交わしたものでした。


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