大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・トモコパラドクス・70『ミズホクライシス・膠着』

2017-04-21 06:50:15 | トモコパラドクス
ライトノベル・トモコパラドクス・70 
『ミズホクライシス・膠着』
       

 三十年前、友子が生む娘が極東戦争を起こすという説が有力になった未来。そこから来た特殊部隊によって、女子高生の友子は一度殺された。しかしこれに反対する勢力により義体として一命を取り留める。しかし、未来世界の内紛や、資材不足により、義体化できたのは三十年先の現代。やむなく友子は弟一郎の娘として社会に適応する「え、お姉ちゃんが、オレの娘!?」そう、友子は十六歳。女高生としてのパラドクスに満ちた生活が再開された! 娘である栞との決着もすみ、久々に女子高生として、マッタリ過ごすはずであったが……そのマッタリ生活が破綻。第五世代の義体の攻撃を受けた。


 早くしないと、いい犬は売れちゃうよ! 

 友子は子どものように時めいていた。


 太田のハニートラップを始めとする、C国同業者の問題やら、先日の第五世代の義体からの攻撃などで、鈴木家の面々は、少しナーバスになっている。

「ねえ、犬飼ってみようか?」

 母であり、義妹である春奈が言い出した。友子のCPUも、予期せぬ提案に安息とメンテナンスへの自然な効果を予感した。
「ネットで、検索してたら、この店が目に飛び込んできたの!」
 で、隣接するA市のペットショップに、一郎の車で急行することになった。
 車に乗り込むとき、お隣の中野のオッサンと目が合ったが、自然な挨拶ができた。中野のオッサン……いや、中野さんも、元高校教師らしい落ち着きを取り戻してくれたようだ。

「この子、この子がいい!」

 まるで、吸い寄せられるように店の奥の柴犬のゲージに向かった。
 友子は、義体なので、人にしろ動物にしろ、その性格や特徴などが一発で分かる。ペットショップに入ったとたんに、無意識にCPUを犬の識別に特化させた。
 そして、飛び込んできたのが、目の前の生後40日の柴犬であった。DNAまで鑑別し、その可愛さ、かしこさ、健康、自分や家族との相性など、撫で回すように何度も繰り返しトレースした。この子にも、その気持ちは伝わるようで、尻尾を千切れんばかりに振った。
「よし、物事は直感が大事だ。春奈、こいつでいいか?」
「う~ん、賢そうね。犬ぐらい賢いのにしとこうか」
「なんだか、それじゃ、あたしたちがバカみたいじゃない」
「ハハ、こいつに見習って、おれ達も少しかしこくなろう!」
 そういいながら、一郎は子犬の説明書きを。春奈は値段と、ここ一年に子犬にかかる費用を計算していた。

 ゲージとキャリーもいっしょに買ったころには、犬の名前も決まった。

 帰り道は、穏やかな道を選んだ。
「ハナ、もうじきお家でちゅよ~」
 キャリーから出して、後部座席で、春奈が付けたばかりの名前で、子犬とじゃれていた。
「あ、あのお店、ペット持ち込み可だよ!」

 ちょっとした林の側に、コーヒーショップがあった。その名も「ドッグズ」

 店に入ると、かわいいオネーサンがオーダーを取りに来た。ちゃんとペット用の飲み物もある。
「まあ、お宅の子になったばかりなんですね。じゃ、子犬用のミルクサービスさせてもらいますね!」
 その子がジュンであることは、入店と同時に分かった。友子は瞬間で自分の分身を作り、自分は別の女性に擬態して、化粧室から現れ、窓ぎわの滝川がいる喫煙席に着いた。
「おまたせ」
「どうやら、また一苦労の様子だね」
「うん、一昨日、第五世代の義体に襲われた。友だちが助けてくれたけど、危ないところだった」
「あの義体は自信作のようだったよ。まだ名前もないプロトタイプのRXだけど、いきなりの実戦投入。君が勝てる確率は1%もなかった。紀香くんの機転で助かったんだ。来週には、また攻勢に出てくるだろう」
「ハ~……」
 友子がため息をつくと、雑種だけど、毛並みのいい中型犬がやってきた。
「ぼくの相棒、トモちゃんのため息にも反応するようにしてある。ポチ、それ渡して」
「アウ~ン」
 ポチが、アゴの下に隠していた、それを渡してくれた。
「首輪?」
「ああ、それを付けておけばハナちゃんはワープできる。トモちゃんの思念だけに反応してね。いずれ、役に立つときがくると思う。それから、君には、これをあげよう……」
 いきなりCPUにメモリーが飛び込んできた。反射的にCPUはウィルスと認識して、拒否した。
「大丈夫だよ。ボクと仲間の戦いのメモリーだ。第四世代の我々だけど、経験値は第五世代には負けない、きっとなんかの役に立つ」
「ありがとうございます」
 友子は、そのメモリーを受け入れた。ザワっと全身に粟粒がたった。
「スゴイ戦いを経験されてきたんですね……」
「具体的な戦闘のメモリーは再現できないようにしてある……十六歳の君には、凄惨すぎるからね。あ、タバコ切らしちゃった。ごめん、向かいのタバコ屋で買ってきてくれないかな」
「いいわよ」

 道路を渡ると、すぐ後ろにマイクロバスが止まった。
「かなこぉ、どこ行ってたのさ!」
「へ……」
 そのとき、友子は初めて自分がももタロのメンバーの一人に擬態していることに気づいた。

――本物は、体調不良で、ボクが保護している。悪いけど半日代わってあげて――
――滝川さんって、ももタロのファンだったんですか!?――

 返事はなかったが、半日ももタロをやる決心をした。一郎と春奈が、友子の分身とハナを車に乗せて道路に出てくるのが目の前に見えた。

 で、当然のごとく、ドッグズはただの林の一角に戻っていた……。

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